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■在日コリアンの生活保護についての在特会の主張
次は在日生活保護に関する在特会の主張。
Q.生活が困窮している在日を保護するのは、憲法第25条の趣旨からして当然でしょ?
A.「国民への最低限度の生活保障」を国に義務付けた憲法に基づいて、生活保護というシステムは成り立っています。憲法が義務付けるのは、あくまで『国民の保護』であり、そのため外国人に対する生活保護は憲法違反との声が非常に強いのです。
本来、外国人の保護は第一義としてその外国人が所属する国(在日であれば韓国政府)が行うべきものなのです。外国人への保護は、ある意味においてその外国人が所属する国家への主権侵害ともいえるのではないでしょうか?また、在日の生活保護率は人口比において日本国民のそれと比べて5倍もの差があり、日本における外国人生活保護人数の約70%が在日という結果が厚生労働省から発表されています(厚生労働省、平成16年度の統計より)。
■在特会の主張3つの間違い
1.憲法が保護を義務付ける『国民』とは
憲法のいう『国民』が日本国籍者だけであるというなら、つぎの条文をどう解釈すればよいのでしょうか。
第30条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
国民だけが納税の義務を負うのなら、在特会の嫌う「在日」のパチンコ屋社長は税金を納めなくていいことになります。しかしそんなことはないわけで、じつは憲法のいう『国民』にはそんなに強い規定力がないというのが、内閣法制局も認める確立された解釈なのです。なので「外国人に対する生活保護は憲法違反」という主張は失当です。
もう少し詳しくいうと、『国民』にはそんなに強い規定力がないとは言うものの、それでは何のためにそう書いてあるのか分からないことになって混乱しますので、次のように解釈されます。
「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」
しかし外国人に納税を義務づけてはいけないとまでは書いていないので、法律で納税義務を定めることが許される。
これと同じで、
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
しかし外国人に健康で文化的な最低限度の生活を営む施策を与えてはいけないとまでは書いていないので、法律等で施策を定めることが許される。
ただし外国人の生活保護受給が「権利」であるとまでは国は認めていません。あくまでも人道上の必要において施策を与えているだけだという立場に立っています。これは今後良い方にも悪い方にも変化しうる解釈です。
2.本来、外国人の保護は第一義としてその外国人が所属する国が行うべきものか。
「在日韓国人であれば韓国政府が生活保護費を支給すべきだ」というのが原則ならば、海外在住日本人が困窮すれば日本政府が生活保護費を支給しなければなりません。が、そういう制度はありません。帰国を望むなら旅費を(支給ではなく)貸し付ける制度があるだけです。制度的保証ではなく人道援助として、戦前から韓国で暮らす日本女性の一部に生活費が支給されていますが、一人約2400円~3200円であり、在韓国日本大使館の管轄では支給対象者は40人なのだそうです。
在特会の主張にはまったく根拠がありません。
「外国人への保護は、ある意味においてその外国人が所属する国家への主権侵害ともいえるのではないでしょうか」というなら、愛国的在特会としては、日本が外国の主権を侵害しないために、海外邦人のための生活保護制度を直ちに要求すべきだと思います。
日本は、1979年に『国際人権A規約(社会権規約)』を、1981年に『難民の地位に関する条約』を批准しました。これらの条約は、それぞれ福祉や各種社会権について、「内外人平等原則」をうたっています。そこで日本は、1981年に社会保障関係法令の国籍要件を原則として撤廃しています。
条約の締約国はいずれも約150カ国ほど。「外国人への生活保護は他国への侵害行為」との主張によれば、これらの条約に加盟する各国はお互いに、「主権を侵害しあいましょう」と約束したことになります。そんな馬鹿なことはありません。世界中でこのような馬鹿げたことを言うのは在特会ぐらいのものでしょう。
3.在日コリアンの生活保護率について
在日コリアンの生活保護率が人口比において日本国民のそれと比べて5倍もの差があるのは統計上の事実です。しかし民族別にカテゴリー分けして、何が言えるのでしょう。
東京都の生活保護率統計では世田谷区は0.71%に対して台東区は3.75%。5倍以上の差があります。では台東区は日本から叩き出すべきでしょうか。
府県別で見れば、北海道2.05%、福岡1.98%、大阪1.63%が高い。低い方は富山0.17、岐阜0.19が低いです。10倍以上の差があります。北海道は日本のお荷物でしょうか。
生活保護率はその地域の経済指標でしかありません。在日コリアンに生活保護率が高いのは、彼らが日本社会の中で貧しい階層に追いやられていることを示すものです。つまり差別の存在を雄弁に語る数字なのです。彼らが「特権」を享受しているのならばあり得ないことです。
では同じように差別されている他の外国人社会に較べて、在日コリアン社会の被保護率が高いのはなぜでしょう。じつは在日コリアンの被保護世帯のうち、半分以上が高齢者世帯なのです。これは無年金問題とも絡んでくる日本の病理ですね。他の外国人社会は日本での生活歴が短いので、まだ高齢化問題が波及しておらず、その分だけ被保護率が低い。そういうことです。