永住者参政権 「オランダの悲劇」は誤解

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外国人に選挙権を与えて酷いことになったとされるオランダの話が、反対論者からよく示されています。
しかしそれは誤解なので、ここで訂正しておきたいと思います。
合わせて「メリット」についても簡単に触れます。

■それは「移民政策」の失敗

オランダの移民学者エッチンガー教授(エラスムス大)は、オランダの現在の政策を「40年前の失策(1960年代の単純労働力導入を指す)の穴埋めに過ぎない」と述べています。

オランダの混乱は何十年も続いた移民政策の失敗なのであって、選挙権付与の問題ではありません。選挙権付与はその失敗を繕うための政策なのです。

■使い捨てから参画型への転換

オランダを含むヨーロッパ地域では、いま社会政策を転換しようとしています。

一つは便利な奴隷として移民を野放図に導入したことへの反省です。西欧の豊かな社会保障制度は、移民が底辺労働を担ったゆえではないかという反省から、移民に頼らなくても自分たちでやっていける社会への転換が模索されているのです。そこで「万人に無条件に付与される」権利から、相互に責任を果たす主体同士の「契約」へと転換が図られています。

もう一つは、移民を無権利状態に放置していたので社会統合が果たされなかったという反省です。勝手に生きろと放置し、それで生まれる社会的落伍者を公的保障でケアするという、いわば場当たり的な政策のツケが、イスラム系市民のゲットー化であり、怒りの蓄積であり、イスラム・カルトの進出につながったという分析です。

オランダのフェルドンク外国人問題・統合担当大臣は、移民を「ケアを必要とする」カテゴリーとするのではなく、彼らの「自己責任」を重視し、コミュニティへの義務を果たすことを求めると述べています。

そういう意味では選挙権の拡大は「権利の付与」であると同時に、オランダ・コミュニティへの参加を促す「義務の付与」であるとも言えます。

■西欧の失敗から学ぼう

翻って日本の現状を見ると、移民政策は極めて門戸の狭いものであり、近い将来に西欧社会が直面しているような問題が生じる可能性はほとんど皆無です。

けれども今の少子化が継続していくようなら、移民を受け入れなければ社会システムの維持が困難なのは自明です。どうしても移民を受け入れなければならないのであれば、西欧の失敗から学ばねばなりません。

  • 便利な奴隷としての移民ではならない。
  • 単純労働者だけを受け入れるのではいけない。
  • 日本コミュニティへの統合を図らねばならない。

こういうことですから、外国人労働者の権利の確保、専門職の積極的受入、社会保障の充実などの基盤整備が求められており、その一環として、永住者に対する地方参政権付与も考えられているのです。

こういうことですから、対策は早い目にスタートしたほうがいい。

日本人にメリットがあるのかという意見が多いので付け加えますと、これまでの話を前提にすれば、以下のメリットが考えられます。

  1. 少子化による社会的システム崩壊を未然に防げる
  2. 異文化が入ってきても日本コミュニティを維持できる

別の論点からはもっと違ったメリットが導出されるかも知れません。

<関連ニュース>
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中央日報/中央日報日本語版
2009年11月13日08時39分
http://japanese.joins.com/article/700/122700.html

<関連日記>
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