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■明確な軍事的勝利
マルジャーの重要施設すべてを占領したと米軍が発表し、BBCはアフガン軍が国旗を掲げたと報道しています。
郊外に避難していた一部の住民が、自宅に戻りつつあるとも書かれています。
この作戦全体は思っていたよりも大規模で、幅約15km、長さ約60kmの地域に渡っていました。
近くの地図にあてはめて、その広さをイメージしてください。
マルジャー攻撃はその作戦のほんの一部ですが、それでも占領地域は約200平方kmに及ぶそうです。
街にいたタリバンは戦力の1/3を失ったと推測されています。
残りの兵士はおそらく再編成中で、いずれ反撃してくるだろうと米軍は予想しています。
まだ占領されていない市街地で、最後の抵抗をするつもりでしょうか。
攻撃側には時間と補給がたっぷりあるけれど、抵抗側にはどちらもありません。
負けっ放しでは示しが付かず、民衆の離反を招くので、なんとか戦果が欲しいところでしょう。
しかし攻撃側の厚い布陣に、どのように攻撃を仕掛けるのか、その手はないように思われます。
ゲリラの強みは位置を特定されない所にあるのですが、すでにその強みは失われています。
米軍の作戦では、逃亡に備えて待ち伏せを仕掛けているそうです。
すでにヘリ部隊が背後に降下したと発表されました。
タリバンの市民兵は、さっさと投降した方がよいように思いますけどねえ。
■不明確な政治的勝利
悪い兆候
追いつめられたタリバンは屋根や窓際に女性や子どもを立たせて、その陰から発砲してくると、現地の指揮官が非難しています。
文字通りの人間の盾です。
こういう戦法で民間人が巻き添えになると、タリバン宣伝機関は米軍を非難するのでしょう。
どうしようもなく卑怯なやり方です。
ところが、です。
こんなことをされても、現地の住民は「政府軍を信用しない」と語っているそうです。
これを米軍情報紙が伝えているのだから、間違いないと思います。
アフガン政府がどれくらい評判の悪い政府なのかが、想像できますね。
そんなのとペアを組んで戦っている米国政府は、頭の痛いことでしょう。
現地住民の信用を回復するためには、汚職や強権支配をなくさないといけません。
でも、どうやって?
今後も政治的な迷走が続きそうです。
よい兆候
作戦地域の一部に、和平交渉に応じるタリバン部隊があると報道されています。
オバマ政権が拷問を禁じて、捕虜の待遇を改善した政策は、投降に対するタリバン兵の心理的抵抗を引き下げているんではないでしょうか。
狂信的なアルカイダ系タリバンは徹底的に叩く。外国ギライで抵抗しているだけのタリバンには、数年後の米軍撤退を約束して交渉し、民生援助を与えて帰農させる。
これがオバマの新しい両面戦略ですが、成功して欲しいものです。
何より自衛隊を派遣する口実がなくなりますからね。
その後にカルザイ政権がどうなろうと、知ったことではありません。
■変わるアフガン戦
下の映像は米軍がタリバンを待ち伏せ攻撃した珍しい映像です。山岳地帯を移動する小部隊をアパッチヘリで監視し、上空から機関銃で攻撃して米軍の待ち伏せ地帯に追い込み、白兵戦でとどめを刺す作戦です。手榴弾で戦う地上部隊の様子まで映っています。
*http://shock.military.com/Shock/videos.do?displayContent=210549&page=3
こういう戦いをされたのでは、タリバンに勝ち目はないでしょう。
しかし米兵の損害も増えるでしょうから、国内の反発がどうなるかなあ。
それにしても、こんな戦闘に自衛隊が駆り出されては、たまったものではありません。
改憲を唱えている人たちは、自分たちの未来が見えているんかいな。