サンデープロジェクト グレーゾーン金利撤廃問題の扱いに異議あり

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昨日の「サンデー・プロジェクト」にあきれてしまいました。もともとこの番組は司会が強引なので好きではなく、見ていません。笑いながら「サンジャポ」を見ている方がましです。

昨日のテーマは、
「消費者金融大激変で日本版サブプライム問題深刻化ーーグレーゾーン金利撤廃は是か非か?」

貸金業規制法が改正になり、いわゆるグレーゾーン金利がなくされるのがいいのか悪いのかという議論でした。

グレーゾーン金利とは、

  • 利息制限法に違反している金利です。
  • 民法上は無効なので支払う必要がない金利です。
  • しかし刑法で取り締まれないので違反しても罰則がない金利です。

罰則がないから、サラ金や商工ローンは取りたい放題にしていたのですが、これに規制がかかることになったのです。

テーマに興味があったし、出演しておられるのが木村達也弁護士(全国クレジット・サラ金問題対策協議会代表幹事)とか新里宏二弁護士(日弁連多重債務対策本部事務局長)という尊敬措くあたわざる方々だったので見てみたのです。

サラ金が儲からなくなったので貸し渋りが起きて、零細企業が潰れているとか、サラ金が貸してくれないからヤミ金がはびこっているというのが、反対側の意見でした。

中に、こんな意見がありました。

  • グレーゾーンをなくすのは経済学的に間違い。
  • 法律屋は経済が分かっていない。
  • だから変な弁護士がおり、変な判決が出る。
  • 過払請求なんかは実は弁護士を儲けさせる手段じゃないか。

こんな無茶な言いっぱなしがテレビでは許される。だからテレビは怖い。

いかにも私なんかは経済学にはうといですよ。だけどもね、銀行の定期預金金利が0.3%なんて時代ですよ。年利29.2%もの利息を支払っても成り立つ商売なんてどこにある? そんなお金を貸してもらっても、いずれ破綻するに決まっている。破綻に至るまでに生活は根こそぎ壊される。家族関係も崩壊してしまう。あげくに一家は離散、年間何千件もの自殺の原因になっている。こういう状態が経済的に正しいわけかい?……テレビに毒づいてもしようがないんですがねー。

高利貸しに支払われた金利がCM料金としてメディアに還流し、また御用評論家に原稿料や出演料として流れていくのだろうから、彼らのいい暮らしを支えているお金の流れが止まるのは経済学的に「非効率的」だと言うことになるのかもしれません。

「自己責任」を強調する新自由主義経済学には「自殺」だの「家庭崩壊」だのという用語はないのかも知れない。デリバティブやサブプライムローンや、他にも何だか舌を噛みそうな難しい経済工学でたんまり儲けている人たちには、印刷屋のオヤジや自転車屋の大将が死のうが生きようがどうでもいいのかも知れません。それよりマクロ経済の活性化だとかの方が重要で正しいというのかも知れません。

しかしね、市井の取るに足りないような人々の暮らしをどうにかすることこそが経済と経済学の究極の役割だと信じる私にとっては、他人の生き血を吸うような経済のありようが正しいから、貧乏人から金利を搾り取るのを止めさせるなと言われても、それこそお前らの都合なんぞ知ったこっちゃないと言うしかありません。

そもそも弁護士が商売でこの問題に取り組んでいるのだったら、グレーゾーン金利に手をつけず、依頼された時だけ過払金を取り戻して報酬を貰ったほうがいいに決まってます。何を好きこのんで手弁当で金利引き下げ運動なんかすることがあるでしょうか。

儲けになんかならないけど、依頼事件を通じて借り手の悲惨な状態を知り、見るに見かねて得にもならない運動をやってるんじゃないですか。

それを金儲けだなんて、その意味でも論理的に破綻したとんでもない言い分を無批判に垂れ流し、きっちり批判しようとした弁護士の意見を無理矢理押さえつけて発言させないサンプロの司会は、ひどく偏向していたと言わざるを得ません。