沖縄 強制集団死裁判が決着

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集団自決訴訟 旧日本軍元隊長らの上告棄却
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今回の決定はあまりにも当然だ。もともと、すべての争点は第一審で決着が付いているのだ。軍命否定派の代理人弁護士だって、負けを承知で渋々上告しただけだろう。自分は裁判中に軍命令を否定する側の言い分を検証し、あまりにデマが多いのと、論理が幼稚なのに驚いた。この件についてはたくさん日記を書いた。

それにしても、梅澤部隊長という人は、嘘の多い人だった。「集団自決」があったことを戦後13年もたつまで知らなかったと、平然と語る。知ったのは、週刊誌が報道したからだと。島民が何百人も亡くなったのに、部隊長が知らなかった?それなのに裁判では「島民に餓死者はいなかった」と断言している。何百人が自決しても気付かない人が、餓死者がいないことだけは気付くのか?その週刊誌報道で大変な迷惑をこうむったというが、特に抗議などはしていない。それなのに、戦後60年もたってから、読んだこともない『沖縄ノート』の内容に傷ついたといって裁判を起こす。なんで?

法廷で圧巻だったのは、梅澤さんの次の証言だったと思う。

被告側弁護人:大江健三郎氏の『沖縄ノート』を読んだのはいつか。
梅澤さん:去年。
被告側弁護人:どういう経緯で読んだのか。
梅澤さん:念のため読んでおこうと。
被告側弁護人:あなたが自決命令を出したという記述はあるか。
梅澤さん:ない。
被告側弁護人:訴訟を起こす前に、岩波書店や大江氏に抗議したことはあるか。
梅澤さん:ない。
被告側弁護人:昭和55年に出した島民への手紙で「集団自決は状況のいかんにかかわらず、軍の影響下にあり、まったく遺憾である」と書いているが、集団自決は軍の責任なのか。
梅澤さん:私は「軍は関係ない」とは言っていない。
被告側弁護人:手紙を出した当時、軍の責任を認めているということか。
梅澤さん:全然認めていないわけではない。

昭和55年には、梅澤さんは軍の責任を認めていたのだ。そのことについて「まったく遺憾である」と書いていたのだ。軍のトップは自分ではないか。遺憾もなにもないだろうとは思うが、ともかく軍の責任を認めていたのだ。しかも、『沖縄ノート』には、梅澤さんが命令を出したなどと書いてないことも認めた。この裁判は起こす必要のない裁判だったことを、原告自らが認めたのだ。負けて当然だ。

彼は『沖縄ノート』に傷ついたと言うが、実は読んでいなかったことはすでに書いた。彼が読んだのは曽野綾子の『ある神話の背景』だった。

曽野綾子はそこに、「大江はこんなことを書いている」と言って、部隊長らをボロクソにけなした文章を書いている。だが、これがとんでもないねつ造で、『沖縄ノート』のどこにもない文章なのだった。

曽野綾子は大江健三郎の文章をそのまま紹介していない。「自分はこのように読んだ」という内容を、大江の文章であるかのように書いているのだ。曽野綾子がとんでもない嘘つきだというのは、有名だ。

彼女は軍命令などなかったと言いたくて、沖縄現地には部隊長らに感謝する碑が建てられていると書いている。信じている人も多い。確かに碑は建っている。だが、その碑文を書いたのは曽野綾子で、碑を建てたのは戦友会なのだ。

嘘つきが本を書いて、その本に腹を立てた別の嘘つきが、本を書いた嘘つきと一緒になって、何の落ち度もない第三者を攻撃した。これが大江・岩波裁判の本質だったといってもよい。

嘘やデマで世の中を動かせる場合もある。だがそんなデマでこしらえた世の中は、きっとろくでもないに違いない。そんな日本にしてはならない。

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