沖縄の海兵隊は台湾斬首作戦と戦うのか!?

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この日記は「沖縄海兵隊の抑止力を中国が認めた!?」につけられた魚類さんのコメント(編集注)へのアンサーです。

*編集注
魚類氏のコメントは、
「沖縄海兵隊の抑止力を中国が認めた!? 」(2010/5/26)

http://doro-project.net/archives/997

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1497781760&owner_id=12631570
に付けられたコメントを参照してください。

がんばれ社民党!のエールをこめて。

魚類さん
コメント有り難うございます。では読ませていただいた感想を申し上げます。はじめにあなたの論理の矛盾をひとつ指摘します。つぎに「斬首作戦」と戦うのだったら海兵隊はイマイチじゃないかという話をします。それから、斬首作戦なんか幻にすぎないことを書きます。最後になぜ斬首作戦は幻なのかを示すため、それが実行不能の作戦であることを示して、終わります。ちょっと長いけど、よろしく御願いします。

1.中国専門家の談話は斬首作戦と無関係

JSF氏は沖縄海兵隊に抑止力がある根拠に、中国専門家の談話を挙げています。では、中国専門家は、「斬首作戦」(*末尾解説参照)を認めているのでしょうか。それがやりにくくなるから、沖縄の海兵隊を警戒すると述べているでしょうか。いいえ。斬首作戦などというものの存在を中国は認めていません。ですから、そんなものを前提に話をするはずがないのです。中国専門家の談話は斬首作戦と無関係です。なので斬首作戦を合わせて考慮すべきとの魚類さんのご意見は採用できません。

2.海兵隊は抑止力ではない

JSF氏が「抑止力」について「相手が躊躇する力」と述べているのは正しいと思います。ではそれを前提に沖縄の海兵隊の抑止力を考えましょう。普天間の部隊がなくなれば、中国は米軍を警戒しなくてよいのでしょうか。私は斬首作戦など中国人民解放軍も米軍も真剣に検討しているとは思いませんが、そう言ってしまっては魚類さんが納得しないだろうから、ここは仮に検討しているとしましょう。さて、台湾に緊急に部隊を送り込むことになりました。この場合、送り込むのは海兵隊とトリイステーションのグリーンベレーとどちらが有利でしょう。

<海兵隊>
輸送手段は、最大巡航速度が500㎞/hをはるかに下回るオスプレイです。装備は小銃だけ、あとはせいぜい迫撃砲です。一度に運べる人員は、1個大隊500人(2012年以後はどうせ1個大隊しか残りません)。兵士は普通の歩兵であって、特殊部隊と戦う訓練をあまり積んでいません。

<陸軍>
陸軍のグリーンベレーは、巡航速度550kmのC130で、空挺作戦を行います。装備は携行武器の他、車両も積めます。人員は500名。兵士は特殊部隊と戦う訓練を積んだ、特殊作戦のプロです。さて、どちらの使い勝手がよいでしょうか。海兵隊がいなくなっても、グリーンベレーがいれば抑止力に不足しません。もしも米軍が斬首作戦に対抗することを真剣に考慮しているなら、むしろ海兵隊はグアムに下げて、陸軍を増派した方がよいのではありませんか。そしてその方が「相手が躊躇する力」は増すはずですよね。

3.斬首作戦など存在しない

ところで、斬首作戦というものですが、米国防総省が真剣に検討した形跡はありません。JSF氏もそんなことは語っていません。氏が述べているのは、「記事にそう書かれている」ということだけです。その記事が正しいとか、裏取りをしたら確かにそうだったとはどこにも書いていません。氏のことですから、必ずその記事の根拠を探したはずです。そして何か裏付けがあれば書いたでしょう。探したけれど何もなかったから、書かなかったのだと思います。

「アメリカ国防当局者(国防総省ではありません)が懸念している」と書いているのは、香港の新聞アジアタイムズの一記者です。しかも記事には、記者がそう書いた根拠となる資料は示されていません。一個人の勝手な思いつきにすぎないのです。そういうものに飛びつくしかないところに、沖縄海兵隊の存在意義の薄さが逆照射されていると、私なんかは思いますよ。

4.斬首作戦は不可能です

話の都合上、「2」で斬首作戦に対する「抑止力」がグリーンベレーにあるように書きましたが、私の本当の考えは、そんなもん「抑止力」になるはずがないというものです。人民解放軍がどんな特殊部隊を送り込んでくるのか知りませんが、彼らは中華民国陸軍20万と戦って、たった数日で台湾島全土を制圧するというスーパーマンです。

そんな相手にたった500や600の軽装備の歩兵が、どうやって太刀打ちするというのでしょう。てか、500人ほどの海兵隊でどうにかなる相手に、中華民国20万陸軍が手も足も出ないなんて、あまりにもバカにした想定ではないですか。

もしも斬首作戦などというものがあるのなら、何も沖縄の海兵隊を用意しておく必要はありません。

中華民国陸軍から数千人を選抜して、特殊部隊訓練をすればいいのです。

さて。

政権中枢の要人を制圧すれば国が乗っ取れるなんて、中華民国は内紛ばかりしていたアフガンや、アフリカの新興独裁国じゃないんですからね。民主主義の定着した、人口2300万人を擁する近代国家なんです。中央政府が乗っ取られたら、たちまち地方政府が組織され、軍隊と警察はその政府に忠誠を誓い、市民は義勇軍にはせ参じるでしょう。そして首都にいる侵攻部隊を包囲してせん滅することでしょう。

こんな馬鹿げた想定が可能なら、中華民国は特殊部隊を北京に送り込むべきです。中華人民共和国要人を制圧して臨時政府を樹立するんです。すると中国人民解放軍はその政府に忠誠を誓い、中華民国はめでたく大陸反攻に成功します。……と書いたら、このシナリオがいかに馬鹿げた妄想か分かりますね?

<解説>斬首作戦とは
沖縄海兵隊の戦闘部隊、米「移転困難」
読売新聞 2005/6/30

米側の説明は今春、日米の外務・防衛当局の審議官級協議などで伝えられた。それによると、中台有事のシナリオとして、中国軍が特殊部隊だけを派遣して台湾の政権中枢を制圧し、親中政権を樹立して台湾を支配下に収めることを想定。親中政権が台湾全土を完全に掌握するまでの数日間に、在沖縄海兵隊を台湾に急派し、中国による支配の既成事実化を防ぐ必要があるとしている。

数日以内に米軍を台湾に派遣できない場合、親中政権が支配力を強め、米軍派遣の機会を失う可能性が強いと見ているという。

中国は、台湾に対する軍事的優位を確立するため、地対地の短距離弾道ミサイルやロシア製の最新鋭戦闘機を増強したり、大規模な上陸訓練を行ったりしている。ただ、こうした大規模な陸軍や空軍の軍事力を使う場合には、米国との本格的な戦争に発展するリスクが大きい。これに対し、特殊部隊を派遣するシナリオは、大規模な戦闘を避けることで米軍の対応を困難にし、短期間で台湾の実効支配を実現する狙いがあると、米側は分析しているという。

こちらもどうぞ

The year to fear for Taiwan:2006
Asia Times Online 2004/4/10
http://www.atimes.com/atimes/China/FD10Ad02.html

福島氏、閣議での署名拒否明言 普天間移設
*http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1222129&media_id=88