売春拒否した20歳女性の首を切断 アフガン
2012.10.19 Fri posted at 14:50 JST(CNN)アフガニスタンで14日、売春を拒否した若い女性が夫の母に首を切断されて殺害された。
事件はイラン国境に近い南西部ヘラート州で起きた。警察によれば、被害者のマー・グルさん(20)はパン職人である夫が出勤した後、夫の母とそのいとこから売春行為をするよう強要された。グルさんが断ると、義母らはグルさんの首をはねたという。夫と義父は事件には関与していなかった。
この事件について米アムネスティ・インターナショナルのスザンヌ・ノッセル事務局長は「アフガニスタンやその周辺の女性や少女が置かれている暴力的な状況を示す事件がまた起きた」と言う。
ノッセル事務局長は声明で、アフガニスタンやその周辺の女性や少女は「強姦されたり殺されたり、幼い頃に結婚させられたりし、教育を受けることを阻まれ、性的な権利や出産に関する権利を否定されている。基本的人権が保障されるまで、こうした恐ろしい悪弊は続くだろう」と指摘する。
また米国務省は「アフガニスタンでは女性や少女が売春や婚姻を強制されることがある。結婚を強制されたあげく、夫から売春を強要される場合もあるし、借金のかたや争いの和解の印として、親族が娘を手放す場合もある」と説明する。
アフガニスタンでは1996~2001年のタリバーン政権時代、女性の就学や就労、政治参加は認められなかった。04年には憲法で女性が教育を受ける権利を認められたが、いまだに地域によっては、女子の通学は危険を伴う。
家族によって虐待されたり殺されたりする例もある。7月には、不倫を疑われた女性がタリバーンである夫によって公開処刑された。
去年、13歳でアフガン軍兵士に嫁がされ、虐待されたサハル・グルさんの事件は世界に大きなショックを与えた。サハルさんは夫に強姦されたうえ、すぐに妊娠しなかったことをとがめられて数カ月にわたって地下室に監禁された。サハルさんは爪をはがされるなどの暴行を受けたほか、「女の務めを果たさなかった罰」として売春を強要されたという。
10年8月のタイム誌の表紙を飾って話題となった鼻のないアフガニスタン女性のアイシャさんも、嫁ぎ先から逃げだそうとして鼻と耳を削がれた。アイシャさんは現在、米国にいるが、虐待によって受けた心の傷は癒えていない。
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■徹底的な男尊女卑文化
売春を拒んだら、嫁ぎ先の母親が花嫁の首を斬り落とすって、どういうことだろう? 荒々しい社会だな、アフガンは。
家同士の争いを和解するために娘の貞操を差し出すこともあるだって? 初潮もない少女と結婚して強姦、それで妊娠しなかったのが罪だと言って、罪滅ぼしに売春させるってなんだよ、わけわからん!
■古代文化が現代に
村人との和解のために、親が処女の娘を差し出す話は、聖書にもある。古代社会にはそういった風習が実在したのだ。しかも聖書では、それが神の前に善良な行いだとされていた。現代でこそ、おぞましい人権侵害だと見下げられている行為だが、当時は「美風」だったのだ。
その古代社会が、アフガンには今も現存しているのだ。女に売春を命じることは、目的が「家のため」ならば善良な、ほめられるべき行為なのだ。それを拒むのは身勝手なわがままであるばかりでなく、「家に対する侮辱」であって、死に値するほどの罪なのだ。
■アフガン戦士の哲学
彼らアフガンの男たちは、自分たちこそ古来の美風を守る男らしい戦士であり、男女同権なんぞにうつつをぬかす奴らなどは、女がアダムの肋骨からつくられ、神により「苦しみつつ夫に従わねばならない」と定められた存在であることを知らない(もしくは忘れた)哀れな連中でしかないと信じているだろう。
アフガンの農村男性は、強くあらねばならないと教え込まれている。女を従わせる力を持てと教育される。敵に対しては恐れを知らない勇士であり、家庭にあっては頼れる暴君こそが理想の男性なのだ。
そういった気風のみなぎった社会において、銃弾を恐れて敵に背中を見せるなど、死にも勝る屈辱なのだ。
■近代と古代の戦い
その固い信念が、いま米軍を悩ませているタリバンの強さの、真の淵源である。女性にとってはなんとも悲劇的な信念だ。近代兵器と、四千年鍛えられてきた「身勝手な男の論理」との戦いなのだ。どうなるのかなあ。
■信念を打ち砕いた英軍のやり方
アフガンの農民戦士は、その極端なマッチョ哲学に鍛えられた強さと勇敢さで、あの大英帝国の軍隊に、何度も煮え湯を飲ませている。
<関連日記>
今日はアフガンが独立した日11/8
だが英国軍はアフガン男でさえも妥協させ、女王陛下のもとにひざまずかせた。その方法は、民主主義国の軍隊である米軍が絶対にできないこと、すなわち、どんなに強固な信念さえも打ち砕く、徹底的に無慈悲な殺戮。これだった。さしものアフガン農民も、英国の赤服兵の残虐な大量殺戮に震え上がった。
それは近代国の戦法ではない。古代社会の戦いだ。古代戦士を打ち負かすには、古代のやり方しかなかったのかも知れない。
それをやったのが女王国の軍隊であり、女に忠誠を誓い、女に率いられた軍隊だったのだから、男尊女卑思想などハナクソほどの値打ちしかないことに気づいてくれたらよかったんだが。