憲法と文化の話(2)

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合唱団のニュースに連載している「ほらふき文化講座」から
やさしい憲法と音楽・郷土芸能の話(2)

女性の進出がすごい!

尼崎にフソーというメッキ専門会社があります。赤字続きだったこの会社を父から継ぎ、15年でシェア日本一の会社にした社長さんは、美しい女性です。

小さな下請け会社から海外展開をするまでに成長した神戸の電子制御機器メーカー、昭和精機の社長も、元はふつうの専業主婦でした。社長を務めていた夫が突然出て行ってしまったので、そのあとを次ぐしかなくて、否応なしに頑張ったんだそうです。

女性の社会進出の勢いはすごいですよね。合唱団でも団員は女性が男性を圧倒しています。太鼓教室も、エイサー踊ろう会も女性が多数を占めています。いま、女性が本当に元気です。

戦前、女性は「無能力者」とみなされていた

けれども、戦前はこうではありませんでした。女の人にはまともな人間としての権利がほとんどなく、法律で「無能力者」として扱われていたのです。

いま、カードで買い物をするのは普通のことですが、戦前だったらカードがあっても女性には使えなかったはずです。法律で、女性単独でお金の貸し借りや、契約行為ができないことになっていたからです。夫に無断で高い買い物もできません。不動産も持てませんでした。自分の相続について自分で決めることも出来ませんでした。

女性には参政権もありませんでした。だから市会にも県会にも国会にも、女性議員は一人もいなかったのです。また大学に行く権利も、元来は認められていませんでした。

いまでも戦前並の考えをしている男性はたくさんいますね。ましてや戦前に男女平等などと唱えようものなら、女の人はひどい目にあわされました。ちょっと信じがたいかもしれませんが、戦前の日本では「民主主義」というのは西洋かぶれの悪い思想で、日本を腐らせる危険思想だとされていたのです。

女性の太鼓演奏のこと

合唱団はできたときから民主主義と男女平等をめざしてきました。だから和太鼓も男女の区別なく取り組んでいるのですが、私たちのように女性も交えた和太鼓グループというのは、以前は珍しかったのです。女性は太鼓を打たせて貰えないところが、たくさんあったのです。

でも我々の演奏を見て、女の人が太鼓教室に来るようになりました。「太鼓は男がするもんや」と考えていた保守的な男性も、播磨地方の和太鼓の先駆者であり中心を担っている私たちがしていることに、文句が言えません。そのせいばかりでもないでしょうが、いまではどこのグループも女性の方が多いぐらいです。

「男女同権」というのは憲法の基本的人権のひとつです……と言うと話が固くなってしまうんですけど、こういう小さなことも憲法を守り、活かすというのにつながっているんだと思います。

そして和太鼓を通じて男女平等社会の実現に少しは貢献できたかも知れないことを、私たちは、ちょっと誇ってもよいかもしれませんね。