ソマリア沖海賊対策で巡視船提供検討

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1032842518&owner_id=12631570

読売新聞 2008/12/24 23:29
*http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=705557&media_id=20
河村官房長官は24日の記者会見で、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策について、ソマリア対岸のイエメン政府から巡視船提供の要請があったことを明らかにし、「どのような対応ができるか、検討を始めたところだ」と述べた。

日本政府からようやくまともな意見が出てきました。

イエメンは海上保安庁が主催する「海上犯罪取締研修」に参加している国なんだし、積極的に要請に応えるべきだと思います。
*http://newsing.jp/entry?url=www.tokyo-np.co.jp%2Farticle%2Fnational%2Fnews%2FCK2008101802000235.html

海保の巡視船には機関砲がついているのでそのまま輸出できませんが、取り外してから中古の巡視船をインドネシアに提供したことがありますので、今回もそうすればいい。インドネシア政府が手を焼いていたマラッカ海峡の海賊はロケット砲や機関銃を装備しており凶暴でしたが、取締のノウハウを提供するなど海保が支援した効果があって、海賊被害が激減しています。

そしてマラッカ海峡には軍艦なんか出ていません。軍艦の派遣を打診した米国に対して、インドネシア政府はそんなものいらないと断っています。

<関連日記>
海賊退治に適任なのは海上保安庁

海賊対策 海自の護衛に前向き * それより実績のある海上保安庁にお願いしてはどうでしょう。海賊の名所だったマラッカ海峡では事件が減少しています。日本の取り組みが功を奏したのだと思います。海上保安庁が海賊船より足の速い中古の巡視船を提供したり、関...

<参考>
アジア海賊対策地域協力協定
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaiyo/kaizoku_gai.html

<関連情報>
デンマークの海洋安全保障問題分析機関「リスク インテリジェンス」は大要以下のようなレポートをリリースしました。

  1. 海賊とイスラム過激派との関連を示す証拠はない。
  2. 海軍の派遣は短期的効果しか期待できない。
  3. 海賊被害を減らすにはソマリアの混乱を収める必要がある。

<資料1>
10月2日「ソマリアで拘束された船員、374人に」(Risk Intelligence, Press Release, October 2, 2008)Risk Intelligence(デンマークの海洋安全保障問題分析機関)が2日に公表したプレスリリースによれば、2008年9月の1カ月間で、ソマリアの海賊に人質として拘束された船員の数は374人に達し、過去最高となった。2007年の1年間で人質となった船員の数は世界の各海域で292人であった。

ソマリアで人質となった船員は、解放されるまで平均5週間拘束されている。9月には2人の死者が出ている。Risk Intelligenceのハンセン代表は、「海賊は人質を無差別に殺すことはしない。彼らの関心は身代金にある。彼らにとって、例え不法行為であっても、海賊はビジネスである。不幸なことに、このビジネスが比較的成功していることは明らかである」と指摘している。

さらに、ハンセン代表は、海賊問題の解決には時間がかかるとして、以下のように述べている。

  1. 最近、一部の専門家は海賊とイスラム過激派とのコネクションを指摘しているが、Risk Intelligenceの調査では、そのような証拠はない。国際的関心の高まりと各国の海軍戦闘艦の派遣にもかかわらず、今後数カ月間、このソマリア海域の海賊事案は減少することはないと見られる。
  2. 海軍戦闘艦の派遣は、短期的には効果があっても、問題の解決には繋がらない。プントランド地区(「アフリカの角」地域)とガルムドゥグ地区(インド洋に面した中部地域)の情勢混乱と海賊事案の増大には明らかに関係がある。この海域の海賊事案を阻止あるいは減少させるには、ソマリアの混乱に対する長期的な解決策が必要である。安全保障問題はその根源、つまり陸上の問題に取り組まなければならない。
  3. 海賊は、ハイジャックした船舶から平均100万米ドルの金を得ている。これは漁業あるいは農業による平均年収の600米ドルをはるかに上回る。ソマリアに法と治安が回復するまで、海賊事案の阻止は期待できない。

<資料2>
表1:最近5年間の各年第3四半期までのアジア及びその他の多発海域での発生件数の推移(未遂を含む)

海域20042005200620072008年
インドネシア7061403723
マラッカ海峡2510842
マレーシア83977
フィリピン3326
シンガポール海峡87332
タイ/タイ湾4112
南シナ海8413
ベトナム38348
バングラデシュ151433139
インド10123710
アデン湾5891051*
ソマリア11982612
ナイジェリア181492624
タンザニア42914
各年第3四半期合計*251205174198199
各年通年合計*445335276239

注:紅海での襲撃は報告されていない。また、この海域での襲撃事案はソマリアの海賊によるものである。

注*:各第3四半期及び通年の合計発生件数は、報告書の全ての対象海域を含む
*http://www.sof.or.jp/jp/monthly/2008.php#10