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■どんなときに「迎撃」するのか
テポドンが成功すれば弾頭は宇宙空間で人工衛星になります。
これなら迎撃する必要はないし、そもそもそんな高々度の宇宙空間を飛ぶものを迎撃できる国際法上の根拠がありませんし、そのうえそういうことができる能力を日本は持っていません。
言われている「迎撃」というのは、テポドンがうまく上がらなくて失敗し、日本に落ちてくるときの「備え」です。
失敗するときは、どこに落ちるか分かりません。
テポドンが失敗したときの「備え」としてPAC3が配備されるのは3カ所です。
秋田県の新屋演習場、岩手県の岩手演習場、東京の市ヶ谷です。
ということは、政府としては少なくともこの範囲内に着弾する可能性に備えていることになります。
そこでその可能性について簡単な計算をしてみましょう。
■失敗して本州に落ちる確率0.16%
テポドンが失敗して落下しそうな範囲はどんな広さでしょう。
日本海の広さは100万平方キロ。着弾対象範囲はその1/3とみて30万平方キロ。
本州の広さは23万平方キロ。着弾対象範囲は東京以北なので1/3の8万平方キロ
太平洋の広さは1億6,600万平方キロ。対象範囲は北半分なのでやはり1/3として5,000万平方キロ。
合計5,038万平方キロです。
このどこに落ちるのか分かりません。
すると制御を失った弾体が運悪く本州に着弾する確率は単純計算で8/5,038。
つまり0.16%です。
1,000回失敗すれば1~2回は本州に落ちるかも知れない確率です。
「1,000回打ち上げれば」ではありませんよ。
打ち上げたうちで失敗が1,000回重なれば、です。
ちなみに打ち上げ回数世界第3位の日本が1975年の人工衛星成功以来打ち上げたロケットはN-Iが7機、N-IIが8機、H-Iが9機、H-IIが7機、H-IIAが14機。合計45機です。このうち失敗は数回です。
打ち上げがこの14年間に3機目という朝鮮が1,000回失敗するのに、はたして何万年かかるんでしょうか。
■PAC3で迎撃できる確率 0.0075%
PAC3の有効迎撃範囲は半径20キロだそうです。面積にして1,256平方キロです。
3カ所に配備されるので、合計約3,800平方キロ。
弾体がたまたまPAC3の迎撃可能範囲に落ちてくる確率は3,800/50,380,000。
迎撃可能確率 0.0075%です。
1万回打ち上げに失敗すれば、1回弱は迎撃範囲に落ちてくるかも知れない確率です。
朝鮮がこれだけの失敗を繰り返すためには、何十万年かかるでしょうか。
こんな確率はゼロとみなすしかありません。
しかも、そこに落ちてきたとき以外は迎撃しても届かないので、ただ指をくわえてみているしかありません。落ちてくるかも知れないという10万平方キロ範囲に住む人たちのうち、9万62,00平方キロ範囲の人には打つ手がありません。「守られる」面積は東京以北の4%しかないのです。
■人に危害が及ぶ確率
日本の平野部面積は定義の仕方にもよりますが約20%。
そのうち田畑を除いて人が居住している面積は1/3以下。
何もしないでほっておいても9割以上は人のいない所に落ちます。
市街区域に落ちてもそのかなりの部分が河川や公園ですし、東北部はとりわけ人口密度が低いので、ほとんど害がないでしょう。
するとこれまでの確率とかけあわせれば、これから先、地球上に人類が誕生して以来という長い期間を通算しても、その間にテポドンで人に危害が及ぶのは1人かなあという確率です。
しかも、悪いことに迎撃してうまく弾体を直撃できたら破片が飛び散って落ちてきます。一つ一つの被害は小さくなるけれど、被害範囲は広くなるのです。
■結論
ほとんど起きえない事態のために国を挙げて大騒ぎして、ほとんど実効性のない対策に血道を上げる。杞の国の人もマッツァオですよね。
ちょっと煽られればすぐに熱くなってしまう国民性は、良いときもあるけど今回のような場合にはマイナスだと思うなあ。