東北をヤミ金の草刈り場にしてはならない

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東北の被災地の状況がよく分からないが、阪神大震災のときは地場の街金、ヤミ金が跳梁跋扈した。

自衛隊が撤収すれば、解体工事や建築工事で忙しくなるだろう、復興予算が土木工事にふんだんつけられるだろうという見通しは、誰にでもできた。これに乗っかれば貸しはぐれがないと見た街金・ヤミ金は、ろくに利息計算もできず、先を見通す力もない人たちに、どんどん貸しこんだのだった。

客はいくらでもいた。地震前、日雇い人夫などその日暮らしで生きていた人たちだ。彼らは、「避難所にいれば飯の心配をしなくてよい」といった気分で、明日のことも考えないでブラブラしていた。サラ金に借金を作っている人が多かったが、震災後しばらくはサラ金も取立を控えており、返済の苦労が消えたところに、いくらでも貸してあげるという甘い囁きがきた。

年利29%よりも月利10%の方が安いと本気で思いこんでいるような人たちだ、たちまちその誘いに乗り、かりそめの現ナマを握った労務者たちで下町は活況を呈し、震災バブルと呼ばれていた。当然の如く、たちまち借金で火ダルマになった。

ヤミ金・街金は必ず数人のグループを組ませて、互いに連帯保証させる。一人が逃げれば他のメンバーがひどい目にあうシステムだ。誰かが逃げても、ヤミ業者は何もしなくて良い。とばっちりを食いたくない保証人たちが血眼で探し回って、焼きを入れてくれるからだ。保証人が風俗に転落する、一家離散する、亭主が、奥さんが、ある日突然蒸発する、自殺する……当時神戸の下町は、目も当てられない惨状だった。

だがヤミ金、街金が我が世の春を謳歌した期間は10年と続かなかった。その強引な取立に対して、たたかう弁護士が現れたからだ。はじめは裁判をしてもなかなか勝てなかったが、報酬もなく手弁当で債務者救済に走り回る弁護士達は、それまで貸金業者の取立の武器だった法律を、貸金業者とたたかう武器に変えていった。

「違法な利息は支払う必要がない」
「出資金に違反する高利契約は公序良俗に反する契約なので返済する必要がない」
ヤミ金、街金はパニックに陥った。

いまや、ヤミ金は「リスク」が大きすぎる商売となった。ヤミ金のやり方は、金主がいて、その下に、現実にヤミ金をやる部下がいて、金主からお金を出してもらって、一定の割合の利益をつけて金主に返済しなければならない。ヤミ金被害者が弁護士や司法書士のところに駆け込めば、元金すら返済を受けられない。丸損どころか、金主に返済できなければ場合によれば自分の命さえ危うくなる。

だが、それでもヤミ金はしぶとく生き残っている。街金も、契約書では利息制限法に従っていることになっているが、どうしてもカネを手にしたい客に、ウラ契約を結ばせる。だれも助けてくれない時に助けてやったという恩義を着せて、義理人情と人間関係で縛り付け、相変わらずあくどい商売を続ける不届き者も少なくない。

避難生活にもお金は必要だ。1円の貯えさえなかった被災者は少なくないだろう。この人たちはいまどうやって暮らしているのだろう。食事は何とかなっても、日用品までまかなってくれる避難所はそう多くないはずだ。まして娯楽費が一銭もなくて生きていけるほど、人間は強くも真面目でもない。

そういう人たちを狙って、これから入る補償金や復興事業のもうけをかすめ取ろうと、ヤミでうごめいている奴らがきっといるはずだ。被災地がそういう犯罪者を太らせる温床にならないように、素早い補償、素早い復興事業が求められる。

ちんたらやっているヒマはないはずだ。警察もそういった犯罪には厳しい取り締まりを求めたい。東北を神戸の二の舞にしてはならない。