天皇会見問題(1)習近平国家副主席との会見は政治利用かあ?

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1361460390&owner_id=12631570

これって民主党政権を快く思わない宮内庁の足引っ張りじゃないのかなあ(*末尾の新聞各社の記事を参照)。

1カ月ルールですが、例外はあります。

当初11月12日、13日に予定されていたオバマ大統領の訪日スケジュールが突然変更されて、13日、14日に決まったのは11月6日です。

そして天皇の会見は、14日でした。当初の予定では、すでにオバマ大統領は日本から離れていたはずの日です。すると、たった1週間で日程調節したんです。オバマ大統領だけ特別ですか?

オバマ大統領のときは問題にしなかったのに、今回はどうして問題にするんでしょうか。
このことだけで、1ヶ月ルールなんてのは政権批判のためのただの口実だとわかります。

1カ月前までの申請を各国に求めているのは、多忙な天皇陛下の日程調整をスムーズに行うため。過去10年間で、在京大使が緊急離日する際の例外的な会見が1、2回あったのを除き、ルールは守られてきたという。
*http://http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121101000122.html

大使にさえ1~2回の例外があるようですね。これだけではありません。2005年のタイの上院議長との会見もそうだったとか。国家元首でもない人に原則が曲げられてますよね。

しかもですよ、

>平成16(2004)年以降は、ご負担や年齢を考慮して、このルールをより厳格に守っていただきたいと政府内に徹底してきた。
*http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091212dde035010050000c.html

厳格さを求めたという翌年に早くも破られているわけです。調べればもっとあると思います。

宮内庁はこれまでにもあったことを、ことさら大げさに騒いでいるだけです。この程度のことを長官が記者会見で流して政権批判するなんてちょっと異常ですよね。

それに長官の発言が変なところはもっとあります。

政府の会見要請の内容は「日中友好の上で重要なので、陛下の健康が許す範囲でお願いできないか」です。

これに対して長官は「相手国の政治的重要性、国の大小に関わりなくこのルールでやっている」と言ってます。

あれ? 「中国が政治的に重要だ」なんて政府は言ってませんよね。

「重要」というのは、他国と較べてのことではなく、日中友好の立場で重要ということでしょう?
長官は論点、つまり政府要請発言のポイントをすり替えた上、発言を創作しているじゃないですか。これは由々しき問題でしょう。

ところで、政治行為ができない天皇が外国の賓客と会見する行為は、「友好」がキーワードです。友好増進は天皇の国事行為だということですね。ならば日中友好のために会見を求めるのは政治利用ではありませんよね。

「日中友好が大事」を「相手国の政治的重要性」という文脈にすりかえるのは、たとえば訪米にあたっての次の天皇発言を政治発言だと非難するようなものです。

>米国は,国際社会において極めて重要な地位を占めており,また,ペルリ提督の来航以来,日本の歴史に深くかかわってきました。

「米国が重要」という発言を、「米国の政治的重要性」にすりかえ、だから訪米するのだと言ったら、ぜんぜん大間違いですよね。今回宮内庁長官がしたのは、そういうことです。

別に民主党を支持するわけじゃないけど、事実としてこれは変でしょ?

まあ相手の訪日を来年にして貰えれば、波風たたなくて一番良かったんですけどね。

*各新聞の報道

天皇陛下と習中国副主席が会見へ 「政治利用の悪しき先例」
産経新聞 2009/12/12

政府は11日、中国の習近平国家副主席が14日来日し、鳩山由紀夫首相と会談するとともに、15日には天皇陛下と皇居で会見すると発表した。中国政府が日本側に陛下との会見を打診したのは11月下旬。外国要人が陛下との会見を望む場合に、通常は1ヵ月前までに文書で正式に申請する「1ヵ月ルール」の基準に合っていなかったが。「日中関係で非常に重要な人物」(首相)として特例的に認めた。

天皇と特例会見へ 中国副主席宮内庁は「苦渋」
東京新聞 2009/12/12

宮内庁は11日、天皇陛下が中国の習近平国家副主席と15日に皇居・宮殿で会見されると発表した。陛下と外国賓客との会見は1ヵ月以上前に文書で申請するとのルールがある。今回は所定の手続きをとっておらず、特例的措置。

異例の内閣批判 「ルール破り」「政治利用」問題視
毎日新聞 2009/12/13

天皇陛下と中国の習近平国家副主席の会見が、1ヵ月以上前に申請する「1ヵ月ルール」を破って設けられた問題は、羽毛田(はけた)信吾・宮内庁長官が報道陣への説明で不快感を示したことから表面化した。

天皇陛下との会見「お披露目」的な意味合い
日本経済新聞 2009/12/13

【北京=佐藤賢】中国が習近平国家副主席と天皇陛下の会見実現にこだわったのは、習氏の訪日が「ポスト胡錦濤」最有力候補として「お披露目」する意味を持つからだ。今回の訪日は1998年4月に胡錦濤国家主席が副主席として訪日した例をほぼ踏襲。98年には胡氏が天皇陛下と会見しており、今回実現できなければ、習氏のメンツを傷つけることを懸念した。