南米・キューバ アメリカは変わる 日本は?

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オバマ政権がキューバ系米国人の母国への送金や渡航規制などを解除したそうです。キューバもこれを歓迎し、対話が始まる様相です。やるな~。

米国の変化は他にもあります。先日エルサルバドルで政権交代があり、保守右翼政権が倒れました。これがオバマ路線を象徴する転換だというのです。

新しい政権はFMLS(ファラブンド・マルチ民族解放戦線)党。軍事独裁政権に抵抗するゲリラ組織でした。彼らの農民革命はあと少しで勝利するところだったのですが、レーガン政権の登場により武器禁輸が解かれ、米国の武器を手にした政府軍が勝利しました。そのようすはオリバー・ストーンの映画「サルバドル」に描かれています。

さて南米で唯一イラクに軍を派遣していた前政権、「民族主義共和同盟」は米国式新自由主義政策をとっていて、そのせいで国内格差が広がり評判が悪かったのですが、選挙ではいつも勝っていました。それは「FMLSに政権を渡したら米国が黙っていないぞ」という恫喝が効果的だったから。とりわけ「米国に出稼ぎに言っている家族の送金が停止したらどうなる」という脅しが効いたのだそうです。

今回も選挙期間中にFMLSの優勢が伝えられると、右派の候補は「左派が勝てば米国がエルサルバドル人に認めている米国内でのビザなしの労働や生活、海外送金などの特権が失われるぞ」と警告しました。米国の共和党も「選挙結果次第では送金停止措置をとるだろう」と呼応して、右翼政権を後押ししました。さらに選挙に干渉するように政府に圧力をかけました。

ところが。今回は様子が違いました。というのは、その発言があった翌日、シャノン米国務次官補が直ちに「それは米国政府の公式の立場ではない」と声明したからです。そして選挙干渉の要求には「選挙で誰が勝とうとも当選者と喜んで協力する」と述べました。共和党は完全に無視されたのです。

FMLSが小躍りして歓迎したのは言うまでもありません。さっそくその声明をキャンペーンしまくりした。そうしてついに政府の脅しは功を奏さず、FMLSが勝利したというわけです。

オバマ政権はブッシュ政権と全然ちがいます。エルサルバドル政府もキューバもオバマとなら良好な関係を結べるだろうと言っています。まだまだ手放しで喜ぶわけにもいきませんが、世界に少しずつ善意が、そして信頼がよみがえってきた気がします。世界が変化する予感がします。

日本国憲法前文にある「平和を愛する諸国民の公正と正義に信頼して……」の文言が少しは意味あるものとなるように、お願いだからこの予感、はずれないでくれ~!