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今日はテポドンによる核攻撃の話を書こうとしたが、ミサイルを使った原発攻撃の話をしていないことを思い出した。
弾道ミサイルで原子炉を破壊されれば、核攻撃を受けたと同じぐらいの被害が発生する。しかし結論から述べれば、この想定はまったくの絵空事である。
去年(2006年)8月6日付の読売新聞記事の要約を読んでほしい。
(1) 政府が発射直後に発表した推定落下地点は400~500キロの範囲に広がっていた。
(2) だが実際には半径約50キロの範囲内に北朝鮮の狙い通り着弾していた可能性が高い。
(3) 防衛庁は「ノドンとスカッドの命中精度は一定程度高く、実戦配備の段階にあることが実証された」として、警戒を強めている。
*http://nmemo.blog72.fc2.com/blog-entry-667.html
さて、この記事が読者をミスリードしようとの意図のもとに書かれたのは明白である。
なぜなら、
(1)で言っているのはミサイルの着弾が最大で100kmずれていたということだし、
(2)で言っているのもミサイルの着弾が最大100kmずれていたということだから。
(2)でいう半径50kmの範囲ということは、直径100kmである。その中に落ちたというのだから、着水地点は最大で100kmずれているわけだ。つまり(1)と(2)は、同じ内容を繰り返しているだけなのだ。だから(3)の結論など絶対に出てくるはずがないのである。子供だましのような記事だった。
北朝鮮がどこを目標に発射実験したのかわからないから、命中精度も推測できない。しかしせっかく実験するのだから、どこか一箇所に目標を定めておき、そこからどれだけ「はずれた」かを解析するのが合理的であるのはいうまでもない。
それを前提にすると、北朝鮮のミサイルは7発発射したうちの6発は500km足らずを飛んだだけで目標から最大50kmもズレる程度の性能ということになる。
これは最早どこかを狙うなどというレベルの話ではない。発射したが最後、どこに飛んでいくかわからないミサイルなのだ。発射しても日本に届くかどうかもわからない。届いたとしても目標からはるか数十kmもはずれる。
ノドンで原発を狙われたら危ないって? こんなもので原発をピンポイントで狙えると考えるなら、その方がどうかしている。
さて、7発のうち6発は大はずれだった。
ではあと1発はどうなったのか。
あと1発はテポドンだったらしいが、発射後数秒で分解しはじめて、発射台から数km~20kmの地点に墜落してしまったのである。
*http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe4100/news/20060730i101.htm
当初の発表とはえらい違いである。
じつのところ、当初発表が日本政府の情報操作であることはわかっていた。
米政府系軍事シンクタンク「グローバルセキュリティ」が、発射の翌日にこう書いている。
テポドンは距離にして1.4km、高度は4.4kmしか飛ばなかったと。
http://www.globalsecurity.org/wmd/library/news/dprk/2006/060706-nkir2625.htm
当時私は「兵庫県弁護士9条の会」の掲示板にさかんにそのように書き込んでいたのだが、メディアは全然違うことばかり書くのでうんざりした思い出がある。