命落とすな、自公を落とせ(2)

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これは一人の元警察副署長さんの実話です。

その方はここ何年か、自殺の名所東尋坊で私費を投じて活動拠点を設け、自殺防止の巡回活動をなさっています。自殺を思いとどまらせるだけではありません。本当の活動はそこから始まります。

活動の基本は「同伴」です。

まず、しっかりと悩み事を聴き取ります。借金を抱えている人ならば弁護士のところへ同伴します。生活困窮者には生活保護を申請に福祉課へ同伴します。精神疾患のある人なら病院へ同伴します。社内や家庭内の虐待・いじめなら、私生活にまで介入することを恐れません。人を信じられなくなっていた人がまた表情に明るさを取り戻し、もう大丈夫と思われるまでフォローします。

なぜここまでするのでしょうか。
活動のきっかけは、現職時代の体験でした。

彼は東尋坊で自殺を図っていた老夫婦を助けました。2人は東京の人でした。長年やっていた商売に失敗して200万円の借金を作ってしまい、思いあまって死にに来たのです。どうにか説得して自殺を思いとどまらせ、手首を切っていたので入院の手配をして、市役所の福祉課に引き継ぎました。

やれやれと思っていた彼の元に、その老夫婦から遺書が届いたのは5日後のことでした。
遺書は公開しても良いとのことなので、ここに全文を書き写します。

前略 先日は私たち二人の生命を助けて下さって有り難うございました。

助言いただいたとおり、妻(72歳)は金沢市役所にて老人施設による保護をお願いし、私(夫)が働いて迎えに行くことをお願いしましたが、「当県の者が入居できないのに他県の者などもってのほか……」等と簡単に一人金五百円の交通費で追い払われて

次は小矢部へどうぞと言われて行きますと「はい五百円ずつ」次は富山です。富山では魚津です、魚津では泊ですと一日が終わり、

次は糸魚川の駅前で野宿をして朝、糸魚川に行きますと、本日は役所は休みですと警備員に言われ、交通費の話をすると「何だ、放浪者の金か!」と言われ、さすがムーッとしましたが、このまま辞めてせっかく助けて下さったことを思い出し、「すみませんが雷雨なのでいらない傘を頂けませんでしょうか」と言うと、「何だ、二本もいるのか、良い物着てるのに!」と言われたのでおばさんも「好きでやっているのじゃない!」と言って立ち去りました。

次の直江津では、うちは四百円しか出せないと言われ、服装と荷物の確認をして信越廻りで帰るよう指示されました。

いらぬお世話で所持金のマイナスが出ますが、柏崎迄まいり、柏崎市役所に行きますと、一人七百円ですと渡されました。

その日終電車で次の長岡市へとまいり、今度は、市役所まで徒歩で三十分位かけて行きますと小千谷迄の運賃として一人分三百二十円づつ戴きました。

三日三晩、野宿で頑張ってまいりましたがもうこのへんが心棒(ママ)の潮時と諦めました。

思えば三国で「死ぬならどうぞ」と言われ、副署長さん以下の人に相談し、東京に帰京しようと決意いたしましたが一人五百円の乗り継ぎ人生もいよいよこの永岡で力つきてしまいました。

行く先々での白い目に足が痛くて死ぬ気になった女の方は、なお痛さが増し続け、二人にて永岡が最終の地と決断致しました。過酷な旅となりましたが、頑張り続けた二人の努力は認めて下さい。

相談しようと三国警察署に行った際はもう一度東尋坊より自殺しようと決めていた二人が、皆さまの励ましのお言葉に頑張り直そうと再出発致しましたが、いかに普通の人間にも苦しい旅に・・・。疲れ果てた二人にはとうてい戦っていく気力はありません。

保健所か福祉の人に「死ぬならどうぞ」と言われた言葉と、心から努力して頂いた三国署警察署の副所長さん以下の皆さんの御心はこれから先死んでも忘れることは無いと思います。

しかし、この道中は福井から東京では、他の人でも辿り着けないかなり難しい道のりかと思います。せっかく死ぬのが恐ろしくなっていた二人でしたが、今一度決意致しました。

絶望の日々により希望をめざす心など粉々に砕くにはさして日数はかかりませんでした。

これから、このような人間が三国に現れて同じ道のりを歩むことの無いように二人とも祈ってやみません。

平成15年 日付
三国警察署 副署長 様
(男性の署名)
わたしからも、有り難うございました。
(女性の署名)

二人は長岡市内の境内で首を吊ったそうです。
元副署長さんは書いています。

私は、警察生活を42年間やってきましたが、助けてほしい!と叫んでいる人がいたら、必ず、この日本のどこかで、誰かが支援してくれる……支援が受けられる場所があると思っていたのでした。
しかし世界に誇れる「法治国家・日本」「福祉国家・日本」と思っていた私の心にあった「日本の神話」がガタガタと音を立てて崩れ去る瞬間を感じました。

『自殺予防-自死遺族支援の現場から』民事研究会より

この元副署長さんは本当に立派です。心から尊敬できる方です。私に同じ事をしろと言われても、できないでしょう。でも、こんな菩薩さまのような人でも、一人やグループに出来ることには限りがあります。

来訪した人がどれほど困っていようと、ねぎらいの言葉さえなく窓口で簡単に追い払ってしまう日本の役所。倒れそうな人を死に追いやって恥じない福祉行政。ここを変えない限りは。

東京都は銀行の失敗のツケを支払うため、四百億円のつかみ金をポンと出すそうです。兵庫県はただ一つの企業のために、姫路港に何百億円もする東洋最大級のクレーンを作ってやりました(その後企業の都合が変わって別の所に船が着くことになったので、クレーンは一度も使われることなく錆び始めています)。

こんな金なら出せるのです。なのに行き場のない老夫婦には千円の金さえも惜しみ、食事代も出さない。私はほとんど絶望しそうです。

どこかに希望があるとすれば、選挙です。自公を落とせば何かが変わるかも知れない。命落とすな、自公を落とせ。これしかないですね。