海賊問題 軍事力で片付くのか

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1027222970&owner_id=12631570

自民党と民主党の一部がソマリアに海上自衛隊を送り込もうと熱心に動いていますが、何度も書いているとおり、軍事力を行使すれば簡単に問題が片付くように考えるのは危険です。

写真:これが海賊

■取り返しのつかない失敗がすでに

先日インド海軍が海賊の母船を撃沈したとの報道がありましたが、インド海軍の誤射だったことが判明しましたね。撃沈されたのは海賊船ではなく、海賊に乗っ取られたタイの漁船でした。船員16人のうち、カンボジア人の1人が救出され、1人が死亡、残る14人は行方不明になっているそうです。国際海事局(IMB)海賊情報センターもこの情報を確認しています。(*末尾に解説)
*http://www.asahi.com/international/update/1126/TKY200811260289.html

写真:両手を挙げて投降する海賊 向こうのボロい船

■海賊の黒幕はソマリア大統領?

BBCの報道によれば海賊の多くはたった一つの部族出身者だそうです。それはなんとアメリカが支援しているソマリア連邦政府大統領アブドラ・ユスフが属しているマジャティーン族。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/africa/7623329.stm

これではアメリカは海賊行為を直接支援しているようなものです。そのうえ、海賊を取り締まると発表しているイスラムゲリラを攻撃して海賊を側面から助けているのですから、アメリカは一体何をしているのでしょうか。
*http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081124-00000610-reu-int

対テロ戦争というブッシュやネオコンの奇妙な勘違いは、いよいよ悲喜劇の様相を呈しているように見えます。

写真:海賊被害地図

こんなに広い海域を警備できないと米艦隊司令官が嘆いています

■インド海軍の失態

インド海軍の当初の発表はこうです。
「海賊の母船に停戦命令を出したが、抵抗したので撃沈した」
沈めたのが漁船だと分かってからの発表はこうです。
「海賊が船に積んでいた爆薬が爆発して沈没した」
インド海軍は嘘ついてますよね~(笑)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/7749245.stm

漁船を海賊の母船と誤認したと言いますが、それなら海賊に乗っ取られたはずの船がどこにいると思ったのでしょうか。漁船が爆発したのに、海賊に死傷者がいないのはなぜでしょう。また海賊船はどうなってしまったのでしょう。インド海軍の発表ではこれらの点がまったく説明できません。

報道を分析すると実態が見えてきます。
まず2隻のモーターボートに乗った海賊がタイの漁船エカワト・ナバ5号を乗っ取りました。インド海軍が駆けつけて砲撃するぞと警告しました。それから何があったか不明ですが、砲撃があり、海賊船は2隻とも逃げ去って海賊に被害はなく、砲弾が漁船に命中し、乗組員が死亡しました。おそらく、インド海軍のフリゲート艦タバルが近づくのに気付いた海賊がモーターボートで逃げ出し、それを狙った砲弾が漁船に当たってしまったのです。
こう考えてはじめて事態が矛盾なく理解できると思います。
インド海軍の発表は失態を取り繕うための虚偽に違いありません。