被災地でまかりとおる生活保護崩し

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仙台の仮設住宅で聞き取り調査した方の話。
9月以降に入居された方の実態を聞き取っていたら、月収1万5千円で暮らしていることが判明したという。保護課に行ったら「義捐金がなくなってから来てください」と言われたとのこと。これでは放射能にやられる前に栄養失調で死んでしまう。

この他にも、被災地の窓口では違法な対応が蔓延しているようだ。国の事業となった地区には除染予算が青天井で下りると言うし、0.5μSvという極めて微量なレベルでも、市民から指摘されれば行政は大急ぎで除染対策に走る。人手も予算も放射能が第一番手だ。世論が放射能ばかりを向いているからそうなるのだが、別の方面ではこういったデタラメが横行して、弱者が死んでいく現実を、どう見ればいいのだろう。

菅政権のときはまだしも失業対策や零細事業者対策が動いていた。たとえば今月からスタートした「求職者支援制度」は5月に成立したものだ。これは長期失業者らが、月額10万円の生活費(給付金)を受けながら無料で職業訓練を受けられる制度だ。雇用保険に未加入で失業手当を給付されない非正規労働者や自営廃業者、専業主婦など幅広い人々が対象となる実効的な制度なので、被災地の雇用対策にも有効だろう。

野田政権になってからは、こうした清新な取組が聞こえなくなった。それどころか、上記の「求職者支援制度」が法制化されたことを理由に、生活保護を申請する前にその制度を使え、と厚労省が言っている。保護を受けている人が職業訓練を欠席した場合、保護を停止もしくは廃止することも打ち出している。

しかし同制度は、受講生の就職を保証するものではない。訓練を提供するのは民間事業者ですが、就職率を一定程度あげることが求められているため、就職の見込みが低い人が受講をはねられるおそれもある。どんな制度もそうですが、まずやってみなければ制度の欠陥が見えてこないのだ。何も始まっていないのに、早くも生活保護予算の削減に利用しようとする厚労省は何を考えているのだろうか。菅内閣であれば、こんなことを発案する役人は怒鳴りあげられたように思う。

生活保護 職業訓練を“要件に” 厚労省検討 欠席者は受給廃止も
しんぶん赤旗2011/10/9
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-09/2011100901_03_1.html

ほとんど落ち度のなかった菅政権なのに、反原発派と隠れ推進派が寄ってたかってぶちこわしてしまったことが、いまさらながらに悔やまれる。