憲法を守るはりま集会 スライド企画

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憲法を守るはりま集会
スライドシナリオ

朗読 麦わらぼうしのみなさん
伴奏 HAJIME

岩手県大船渡市に住む、志田名津紀さん。
名津紀さんは、ダウン症で、目が見えません。

地震がきて、おじいちゃんとおばあちゃんは、
名津紀さんをつれて逃げようとしました。
おびえて泣く名津紀さんを助手車に乗せたとき、
津波がすぐ真後ろ、そこまで迫っていました。
おばあちゃんは、とっさに叫びました。
「先に行け!」
間一髪、車は津波から逃れました。
でも、おばあちゃんは、波に飲まれてしまいました。
おばあちゃんは、名津紀さんの車に向かって、
「生きろよ、こっち見るな、振り向くな、
がんばって生きろよ、バンザイ、バンザイ!」
そう言って、流されていったそうです。

人が人を愛する力、
人が人を守る心の強さを、思い知らされます。
生き残った名津紀ちゃんのお母さんは語ります。
「私は今、娘と共に、生きろよ!バンザイを考え、
答えを見つけようと模索しています。」
私たちも一緒に考えませんか?
どのようにすれば、「生きろよ!バンザイ!」に応えられるのか、
「生きててバンザイ!」というためには、何をしてはいけないのか。
それを考えるのが、震災後に生きる私たちの、つとめだと思うから。

一人の市長がいます。
彼はつい最近、当選しました。
新市長は弁護士出身です。
アイデアマンとしても知られています。
歯に衣を着せずに、政治家を批判します。
政策はまだまだ不安定です。
しかし、何かやってくれるかもしれない。
市民は期待を抱いています。
新市長は「台風の目」だと言われており、
彼を中心に、政界再編が始まっています。

新市長は語ります。
「1%が99%を支配する、
勝ち組が独占し多数が不幸になるという現象は、
公正な社会ではありません。

いき過ぎた競争で皆が疲れ弱っていく生活は、
公平な世界ではありません」

彼は市立大学の授業料を半額にしました。
市長は言います。

「企業にお金を投じるだけが投資ではありません。
お金がなくて大学に行けない若者、
授業料をかせぐために疲れ果てている若者、
そういう若者の存在は、社会の損失ではないか。」

「将来の人を育てる費用は、貯蓄であり投資です。
福祉のない成長は、将来世代の可能性を食いつぶすのです。」

それゆえ新市長は宣言します。
「福祉は恩恵ではなく、市民の権利である」。

彼の名は、朴元淳(パク ウォンスン)。
韓国の首都ソウルの新市長です。

日本にも、弁護士出身の市長が誕生しました。
彼はちがう考えです。
選挙権のない高校生に向かい、こう語りました。

「学費が高いなら、君が政治家になって変えればいい」
「今の世の中は、自己責任がまず原則ですよ」
「誰も救ってくれない。保護されるのは義務教育まで」
「それが不満なら日本を出て行くしかない」

連帯と福祉を否定して、
自己責任と競争だけが正しいと、
それだけが正しいと叫ばれはじめたのは、
そんなに昔のことではありません。
競争が日本を強くすると言われました。
そして日本は、競争社会に変わりました。
福祉が切り捨てられています。
教育費が削られています。
それで日本は強くなりましたか?
日本経済は立ち直りましたか?
みんな幸せになりましたか?

いいえ。
賃金が下がり、失業が増えただけです。
派遣村で厚生労働大臣が吐き捨てました。
「怠けている連中に税金払う気なし」と。
失業したら、怠けていると言われる国になったのです。

経団連幹部の女性経営者が提言しています。
「祭日も休日もなくせ」と。

そのように休まず働いて過労死すると、
「過労死は労働者の自己管理が悪いから。」
死ぬほど働く方がバカだと言うのです。
失業も、過労死も自己責任だと。

君が、競争に負けたんだから。
君に、能力がないんだから。
正社員になれない君が悪いんだ。
失業する君が悪い。
過労死する君が悪い。

追い詰められる若者たち。
自ら命を断っていく青年たち。
就職に失敗して自殺した20代の青年の数、
3年前の、2.7倍を超えています。

「福祉のない成長は、将来世代の可能性を食いつぶします」
ソウル市長の言葉が突き刺さりませんか。

強い者勝ち、競争だけが正しいという考えは、
どこへ行き着くでしょうか。
橋下大阪市長は言います、
憲法第9条が、すべての間違いのもとだと。

日本人が身勝手になったのは、憲法があるからだ、
被災地のガレキさえ受け入れないのは、
憲法第9条のせいだと言うのです。

戦争はしない、
国のために武器を持つことは、もうしない。
この考えが、日本をダメにしたですって?

憲法前文は謳っています。
全世界の国民が、
ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、
平和のうちに生存できるようにするのだと。

日本国民は、そのために全力をあげるのだと。
この憲法の、どこが身勝手なのでしょう。
スライドの最初に戻って、考えましょう、
津波に流されていったおばあちゃんの言葉を。
憲法をなくした世界。
その世界で、障がいをもった名津紀ちゃんは、
幸せに生きられるのでしょうか。

その世界は、おばあちゃんの
「生きろよ、バンザイ!」に
応えることのできる世界でしょうか。
おばあちゃんの命が報われる社会でしょうか。

いいえ。
憲法を否定したとき、私たちが向かわされる世界とは。
そこは富と利益をめぐって、
人間同士がいがみあう世界です。

お金がないだけで、仕事がないだけで、
人としての尊厳を否定され、奪われる世界です。
福祉はお荷物だと言われる世界です。
人の命を命とも思わない世界です。
戦争の太鼓がとどろく、力ずくの世界です。

そんな世界は、キッパリと拒否しましょう。
「くやしければ、勝ち組になればいいじゃないか」
そんな声に惑わされてはなりません。
人を勝ち組と負け組に分け隔てして、
勝ち組は他人を踏みつけて当然という、
身勝手な社会をキッパリと拒否しようじゃありませんか。

憲法を大切にしないということは、
人を大切にしないということです。
そのあり方が、大きな事故を起こしました。

「原発さえなければ」
そう書き残して自殺した酪農家。

東北の被災地が、追い詰められています。
経済の復興といえば、企業をよぶだけ。
地域の復興といえば、企業を支援するだけ。

いったい、そこに住む人はどうなるのでしょうか。
人間はどうなってしまうのでしょうか。

大津波は、防ぐことのできない災害でした。
原発事故は、どうですか。
防ぐことのできない災害でしたか。

原発には、「民主・自主・公開」の3原則があります。
しかし現実には、これらはまったく無視されました。
原発の来るところ、民主主義が破壊されました。
原発に賛成すると、莫大なお金が渡されます。
原発に反対すると、警察の尾行がつきました。

原発賛成の候補には、お金も票も用意します。
原発に反対した町長は、
暴力団に鉄パイプで襲撃されました。
反対派の家にトラックが突っ込みました。
反対運動は弾圧されました。

原発が計画された土地では、
地域の絆が破壊されてしまいました。
小さな事故は数知れずあったけれど、
その情報は隠されました。
不自然な天下り、暴力団との癒着も、
メディアは報じません。

安全よりも、民主主義よりも、
経済性を求めたのです。
なにもかも、憲法の原則に反していたのが、原発でした。
そのウミが、積もりにつもって、
とうとう原発は、爆発したのです
お金が大事、人間後回し。
その思想が、事故の本当の原因だったのです。

もう、やり方を変えましょう。
震災復興に、憲法を活かしましょう。
日本再生に、憲法を活かしましょう。
人を大切にしようじゃありませんか。
生きててバンザイ!
そう言える社会をつくろうじゃありませんか。

上関原発を拒否している祝島の人々。
島民は、10億円の補償金を突き返しました。

自然あっての暮らしだ、
海があってこその幸せだ、原発はいらないと。
いま、わたしたちは言わなければなりません。
命あってこその明日だ、
原発なんか、いらない! と。

いま、私たちは手をつながなくてはなりません。
平和をおびやかすものとたたかうために。

憲法を護りましょう、命と同じように大切に。
憲法を活かすのです、明日をひらくために。
日本中に広げましょう、憲法のこころを。
それをするのは、市民です、国民です。
私たちです。

いま日本は、変わろうとしています。
大人しかった青年たちが、
「仕事をよこせ」と集まっています。
「原発なくせ」と街頭デモに出ています。

沢田研二やアイドルグループが
「原発をやめよう」と歌っています。

この国は、まだまだ捨てたものではありません。
希望をもちましょう。
そして動きましょう。

日本国憲法を、
世界に広げようじゃありませんか、
私たちの、大切な、大切な、未来のために。