海賊対策で陸上作戦承認=国際調整枠組みも整備-安保理

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1026210746&owner_id=12631570

【ニューヨーク16日時事】国連安保理は16日の閣僚級会合で、ソマリアの海賊掃討のため、同国領海に加え、陸上での軍事作戦を承認する決議案を全会一致で採択した。当初案は「上空を含むソマリア陸上で必要な措置を取ることができる」と明記していたが、一部の国の反対を受け「ソマリア国内で」という表現に和らげた。

決議は米韓など6カ国が共同提出。承認期間は来年12月2日までの約1年とした。海賊対策に関する連絡調整窓口となる国際的枠組みの整備や、情報共有センターの設置も呼び掛けた。海賊問題での安保理決議はこれで計4本になった。
*http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=698594&media_id=4

ニュースで重要なのは「国際調整枠組みの整備」の方です。陸上作戦の方は、詳細が報道されない限り、どうなんだかなあと疑問符をつけて読んだ方がいいのではないでしょうか。

そう考える理由を書きます。

AP通信によれば、ソマリア海域を担当する米第五艦隊司令官ビル・ガートニー中将が陸上作戦の効果に疑問を表明しています。
*http://www.ktuu.com/global/story.asp?s=9510916

こういう場合、現場の意見が大事ではないでしょうか。

イラク戦争「衝撃と恐怖作戦」が中途半端にしか成功せず泥沼化した原因は、ラムズフェルドが陸軍の意見具申を却下したのが大きな原因の一つであると言われています。

中将が指摘するのは、海賊を識別できず一般市民を殺してしまう危険です。そのことでイラクとアフガンの民心が米国から離反したのですから、中将の指摘は的確だと思います。中将は軍事作戦という安易なオプションよりもソマリアの治安、安定性、政府を向上させ、海賊たちを逮捕、拘留し、裁判にかけられるように国際法を整備する方が効果的だと言います。

写真:米第五艦隊司令官ビル・ガートニー中将

同じインタビューについてもっと詳しい別の報道では、ブッシュ政権高官の言葉を紹介しています。
「提案は米国が地上作戦を計画していることを意味しない」

これを信じるならば、今回の合意は単なるブラフ以上のものではないことになります。米国がやらないなら、他にやる国があろうとは思えませんから。
http://www.msnbc.msn.com/id/28197285/#storyContinued

先ほどのビル・ガートニー中将は、すでに民間船舶が適切な対策を取りつつあるし、国際艦隊は8月以来、50回の襲撃を撃退していると言います。海賊の武器を海に捨て、襲撃に使った小型船を沈めている。しかし法が整備されていないので犯人を釈放しなければならないと。だから国際法を整備するほうが良いということなんですね。現場を知る者の的確な意見だと思います。

別のニュースもありますね。

「自衛艦派遣を検討=外務政務官」
*http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=698597&media_id=4

西村康稔外務政務官が国連安保理で語った中身に目新しいものはありません。日本も何かしていると言わなければならないので言っただけで、この問題について国内で何か新しい進展があったという報告ではありませんから。

どうも日本の一部には何かと言えばすぐに軍事オプションを選択したがる傾向が見られますが、現地視察さえしたことがない地域のことなのに、どうして簡単に自衛隊派遣という選択に向かうのか、不思議です。

日本のソマリア海賊対策の現実は、海上保安庁がようやく今月12日に3人の調査官を派遣して現地で事情聴取しているという、そんな有様なんですからねえ。