スパコンより基礎教育に予算を

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事業仕分けでスパコン予算が削減されたから何だというのか。日経サイエンスの愛読者としては、なにをいまさらという感じがします。日本のスパコンをつぶしたのは自民党だわ。

■場当たり的な目標設定

1秒間に1京回の計算速度を誇るスパコンをめざすって? もともとは2012年までにその10分の1にあたる1000兆回の計算ができるスパコンを作ると発表していたのに、米国に先を越されちゃったんで予算獲得の目玉がなくなり、急いで目標を引き上げただけじゃん。それが作れる根拠なんかどこにもない。景気のいい話をブチ上げては湯水のようにカネを浪費してきただけ、それが理化学研究所のスパコン計画です。

■日本のスパコンの凋落はこんなにひどい

毎年スパコンの性能順位500位が発表されてますが、1993年には日米のスパコンが世界の6割を占めていました。圧倒的なスパコン王国だったのです。それが2007年には、日本はわずか4%。トップ10に1台も入らないという惨状を呈したわけです。
日本が計算速度世界一を取ったスパコンはNECの地球シミュレータだけど、今ではそれも50位以下に後退しているはずです。

■負けて当然、日本の開発体制

なぜか。
これはもう何年も前から指摘されていることですが、色んな意味で体制が悪い。
地球シミュレータはベクター型スパコンですが、これを上回る性能を実現するために米国でスカラー型スパコンが開発され、いまではこちらが世界の主流です。なのに日本では相変わらずベクター型の開発を続けているNECがスパコン開発の中心に座りました。これはまるで全世界が空母を建造しているときに戦艦大和を作るようなものです。
他のメーカーはスカラー型を開発しているのですから、水と油みたいな体制は予算が2倍かかり、しかも統一的な意思が形成されないもんだから作業が進まず、これでは世界一を奪還するのは無理だろうと前々から書かれていたのです。
そして昨年、ついにNECが撤退を表明しました。
日本のスパコン開発はもう満身創痍、ボロボロだったのです。

■そしてここにも天下りが……

この背景にあるのが、官僚の天下り先確保のため、無駄なメーカーでも切れなかったとかいう、いつものお話しだそうです。まったくもう……。ここは一度スッパリと計画を停止して、色んなしがらみをキレイにして、一から本気で取り組まないといけないところです。スパコン予算削減、結構なことです。

■理科教育の危機を救ってくれ!

ところで私は以前、科学朝日を読んでました。すると廃刊になりました。つぎにサイアスを取り始めると、また廃刊。パリティに変えたけどこれはちと歯が立たなくて、いま日経サイエンスとナショジオを読んでます。科学雑誌が衰退する国はろくなもんじゃありません。ゆとり教育のおかげで理科の時間は半分になってしまい、学校では実験さえろくろくできないそうじゃないですか。

先日、とある研修で現役の小学教諭が「月は7つあるんじゃないんですか?」と聞いたそうです。それはいまの理科教育では月の満ち欠けの原理を教えないからだそうです。教科書には三日月や満月の写真だけが掲載されてあり、そうなる原理を知らずに名称だけ記憶すればテストで点が取れるんだそうです。その青年は月の満ち欠けを知らずに7種類の月があるのだと思いこみ、ただ丸暗記しただけの知識で教職免許を取って、それでも先生になれたんです。

こんなの教育じゃないし。こういう体たらくにしたのは、自民党のゆとり教育です。つくづくひどい連中でした。

それよか民主党がましならいいけど……ましなんだろうか。このごろちょい不安を覚えています。理科教育の予算まで削っただろう、民主党!そんなことより米軍の思いやり予算削れよ、バッサリと!