ヘイトスピーチとは何か(3)批判に答える

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「ヘイトスピーチ 神戸新聞社説」

神戸新聞社説 特定の人種や民族などを汚い言葉でののしり、差別をあおる言動を「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」という。敵意をむき出しにした侮蔑や攻撃は人を傷つけ、周囲をも不快にする。とてもまっとうな議論の姿勢とは言い難い。 ヘイトスピーチを街頭で繰り...

の日記に批判的コメントがつきました。

>「ぶっ殺す」「たたきつぶす」なんて普通の言葉の範囲じゃないですか
>「殺せ」とか「死ね」とかは……しばき隊(反ヘイト団体)も主張している正常な言論の範囲だそうですよ

その通りです。
こういった言葉は、単に「悪罵」とか「罵詈雑言」といいます。ですので、そういった言葉それ自体を「ヘイトスピーチ」というのではありません。同じ言葉を使っても、向ける対象や状況によるのです。

わかりやすい別の例で考えましょう。マッチで家に火を付けたら重罪です。しかしマッチで花火に火をつけたり、タバコに火をつけるなら問題なしです。マッチをつける行為自体が問題なのではありません。マッチで火を付けて何を燃やそうとしたのか、それが問題とされるのです。

言葉も同様です。「ぶっ殺す」「たたきつぶす」という言葉それ自体を禁じたら、ケンカもろくにできなくて不便です。しかし弱い相手を暴力団が取り巻いて「ぶっ殺す」「死ね」と怒鳴り上げたら脅迫罪です。

また、人種とか民族といった属性を持つ集団や個人に対して、その属性ゆえにこう言った言葉を投げかけるのは、差別であり迫害です。

具体例を挙げましょう。

「ろくでなしの朝鮮学校を日本から叩き出せ。なめとったらあかんぞ。叩き出せ」
「日本から出て行け。何が子供じゃ、こんなもん、お前、スパイの子供やないか」
「約束というものは人間同士がするものなんですよ。人間と朝鮮人では約束は成立しません」

これは侮辱罪にあたるとして京都地裁で有罪判決を下された在特会のヘイトスピーチですが、見てのとおり、内容は「デマ」「侮辱」「差別」そのものです。

彼らが延々と罵倒しているのは「朝鮮人」という民族的属性であって、その場にいる朝鮮人の誰それが行った行為を非難しているのではありません。

本人自身がどうすることもできない朝鮮人という属性を差別し、非難し、罵倒しているのです。
こういったヘイトスピーチが日本社会の圧倒的少数派である在日朝鮮人に向けられるとき、その言葉は迫害と化します。

こういったヘイトスピーチを煽り、かつ実践し、組織して拡大する行為が、まともな良識を持った社会人のすることでないのは、当然わかることです。

これに対して「しばき隊」の攻撃目標は、こういったヘイトスピーチを行っている個人や集団です。ヘイト行為は属性ではありません。やめるつもりがあればいつでもやめることができます。で、しばき隊はヘイトを止めろと言っており、止めれば罵倒もそこで終わりです。

「ヘイト豚死ね」という横断幕をしばき隊が掲げました。自分の趣味ではないけれど、非難すべきことでもないと思っています。なぜなら、差別ではなく、ケンカを売っているのだから。

「ヘイト」は在特会会長の桜井誠こと高田誠の行為を指しています。正しい指摘です。「豚」は高田誠の自称です。「死ね」は何度も書いているように「悪罵」・「罵詈雑言」です。「ヘイト豚死ね」は、彼の属性を非難したり差別しているのではありません。虚偽やデマでもありません。差別ではなく、高田誠の行為に腹を立てて罵詈雑言を投げかけ、ケンカを売っているのです。

民族差別という人間として最低の行為と、単なるケンカの区別がつかない、上っ面の言葉だけ取り出して、在特会としばき隊を同列におく、こういった点において、風棲さんの批判は、まったく的はずれと言わざるを得ません。