ミサイルだと断定すれば事態が改善するのか

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北の飛翔体は「ミサイル」……政府が表現替える
読売新聞 – 2004月10日12:15
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お粗末な対応が続くなあ。政府は何がしたいんだろうか。朝鮮にロケット開発をやめさせたいのか、やめさせたくないのか。

相手が人工衛星だというものをミサイルだと断定すると、どうなるのか。弾道弾開発をやめさせるためには6カ国協議を実効性のあるものにしていくしかないのに、「飛んだのはミサイルだ」「いや人工衛星だ」という実効性とかけ離れた不毛な水掛け論が始まるだけではありませんか。そんな入口論議で時間をつぶして、どうにかなると思っているのでしょうかね。

「人工衛星かミサイルか」という議論に拘っている点では、朝鮮と日本は共通しています。朝鮮の理屈も「今回打ち上げたのは弾道弾ではなく人工衛星だから国連決議に違反していない」というものですからね。

人工衛星開発とミサイル開発は密接にリンクしています。朝鮮も人工衛星を開発しながらミサイル技術を磨こうとしているのです。「人工衛星かミサイルか」という議論は本来的に無意味なのです。ミサイルだから脅威だという理屈は、人工衛星なら脅威でないという理屈に引きずり込まれる愚かな論理です。日本政府の論理はあくまでも人工衛星だから問題なしとする朝鮮には有り難いことでしょう。

ではどうすべきかと言えば、「人工衛星開発であっても弾道弾開発に密接な関連性を持っているのだから国連決議に違反しており、地域の軍事バランスに深刻な影響を与えるものであって、容認できない」という論理に立たなければなりません。日本政府もそう言っていたのだから、それで押し通せばいいのです。そういう決議なら衆議院で全会一致になったでしょう。確認もされていないのにミサイルだというから、全会一致が得られなくなったのです。ミサイルにこだわっても、いいことは何もありません。

「ミサイル」と表現を変えた理由を政府は2つ述べています。

  • 人工衛星の存在が確認できない。
  • 国会決議がミサイルだと述べている。

どちらの理屈もお話になりません。

人工衛星を打ち上げたけど失敗だったらミサイルになるんでしょうか。だったら日本は1998年から2003年までに3回も衛星打ち上げに失敗しているんですが。それらもミサイルなんでしょうか。

国会決議を理由にするのは、まるで議会に責任をあずけているかのような理屈ですが、議員内閣制の日本でそんな言い分は無意味です。なぜなら決議をあげるのも政府を構成するのも同じ議会多数派なんですから。口がミサイルと言ってから手がミサイルと書くようなものです。

情けないなあ。
没論理的な外交は政権交代しても変わらないだろうなあ。