辺野古の新案はウソデタラメばかり

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県民大会に連帯する集会を姫路で持ちたかったのですが、憲法集会を控えていて余力がないので、あきらめていました。その代わりといってはなんですが、5月2日の憲法集会で、普天間基地撤去のアピールを、沖縄現地から肉声でいただくことになりました。携帯でつなげてマイクで流す。きっと姫路市民の胸に、沖縄の切実な声が届くことでしょう。

というようなことを企画している間にも、情況は刻々と変化しています。新しい案というのが浮上しているそうです。(風棲さんとこからいただいた)

*http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100427-00000503-san-pol
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題で、政府は26日、米軍キャンプ・シュワブ(同県名護市)沿岸部に移設する現行案の2本のV字形滑走路を南側の1本だけとし、これを沖合に移動させる「浅瀬案」を米側に提示して最終調整を図る方針を固めた。工法も海流やサンゴ礁への影響が大きい埋め立て方式から杭(くい)打ち桟橋(QIP)方式に変更する。複数の政府関係者が明らかにした。

浅瀬案は、現行案を「最善」とする米政府と、騒音軽減や危険性除去の観点から滑走路の沖合移動を求めてきた沖縄県の要求をともに満たす案として、外務・防衛両省の主導で検討されている。

浅瀬案は、滑走路を現行案より最大で南側に350メートル、西側に150メートルの位置にある浅瀬に移動するもので、住宅地の騒音被害は現行案よりもかなり軽減される。また、埋め立てずに、海底に杭を打った上に滑走路を造るQIP方式は「きれいな海を埋め立ててはだめだ」(小沢一郎民主党幹事長)との声に配慮している。

まず写真を。

白い部分が計画中の滑走路の案です。これを左側の浅瀬(色の薄い部分)に移そうと言うんですね。冗談ではありません、これは全く駄目です。駄目な上、新聞記事はウソばっかりです。典型的な情報操作です。こんなものに騙されるほど、私たちはバカではありません。

1.これは一度くつがえされた古い案にすぎない

この案は現行案以前、10年も前に米軍が提案していた案です。

写真:海上ヘリポート計画案(1997年、普天間飛行場対策本部)
(SACO=沖縄に関する特別行動委員会=資料より)

分かりやすい図を掲示します。
これは昔の新聞記事です。

この浅瀬案ではダメだということで、否定されたのが10年前。これに代えて、もっと良い案だというので日米が合意したのが、いまの「沿岸案(V字型滑走路)」なのです。浅瀬案が否定された背景を、読売新聞社社説は、こう解説していました(2005年10月27日)。

合意したキャンプ・シュワブの兵舎地区の「沿岸案」は、当初、「陸上案」を主張した日本と、「浅瀬案」を求めた米国が歩み寄った、いわば折衷案である。「沿岸案」の対象海域にはサンゴ礁やジュゴンの餌場である藻場が少なく、海洋環境の破壊は最小限にとどまる。キャンプ・シュワブの陸上部分から建設できるため、反対派の海上阻止行動に工事を妨げられにくい。日本側はこうした理由を挙げて、米側に理解を求めた。

てことは、「浅瀬案」はサンゴ礁やジュゴンの餌場である藻場があり、海洋環境の破壊につながる場所ってことじゃないですか。

2.環境に配慮した案ではない

「埋め立てずに、海底に杭を打った上に滑走路を造るQIP方式は「きれいな海を埋め立ててはだめだ」(小沢一郎民主党幹事長)との声に配慮している」。子供だましのようなことをいうものではありません。杭打ち方式は、もともとの米軍案もそうでした。

杭打ち方式にしても、その上はべったりと構造物で覆われるんです。太陽の光がまったく遮断されるんです。どうしてそこでジュゴンのエサとなる藻が育ち、サンゴが繁殖するでしょうか。光合成できなければ植物が生育できません。潮流や波のおかげでいくらかは海水の入れ替えがあるでしょうが、全体として、どうしてもその場所は低酸素状態になるし、日が差さないから低水温となります。そういう場所にはヘドロがたまります。すると周辺海域にもヘドロの毒素が流れ出します。最悪ですよね。

騒音問題もそうです。米軍基地内につくる沿岸案よりも南に下り、西に寄ったら住宅街に近くなるじゃありませんか。辺野古地区だけでなく、豊原地区まで騒音地帯になる可能性があります。今後、自治体が反対決議をしている豊原地区に、騒音対策ということで金をばらまいて懐柔しようと言う動きが始まるかも知れません。これでは自民党政府のやってきたことと寸分変わらない。許し難いです。

3.発表には隠された部分があるはず

「2本のV字形滑走路を南側の1本だけとし、これを沖合に移動させる」と書けば、まるで滑走路だけのように読めますが、陸上と切り離されているのだから、滑走路だけですむはずがありません。飛行機の駐機場所、格納庫、燃料タンク、宿舎、倉庫。こういったものが一体でなければ、運用できません。上にある米軍案を見てください。こういうことに、必ずなるんです。これだって、滑走路は一本じゃないですか。現行案よりもできが悪いとされて、一度失格のスタンプが押されてお蔵入りになったものが、もう一度現れたら、どうして現行案より優れたアイデアってことになるんでしょう。米軍基地は吉兆の使い回し料理なのか。

これほど出鱈目な計画を持ち出してくるハトの進退など、どうでもいいです。こんな案を許すことだけは、絶対になりません。それにしても、記事はウソで満たされています。

  1. これは新しい案ではなく、一度くつがえされた古い案にすぎない
  2. くい打ち方式は環境に配慮した案ではない
  3. くい打ち方式は「きれいな海を埋め立ててはだめだ」という小沢さんの意向に配慮したのではなく、もとからあった米軍の案にすぎない。
  4. 騒音軽減はあり得ない。
  5. 建設するのは滑走路一本だけではない。

……つまり報道内容のほとんど全部が、デタラメってことです。こんなウソデタラメばかりを書く新聞を、「報道機関」扱いしてよいものでしょうか。