憲法と自衛隊(6)改憲派の意図をたとえ話で理解する

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憲法第9条
1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

交戦権の話のつづき。
政府はつぎのように説明する。

「前項の目的を達するため」という文は、前半の「戦力不保持」の部分にのみかかっており、後半の「交戦権」にはかかっていない。したがって自衛のための戦力は持ってもよいが、交戦権については、自衛のためであっても認められない。

では自衛のための武力行使は認められないのか。いや、認められる。なぜならそれは「交戦」ではなく「自衛行動」だからである。

なんというアホな解釈であろうか。

ちょっとたとえ話を。

「私はダイエットの目的を達するため、大食いをしない。甘いものは許さない。」
よくわかる文章だ。
この文章を読んで、つぎのように言う人がいたら、どうだろうか。

「ダイエットの目的を達するため」は「大食いはしない」の部分にかかっている。
だからダイエットの目的をはずれない限りにおいて、ふだんの食事まで禁じてはいない。が、この文章だと、ダイエットに支障がなくても、甘いものは許されないことになる。では料理に少量の砂糖を使うのもいけないのか。いや、料理に砂糖をつかうのはかまわない。なぜなら、料理につかう砂糖は「調味料」であって、「甘いもの」ではないからだ。

なんちゅう屁理屈かいな、とあなたは思わないだろうか。
しかしこれが政府の憲法解釈なのだ。そしてこうやってひん曲げられた文脈をもとに、改憲派は言うのだ。
「こんな無理な解釈をしなければ料理もできないような決まりはおかしい!」と。

おかしいのはお前らの頭ぢゃ!
改憲派以外の普通の人は、つぎのように解釈する。

ダイエットのためには大食いも甘いものも禁物だ。ふだんの食事は控え目に。お菓子やケーキはダメ。味付けの砂糖もなるべく使わないようにしよう。

どこにも変なところはない。ありもしない矛盾を自分でこしらえておいて、その矛盾を槍玉にあげるのが、改憲派の手口なのである。その目的は、ダイエットを骨抜きにして、ケーキを食べ放題に食べること。彼らの改憲案は、第2項に「自衛戦争は例外とする」という意味の一文を付け加えるというものだ。さきほどのたとえ話で言えば、つぎのようなものになる。

「私はダイエットの目的を達するため、大食いをしない。甘いものは許さない。ただし、食事はこれの例外とする。」

さあ、これで、「食事としての大食い」が例外として可能となった!
「デザートも食事のうちである」と言えば、ケーキも食べ放題である。
これが、改憲派のやりたいことなのである。

私は自衛戦争は認める。しかし安倍総理の唱える、「自衛戦争のための改憲」を拒否するのは、こういう理由なのである。