中国が腰をあげないと効果ないだろう

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<報道>
対北朝鮮、制裁強化へ連携=日韓首脳が電話会談
時事通信社 2013/2/13 11:02
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拉致問題が前進しない。その責任は、「拉致事件は解決済み」と強弁を続ける共和国の側にある。そのかたくなな態度が、日本国民を怒らせ、政府を経済制裁に踏み切らせたのだった。

しかし経済制裁を発動したけれども、拉致問題は進展しなかった。むしろ対話が途絶し、前よりも状態が悪くなってしまった。

そもそも日本は、送金を含めても、共和国貿易全体の1割程度しかなかった。これが0になっても、共和国はまったく困らない。そのうえアサリが良い例だが、中国を通じた三角貿易のせいで、制裁は完全に骨抜きなのだ。共和国は、日本に直接売りつける代わりにいったん中国に輸出する。そのアサリを、中国産として日本が買っているのだ。

こういう状態なのに、無責任な政治家が、人気取りのためにいい加減なことを語っていた。

■安倍晋三
北朝鮮は日本に(年間)200億円以上、輸出している。これは北朝鮮にとって2兆円ぐらいに感じる額だ。それを止められるのは大変な打撃になり、その意味で(経済制裁は)大変な効果がある。(2004年11月14日、テレビ朝日の報道番組)
効果があるのに効果がないと言っている人は、どういう人たちなのかなと疑問に思う。(2004年11月14日、毎日新聞)

■石原慎太郎
日本だけでも本気で制裁すれば、北朝鮮は遠くない将来に崩壊するのは必至です。(『諸君』2003年7月号)。

■西村眞悟
北朝鮮への我が国からのカネ、もの、人が止まれば、政権の運営ができない。よって、我が国が、北朝鮮の恫喝には断じて屈しないとの覚悟のもとで、以上の法案を発動すれば、北朝鮮の独裁政権は、今年中にも崩壊する。その時はじめて、拉致の被害者は、救出される。(HP「西村眞悟の時事通信」2003年9月15日)

これらの発言がいかに根拠のない煽りにすぎなかったか、今日では歴然としている。共和国は崩壊するどころか、代替わりを果たし、長距離ミサイルを飛ばし、3回も核実験をやった。人民は飢えているが、政権は微動だにしていない。

核問題は共和国の安全保障問題だから対話だけでは解決しない。しかし拉致問題は対話で解決できたはずだ。制裁を解除し、対話ルートを開き、経済復興の手助けをすれば、道は開いたはずなのだ。

だが間違った道にいったん入り込んでしまったので、いまさら取り戻しはできない。共和国はこれまで以上に固く殻を閉ざし、他国不信に凝り固まって、核開発に邁進した。しかもまたもや核実験を口実に、制裁をやるらしい。道はますます袋小路に入ることになるだろう。

端的に言って、共和国を非難したり制裁するのは核実験をしたからというより、「北朝鮮」だからだ。

大国は、自国の保有する核については既得権として手放そうとせず、核実験についても不問だ。インドとパキスタンの核保有については、お互いに脅し合っているだけで大国の利害に直接関係しないから、ほったらかしだ。イランの核は米国の友好国であるイスラエルに向けられるものだから大騒ぎする。「北朝鮮」の核は米国中心の「国連軍」と休戦中の敵だから制裁だという。じつに短視眼的で、非論理的で、不公平で差別的で、危険だ。

そういった大国中心のパワーゲームの尻馬に乗っているだけでは、拉致問題の解決もないし、日本の安全保障にも寄与しないに違いない。絶望感に襲われる。