米軍のウガンダ派遣と自衛隊

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■米軍のウガンダ派兵の目的

イラク、アフガンから米軍を撤退させるオバマ政権が、ウガンダに米軍を派遣することを決めました。「神の抵抗軍」という小さなテロ組織を壊滅するためだそうです。

「神の抵抗軍」はアルカイダと違って、米国に直接の脅威を与えていません。脅威を与える能力も持っていません。「神の抵抗軍」は米国を標的にしておらず、自分たちの出身地である小領域の支配をめざしているだけです。

なのに、なんでアメリカが乗り出す?アメリカはなんと戦争の好きな国だろう!こう思った方もあるかと推測しますが、この奇妙な決定には、「対テロ戦争は“文明間の戦い”ではない」とアピールする目的があると思います。

というのは、「神の抵抗軍」はキリスト教原理主義の残虐なテロ組織だからです。米国はイスラム教ばかりを標的にしているのではないことをアピールして、こじれてしまった対イスラム関係を修復したいのでしょう。そんな動機で戦わされる兵士はたまったものではないと思います。

■神の抵抗軍とは

アメリカは「神の抵抗軍」と戦う理由の一つに、彼らの非人道性を挙げています。「神の抵抗軍」は極めつきの残虐さで知られているのです。彼らがどの程度に残虐か、下の記事ひとつだけでもわかると思います。

2010年03月29日
斧とバットで住民321人を殺害、250人拉致【神の抵抗軍】
http://matometanews.com/archives/1128505.html

こんなのを許しておけないと考えるのはアメリカだけではありません。2005年10月5日、国際刑事裁判所は、「神の抵抗軍」指導者で救世主を自称するジョセフ・コニーを含む5人の幹部の国際逮捕状を発行しています。

が、小規模とはいえ軍隊をもつ犯罪者を警察力で逮捕することなど不可能なので、いまも幹部は残虐行為の指揮をとり続けています。

彼らは現在も日常的に少年少女を拉致しています。その推定数、2万人! 少年は使い捨ての兵士に、少女は性奴隷として使役されているそうです。

拉致された少年は暴力で脅され、一人前の兵士になるための儀式を強制されます。度胸をつけ、兵士として生きる覚悟を決めさせるために、残虐行為に手を染めるよう命令されるのです。その命令とは、村の子ども達の腕や足をナタで切り落とす、耳や鼻や唇を削ぎ落とす、そのうえで撲殺する、などなど……。

子ども達は拉致被害者であると同時に、手足の切断を含む非人道的行為、略奪、放火、市民の殺害、子供の拉致などの加害者でもあるのです。身の毛もよだつ話ですが、まぎれもない事実なのです。

この兵士養成法は、ポルポト派がオンカーの少年兵養成のためにやったのと同じ手口です。洋の東西を問わず、人間はなろうと思えばどこまでも悪魔になれるようです。こういう現実を見ている国際社会が日本の拉致問題に冷淡なのも、無理からぬものがあるのではないでしょうか。

■作戦の見通し

米兵がどのような関わり方をするのか不明ですが、直接戦闘に参加するとしたら、作戦の失敗は目に見えています。理由は2つです。

第1に、「神の抵抗軍」は地域住民からそれなりに支持されている形跡があるからです。恐怖をもちいた支配で、権威を獲得することはできるのです。それに一定の治安維持活動はしているし、人民の守護者の一面も持っているのです。地域を地盤に戦う勢力を壊滅するためには、人民戦争との戦いを覚悟しなければなりませんが、そのような戦争で米軍が勝てた試しがありません。

第2に、「神の抵抗軍」との戦いは、取りも直さず少年兵との戦いとなるからです。彼らの戦闘員の85%は11歳から15歳の、拉致してきた子供たちです。彼らを殺さなければ作戦の成功はありませんが、殺せば米兵は途方もない罪悪感に責めさいなまれるでしょう。残虐行為を日常化している軍隊と、「文明国」から来た兵士でつくる軍隊が戦えば、野蛮な方が強いに決まっています。

■日本への波及

「神の抵抗軍」は国境をまたいで活動しています。政府軍に負けそうになると、国境を越えて隣国へと逃げてしまうのです。彼らはウガンダ、コンゴ、南スーダンを自由に出入りしながら作戦行動を取っています。

スーダン?

そうです、自衛隊の派遣が決まったスーダンも、「神の抵抗軍」の活動範囲なのです。

イラクのときと同じく、陸上自衛隊は建設任務が中心で治安活動を行いませんし、「神の抵抗軍」の活動地域とはかなり離れているので、まず大丈夫とは思いますが、アフリカの勢力地図など山の天気よりも変わりやすい。

いつスーダンに内乱が起こり、偶発的な戦闘に巻き込まれないか、やや心配です。コンゴ、モザンビーク、ソマリア、イエメンと、アフリカ派遣が続いています。徐々に自衛隊がアフリカの紛争に引きずられないか、これも心配なことです。