スリランカの戦争 心配なこと

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スリランカ戦闘地域から市民数千人脱出、内戦は最終局面に
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かなり一方的な偏った見方かも知れませんが、反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)には彼らなりの正義があったと思います。多数派民族であるシンハラ人のやり口はいかにもひどい。

スリランカにはイギリス統治時代に英語を使えるエリート層と、使えない労働者層がいて、激しい社会矛盾が起きていました。シンハラ人エリートはその対立を緩和するため、闘いのエネルギーをタミル人差別に誘導したのです。いわばガス抜きのために差別を奨励したのです。

タミル人には土着のタミル人の他に、イギリス統治時代にインドから移住したインド・タミル人がいるのだけれど、1948年にシンハラ人政府はインド・タミル人の公民権を奪ってしまいました。翌年には選挙権も取り上げました。その数年後にはタミル語を公用語からはずす「シンハラ・オンリー法」を制定し、さらに優秀なタミル人を高等教育から締め出すために大学入試制度をシンハラ人に有利に変えてしまいました。まるでナチス政権のユダヤ人政策のようなものです。

もともとタミル人は穏健だったのですが、ここまでされれば武装闘争やむなしと考える人々もでてきます。LTTEが結成されたのは1972年。創設者は18歳の少年でした。
シンハラ人政府はそれら過激派の挑発行為を口実にして、穏健派タミル人政党をも非合法化し、交渉を断絶してしまいました。
それ以後、タミル人は自らの生存と尊厳を獲得するため、絶望的な闘いにのめり込んでいくことになりました。

客観的にみれば、戦争の大義はタミル人にあります。しかし絶対的少数派ですから、勝ち目がありません。彼らはいま追いつめられ、敗北寸前です。

報道は「LTTEがタミル人市民を人間の盾にしている」と書いていますが、その状況はおそらく沖縄戦の最終局面に似ているのではないかと思います。自らの絶対的正義を信じているのは戦士だけではないでしょう。市民は軍から情報を吹き込まれているのですから、最終的勝利を信じて、かなりの市民が自発的に軍と行動を共にしているのではないでしょうか。
包囲が狭まるにつれて、絶望にかられた軍が市民を道連れに玉砕しようとしないでしょうか。サイパンや沖縄のような集団自決が起きないでしょうか。

それにしてもこれはなんという戦いでしょう。
正義など紙切れほどの値打ちもありません。
民主主義や平等や公正といった価値観がまるで機能しない社会が、まさしく現代に存在するのです。

タミル人の何がいけないというのでしょうか。
何も悪くありません。
ただ単に力がなかっただけです。

いま非難されているのは、座して死を待つぐらいなら悪辣と言われようが敵を道連れにして巻き込み、混乱の中に活路を見いだそうという、いわばやけくそのあがきです。非難するぐらいならもっと早くになんとかできなかったのでしょうか。できなかったのですね。
インドがしばらくはタミル人を支援していましたが、実利がないので放り出してしまいました。タミル人を守ってみたところで何のメリットもないのだから、あえて火中の栗を拾いたい国などどこにもなかったのです。

自らを守る力がなければ、世界も助けてはくれない。
人の命などちりあくたほどの値打ちも認められない。

憲法第9条の理念を世界に広げることについては、私は全面的に賛成です。しかしその理想を冷ややかにあざけり笑い、人間を虫けらのように扱って恥じない連中が、政府権力を握っている社会があるというのも、世界の哀しい現状です。言葉を失う現実です。

<報道>
5月14日、スリランカの戦闘地域から市民数千人が脱出したことが明らかに
2009/5/14

[コロンボ 14日 ロイター] スリランカで最終局面を迎えている反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」の掃討作戦で、LTTEに捕らわれていた市民数千人が14日、同国北部の戦闘地域から脱出した。スリランカ軍と国連が明らかにした。

軍によると、同日夜までに2700人が脱出し、さらに1000人以上が待機している。また、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は現地からの情報として、最大6000人が既に脱出したか、これからしようとしているとロイターに明かした。

UNHCR現地代表のアワド氏は「LTTEは脱出を試みる市民に向けて発砲している。海軍は一部を救出したとしているが、残された人たちについて懸念している」と話した。

一方、国連安全保障理事会とオバマ米大統領は13日、LTTEに市民数万人の解放を促し、軍にも市民への発砲と重火器の使用を停止するよう訴えた。