テポドンを朝鮮の立場で考える

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1121313181&owner_id=12631570

朝鮮が大型ロケットを撃つ度に繰り返されるお祭り騒ぎにはうんざりします。
この騒ぎ、一度本質点に立ち戻って考えてみたいと思います。

朝鮮は自分の置かれている立場をどう見ているでしょう。
彼らの立場に立って考えてみましょうか。

朝鮮は敵性国家に包囲されていると受け止めています。この見方は間違っていないでしょう。韓国は、統一するなら自分たちが主導して統一したいと考えています。米国もそうなればよいと考えていると思います。日本も同じです。

そもそも日本にはあんな国なんかなくなった方が良いと考えている人が沢山いますし、本気でそう考えている人たちが政権を取っています。かといってあちらに攻め込んで滅ぼしてやろうなんて考えてはいません。そんな能力も日本にはありません。しかし向こう側から見れば、自分たちを滅ぼしたいと思っている大国がすぐ近くにいるのは気持ちのよいものではありません。

このような国際関係の中、韓国には米軍が駐留しており、北をにらんで軍事演習を繰り返しています。日本も北の脅威を言い立てて軍備を着々と強化しています。この軍事力が発動されれば、朝鮮にとって国家存続の危機です。ところが日米韓の軍事力に対抗できるだけの戦力を、朝鮮は持っていません。

ならば頼れるのは核戦力しかありません。朝鮮にとって米国本土に届くミサイルは、侵略抑止力としてどうしても必要なのです。彼らの立場で言えば、自国防衛に不可欠の手段を開発しようとしているのです。それを禁じる国際法など、大国の不当な世界支配の道具に過ぎない。自国の存続という権利の前には、国際法など無力である。

朝鮮の考えはこんな所でしょう。彼らなりに合理的な戦略です。

これは朝鮮の安全保障の問題なのですから、外交的説得やら経済援助とのバーターなどで片付く問題ではないことが分かります。国民が飢えているのにロケットなんて開発している場合かという批判も、彼らには受け入れがたいと思います。物事には優先順位というものがあり、国が滅ぼされるかも知れないのだからまずは防衛だという考えの方が、朝鮮国内で説得力を持つはずです。

もちろんこれは外交的袋小路に入るしかない道であって間違っています。そのことに気付いている朝鮮国内の穏健派もいるでしょう。しかし彼らだって強硬派から「他に打つ手があるか」と問われれば、ないと答えるしかないと思います。

ここまでは分からないでもない。けれど、です。

どんな国も完全に安全が保障されて恐いものなしになれば、国際社会に対して強気に出るというのが鉄則です。それは朝鮮だけのことではなく、どの国も同じです。イスラエルの傍若無人さを見てもそれは明らかです。長距離ミサイルを持った朝鮮という国の存在は、国際社会にとってより大きな厄介ごととなるでしょう。

こうなると、テポドンが失敗して本体が落ちてくるかどうかなど、些末な事柄であることが分かるでしょう。失敗したときより、成功したときの方が本当の脅威なのです。

朝鮮がその過剰な安全保障上の危機感をぬぐい去ってしまわないかぎり、ミサイル危機はなくなりません。いや、いったん持ってしまえば安全保障上の懸念がなくなったとしても手放そうとはしないでしょう。

こうなると、お粗末な朝鮮の軍事力を誇大に言い立てて軍備強化の口実にしてきた、日本政府の戦略がいかに罪作りだったかが分かります。日米韓の軍事的脅威を言い立てて国内支配を正当化してきた、朝鮮政府の戦略にお墨付きを与えたも同然なのですから。まあそれをいまさら言ってみてもどうしようもありませんが、朝鮮が基本的に防衛指向であることを踏まえれば、いまとは違った別の交渉方法があるのではないでしょうか。

テポドン成功は東アジアの軍事バランスや米国の安全保障体制に大きな影響を与える一大事です。なのに国内論議は、日本に向けられてもいないテポドンを迎撃するかどうかなんて、お粗末なピンボケ議論ばかり。あほらしくてコメントする気にもなれませんでした。