落ちて来ないから落ち着こうという落ち

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北ミサイル 東北各地に緊迫感
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テポドン騒動について、私の評価はこうです。
日本政府は起き得ない事態に備えて、できもしない対策を立て、無駄に緊張と対立を深めている。

それは前にも書きましたが、今日は別のアプローチでそのことを語ります。

■テポドンが日本に落ちるのはむずかしい

テポドンが失敗して日本へ落ちてくる事態をシミュレートしてみましょう。

1段目はまっすぐ上昇し、大気圏を抜けてから徐々に斜めコースをとります。燃料を使い果たした時点では、まだ日本海の中程にも達していません。失敗の可能性が高いのは、まず1段目の切り離しがうまくいかないことと、2段目の点火失敗です。が、この場合は日本に届かないんです。

2段目は速度を上げながら斜めに上昇し、本州を飛び越えます。テポドンが日本に落ちるためには、2段目に点火した直後、ちょうど日本海の真ん中よりちょっと西寄りあたりでタイミングよく故障しなければなりません。速度の水平成分はマッハ3程度でしょうか。ちょっとでも故障のタイミングが早ければ本州に届かないし、遅ければ飛び越えて太平洋に落ちます。

いったん点火したロケットエンジンが燃焼途中で急に故障するというのが原理的にありにくいうえ、そんなにタイミングぴったりに故障するなんて、よほどの偶然が重ならなければ起こりません。

でも天に見放されたかのようにそういうことが起きたとしましょう。すると長細い2段目が3段目とペイロードをくっつけたまま落ちてきます。高度200kmぐらいの宇宙空間から、マッハ5以上の早さで、しかも空気抵抗があるのであっちにフラフラ、こっちにフラフラ、不安定に落ちてきます。

これを破壊しろというのが自衛隊に下された日本政府の命令です。命じられた方は大変です。

■テポドンを破壊するのはむずかしい

マッハで飛ぶ物体同士をぶつけるのですから、2つが出会うタイミングは数千分の1秒。しかも数十cmのズレも許されません。

弾道ミサイルの弾頭ならニュートンの落体の法則に従って落ちてくるので未来予測ができますが、まるで木の葉のようにキリモミで落ちてくるのでコース予測ができません。当たれば奇跡です。

どの迎撃ミサイルも電気信号が油圧装置のアクチュエーターで物理的力に変換され、油圧パイプで方向舵に伝えられ、それで飛行制御しています。技術畑の人ならご存じでしょう、どんなに精巧なシステムでも、機械的なブレは不可避です。地上のレールを走るようなわけにはいかない。理想的にまっすぐ飛んでくる物体を迎撃するのだって大変むずかしいのです。

■安全保障は冷静に

頭を冷やしましょう。
冷静さを欠いては敗けです。それが安全保障の鉄則です。
テポドンはそもそも日本向けじゃありません。
日本の脅威はテポドンではなくノドンです。それも核を積んでいなければ脅威ではありません。
そして朝鮮は非核化に同意しています。
ならば半島の非核化を実現するため、六者協議を実効的なものにするアプローチに切り替えるべきです。
これを書いてると無茶苦茶長くなるのでまたの機会に。