普天間基地をめぐる米軍機関紙の冷静な記事

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1435670533&owner_id=12631570

トヨタ車急加速 米ABCが映像操作認める
*http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1140428&media_id=88

情報操作は、やられてみればその不当性がよく分かりますね。沖縄の基地問題についても似たようなことが言えます。基地を残したいために中国や「北朝鮮」の軍事的脅威をことさらに肥大化させ、抑止力にならない海兵隊の存在を抑止力だとする報道なんかがそうです。

ところで米軍機関紙スターズ・アンド・ストライプスが普天間問題を大きく報じており、その中に興味深い意見がありました。

「中国はアメリカが仮象するほどの脅威ではない。」 サンフランシスコ大学日本政策研究所の設立者であり責任者であるチャーマーズ・ジョンソンはいう。 「他国へ戦争をしかけるのをよい考えだと中国が思うには、中国は余りに多くの国内問題を抱えている。」「中国の急速な軍拡は、アメリカがアジアに居続けることに対する反応だ。もしアメリカがこの地域から軍隊を引き揚げれば、中国は軍事的野心の速度をゆるめるだろう」。
http://www.stripes.com/article.asp?section=104&article=68493

冷静かつ客観的な意見ですね。米軍機関紙が報道するこのような見方を、どうして日本国内のメディアが報道しないのか、とても不思議です。記事は「普天間-グラウンド・ゼロ」と題して沖縄の怒りの背景を伝え、大田昌秀元沖縄県知事の「米軍基地に対する沖縄の怒りはマグマのように水面下で沸騰している」という言葉を載せています。

別の記事では、沖縄県が米軍基地をなくすために政府に公的に働きかけていることも報じています。
http://www.stripes.com/article.asp?section=104&article=68644

しかし記事は同時に「北朝鮮」と中国の軍事力に対する米軍のプレゼンスの重要性を強調することも忘れてはいません。まあ、米軍機関紙ですから。

また「日本では米軍に大きな変革をもたらす可能性は低い」との見方を伝えています。「大きな変更は(政治力の)拮抗する民主主義国で行うのは難しい」とも。支持率低下にともなって、鳩山内閣の姿勢が変化することを予測しているのだと思います。民主党スキャンダルが基地問題にも影響しているのは、その通りかと。

有象無象のいろんな情報をとっぱらって、本質部分だけを見れば、そんなに難しい問題ではないはずなんです。2006年に「再編実施のための日米のロードマップ」が発表され、米軍が沖縄から海兵隊を引き上げるプランを公開したとき、防衛利権との絡みで自民党が海兵隊基地存続を提案し、米軍と合意しました。それが辺野古です。「辺野古案でなければ海兵隊撤退も」と元米国防副次官が東京で語りましたが、それがもともとの米軍の再編プランなので、それでいいのです。日本側があたふたすることはありません。

軍事的にはほとんど意味のない基地なのに、くだらない提案を自民党がしたばかりに、ややこしいことになっているのです。

沖縄:出て行って欲しい。
米軍:ああ、いいよ(どうせグァムに移転する計画だったんだから)。
自民党:いや、残ってくれ。
米軍:ああ、いいよ(タダで新品の基地を作ってくれて、駐留経費まで見てくれるんだから)。
鳩山:いや、やはり出て行ってくれ。
米軍:・・・なめとんのか。

米軍だって日本の都合にこうまで振り回されたのでは、沽券に関わります。要は米軍のメンツの問題(と、それに絡めてカネを出せと言っているだけ)なので、落としどころはありそうに思えます。