http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1296589064&owner_id=12631570
読売新聞記事
*http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=973620&media_id=20
>エネルギー価格の上昇などで世帯当たりの負担は年間36万円増えるなどとする試算結果
いい加減にこういう誤解を生む書き方は止めたらどうかなあ。私の日記を読んでいる人ならすでに承知のことですが、正しく表現すればつぎのようになります。
家計の中で自由に使えるお金(可処分所得といいます)は、経済成長とともに増えていきます。
・CO2対策をしない場合の2020年の可処分所得 → 112万円増える。
・CO2対策をした場合の2020年の可処分所得 → 76万円増える。
つまり伸びが36万円分少なくなるというのが本当の意味なのです。いまの経済規模で家計負担が36万円増えるということではないのです。読売新聞は民主党のプランを戯画化することでどんなイメージを植え付けたいのか、理解に苦しみます(下図参照)。
この記事に「麻生前首相は今年6月、政府の中期目標を発表した」とありますが、その発表に何と書いてあるのか。
大気中の温室効果ガスの濃度を450ppmに安定化する場合、先進国は2020年に1990年比25~40%の削減が、2050年には80~95%の削減が必要
【出所】『中期目標検討について』国立環境研究所
http://www-iam.nies.go.jp/aim/prov/middle_v1_20090430_.pdf
これは民主党の政策と同じです。
そして麻生さん自身がつぎのように明言していました。
日本は2050年までに60%~80%の削減を目指すという長期目標を掲げました。今回の中期目標は、こうした長期目標につながるものでなければならないと考えております。
麻生内閣総理大臣記者会見 2009年6月10日
「未来を救った世代になろう」
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/06/10kaiken.html
こういう対策が必要であることは、麻生政権も認めていたのです。なぜなら、CO2対策が遅れて平均気温が2度上昇したときに予想される被害が甚大だからです。
『中期目標検討について』は語ります。
森林生態系:ブナ林が70%に減少、松枯れ1.5倍に上昇
防災:高潮浸水面積1.4倍に拡大、被害人口1.7倍に増大
健康:熱ストレス死亡2.4倍
その他、サンゴの白化、回遊魚の変化、リンゴ・ミカン栽培地は多くが不適地に、河川・湖沼の水質変化、砂浜の消失面積増加、水害面積の増加、土砂崩れの増加……などなど
対策が遅れれば遅れるほど、取り戻しに膨大な資源と財政出動が必要になるのです。対策が早ければ早いほど、安上がりで被害を食い止められるのです。
これは自民党政権下でまとめられた試算です。自民党も対策が必要なのが分かっていたのです。けれど財界の圧力に屈して、目標を下げてしまったのです。
何も対策をしないで可処分所得が113万円増えたって、防災や医療や農林水産対策のために増税が必要になるに決まっています。しかもその時には手遅れかも知れない。それならば、CO2対策のために可処分所得が10年で36万円だけ伸びが少なくなっても、CO2対策をしてほしいと私は考えます。
民主党はバカだとか、これで日本は滅ぶとか書いている人たちは、これでも意見が変わらないでしょうか。