[体罰]桜宮生徒体罰死のその後 橋下市長の罪と罰

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1889982948&owner_id=12631570

「命の重みわかっているの?」……尾木ママ、桜宮高生徒による記者会見に憤慨
https://www.rbbtoday.com/article/2013/01/22/101636.html

言いにくい相手に、言いにくいことをズバリと。さすがに尾木ママは勇気がある。

今回の事件は、誰かを悪者にして叩けば解決するといった問題ではないと思う。橋下市長のやり方は間違いだと思うが、だからといって反射的に生徒や保護者が正しくなるものでもないだろう。

今回の事件を経てもなお、バスケ部部員やその保護者達が語っているという。
「試合を早くしたい」
「顧問の指導を受けたい」
おい、人が一人死んでいるんだぞ、なんだその言い草は! そういったスポーツバカがいるから、体罰が横行するんじゃないのか?

いや、体罰横行の責任者はそればかりではない。教育の歪みを知っていたくせに知らないふりをして行政の顔ばかり見ていた教育委員会が、体罰を温存してきたのだ。その責任は大きい。

ところが、橋下市長はその伏魔殿をよそに、現場だけをメッタ打ちにした。上に書いたような生徒や保護者のふざけた態度も引き合いにして、「一から出直し」と称して、予算執行権を振りかざして入試中止などという馬鹿げた強権的手法に出た。

そんなもん、上が腐ってるのに、現場だけいじってどうなるもんでもない。ただ派手なケンカで衆目を集める舞台を作りたかっただけだろう。

だが予算停止を持ち出したのが戦法としてまずかった。それは現場だけでなく、教育委員会や教育行政全体を巻き込んでしまう手法だからだ。

まあ予算停止は現実には無理だったはずだ。行政細目がそういうことをできなくしている。無理にやればできるが、それをすると行政監査請求が必至で、裁判されたら負けるに決まっている。

できもしないことを勇ましくぶちあげたあとで、橋下市長は実務職員に教えてもらってそのことに気づいただろうが、しかしいまさら振り上げた拳の降し処がない。

そこに、市長の顔も教育委員会の顔も両方立てて、しかも本質部分に手をつけない妥協案で手打ちできる策を考え付いた知恵者がいた。

体育科の入試は中止。しかし体育科と同じ入試を普通科として実施する。

なんのことはない、いわゆる「大人の事情」による、見せかけの解決、中身はただの看板の付け替えだ。これで幕引きしたら、教育委員会まで責任追及が及ぶことは、もうないだろう。

橋下市長の軽挙妄動が事態を悪くしたことになる。最初にあげた生徒たちの声も、人の死をパフォーマンスに利用することで、死というものを深く考え、かつ教える余裕を教育の現場から奪い、そして混乱させた橋下市長のやり方が招いたものかも知れない。

そうであるとすれば、なんと恐ろしいことを彼はしでかしたのだろうとため息が出る。

いや、じつは他にも恐ろしいことを、彼はやったのだ。

市長が予算執行権を持つのは、財政規律を確保するためだ。その権限を教育行政の干渉に利用する事態など、文科省にも想定外だった。これは、軍部が大臣を引き上げる手法で予算執行権を盾にとり、国政に介入したようなものだ。

そういう前例を、橋下市長は作ってしまったのだ。教育行政の、恐るべき変質の第一歩をこじあけてしまったのだ。

しかも問題はさらに深刻だ。橋下市長の作った教育基本条例は、体罰を容認している。市長もそれを明言していた。だから大阪では体罰は事実上「合法」だったはずだ。なのに、問題があれば体罰教師だけ非難される。受験は中止だとなる。これでは法を守ることは無意味である。

「法は強いやつの前ではどうにでも曲がる」

このように橋下市長は大阪の子どもたちに教えたのだ。ものすごい教育効果だ。

「体罰禁止ていうけどな、真に受けたらあかんで。そんなもん、タテマエやで。大事なんは、上の目の色や顔色をよお見て行動するこっちゃ。おだてられてきれい事を信じたら、アホを見るのは下っ端や。ケツ拭かされるんも、下っ端やで。」

大阪ではしばらくは体罰が、影を潜めるだろうが、なに、数年もすればまた息を吹き返すだろう。面倒だからその理由は書かないが、原因が橋下教育行政にあることは確かだと言っておく。

「命の重みわかっているの?」……尾木ママ、桜宮高生徒による記者会見に憤慨
RBB TODAY 2013/1/22

大阪市教育委員会が、体罰を受けた男子生徒が自殺した大阪市立桜宮高校の体育科の入試を中止すると決定したことを受け、決定に反対する同校の生徒が記者会見して入試の実施を訴えた。この生徒たちの行動について、“尾木ママ”こと教育評論家の尾木直樹氏が憤慨している。

市教委の決定では、今春の同校体育系学科の募集を中止し、普通科として募集するとした。この市教委の決定をめぐり、同校で運動部キャプテンを務める在校生数名が21日に記者会見を開き、決定を批判したことを複数メディアが報じた。尾木氏は22日に更新した自身の公式ブログでこの件について言及。「なぜ記者会見なの?」「ご遺族の心情考えているの」「命の重みわかっているの」と憤慨するとともに、「誰が仕組んだのかしら?」と、生徒以外の何者かの入れ知恵である可能性についても触れ、「やらせるなら生徒会でしょう。なぜ部活の部長? 出てくるべきは学校、顧問、教師でしょう!!」と怒りをあらわにした。

さらに尾木氏は、会見を行った生徒らが見せた“教師に依存した姿”について、「橋下市長の言う通り、体育科そのもの」と指摘。生徒と教師とが「従属関係」にあり、マインドコントロールを受けているような状態を「教育に危険、不要なんです」として、「抜本的に見直した方が良さそうですね」との考えを示した。

前日のブログでは、市教委の決定について、「体罰の悲劇を受け止めけじめをつけた」点と、「受験生の救済」との2点において「この段階としては評価できると思います」と支持していた尾木氏。「後は人事の刷新、在校生のケアと新生。桜宮作るために、先生も教育委員会も子どもたちと共に立ち上がることです!!尾木ママ応援します」とつづっていただけに、今回の記者会見の1件はどうしても看過することができなかったのだろう。22日付けのエントリーでは、今回の事件によって大きな衝撃や動揺を受けたであろう同校生徒たちを慮るとともに、「これはひとりバスケ部の問題ではありません!!今こそ正式に生徒会が立ち上がる時!学校づくりの課題として、クラス討論を基礎に、全校生徒の新生桜宮高校ビジョンまとめるべきです」と改めて生徒たちに呼びかけている。