改憲のあぶない動きに警戒を

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国民投票法施行日(5月18日)前に改憲派が動く/審査会始動狙う、「推進大会」も予定
しんぶん赤旗 2010/4/19 9:41
http://news.livedoor.com/article/detail/4725766/
5月18日に改憲手続き法に基づく改憲のための国民投票法の「施行期日」が訪れるのを前に、改憲策動が強まっています。
改憲派の「新憲法制定議員同盟」が28日に「新しい憲法を制定する推進大会」を開くのをはじめ、憲法記念日や5月18日の「施行期日」を目指して、改憲への機運を盛り上げようと躍起です。自民党憲法改正推進本部では、「5月18日には大きなイベントを開催する」という意向が党役員から出されています。

私たち護憲派を改憲派の諸君は「お花畑平和主義」とよびます。世界に暗雲がたれ込めており、日本は周辺諸国から虎視眈々と狙われているのに、防衛力がなくてもいいなんて、何をのんきなことを言っているのだ、世界はお花畑じゃないんだぞ、というわけです。

私の見るところでは、周辺軍事情勢や世界情勢に与える影響を無視して改憲を唱える側も、たいがいお花畑です。

周辺諸国は日本の動向に敏感です。改憲派の諸君がロシアの軍事情勢に敏感な以上に、あちらは日本の動きに敏感です。こちらの動きがたちまち、あちらの反応につながります。

たとえば昨年4月5日、ロシアの旧型プロペラ機イリューシン(IL)20が領海に近づいたので、航空自衛隊が緊急発進して警戒しました。IL20は北海道沖から日本海を南下し、「北朝鮮」が設定した銀河2号(日本のいう弾道ミサイルテポドン2)ブースタ1段目の落下危険区域上空を通り、ロケットが発射されるときには危険区域の南上空で待機しました。これは銀河2号の監視というより、日本のMD能力を監視したのだと見られています。日本のレーダ-周波数や照射方法、探索パタ-ン、レーダ-相互の任務分担などの情報をたっぷり仕入れてから帰ったことでしょう。

写真:電子偵察機イリューシン(IL)20

こういう情報収集は一方的にやられているのではなく、お互いにやっています。どちらもが手の内を晒しながら、相手に危険がないことを知らせているのです。

このようにしてなんとかバランスをとって何十年も平和にやってきた周辺情勢が、日本の改憲によってガラリと変わるかも知れない。

そうなれば、日本も防衛戦略を組み替える必要があり、それがまた相手の動きに波及して……と、安定までにまた何十年も要するかもしれません。

しかもこれは日本対どこかの国という一対一対応ですみません。ロシアが極東軍事力を増強するのが対日本のためだったとしても、その軍事力の脅威を受けるのは日本だけでなく、韓国も中国も米国もです。中国が沿岸地域の軍事力を増強するのが日本の改憲に対応するものだったとしても、その軍事力を警戒するのはベトナムも台湾もフィリピンも……要するにアジア全域です。

いまでもアジア諸国は軍拡に精出しているのです。日本の改憲を機に、アジア全体を巻き込んだ一大軍拡競争が一挙に始まる可能性が、大いにあります。

軍拡競争は不信の競争でもあります。そんな時にどこか不安定な地域で、何らかの予測不能のアクシデントが生じでもしたら、どうなりますか。ことは日本だけですまないのです。紛争が紛争を呼び、火種が思わぬ所に飛び火し、手がつけられなくなる可能性だってあるのです。まして「敵基地攻撃能力を持て」だの「核戦力を持て」だの言っている一部改憲派なんて、よほど頭の中は満開のお花畑。

さて、周辺諸国と日本との軍事バランスを考えるうえで、護憲派のみなさんにも知っておいていただきたいスクランブル報告が自衛隊から発表されていますので、ご紹介します。

「平成21年度の緊急発進実施状況」(平成22年4月15日 統合幕僚監部)
http://www.mod.go.jp/js/Press/press2010/press_pdf/p20100415.pdf

これまでになく分かりやすい報告書で、国民に知っておいて欲しいという自衛隊の意思が明瞭に示されていると思います。

スクランブル回数が緊張度合いをそのまま表していることにはなりませんが、一番多かったときに較べれば、その回数は3分の1になっています。日本の周辺はかなり安定していると評して間違いないと思います。

ただ、情報というのは用い方次第です。飛んできた機種を示さないで緊急発進がこんなにある、周辺はこんなに緊張が高いのだから、もっと軍備を充実させるべきだ、なんて宣伝にも使えますからね。

写真:日本近海によくお見えになるAN20
緊張を高めないような機種を選んでいる

もちろん、情報公開は周辺諸国向けでもあるでしょう。このような情報公開により、周辺諸国との無用の緊張を緩和させるのです。自衛隊が国民に情報を公開している姿を示すことは、自衛隊が民主主義システムに忠実であり、国民から監視されることを望んでいる組織であって、かつてのような軍部独走の気遣いが少ないと示すことになりますから、他国にとっては安心感が増すでしょう。こういった情報公開は大歓迎です。

しかし一方で自衛隊は国民を監視することもやっています。
こういうのは批判して止めさせるべきでしょうね。