親方だけが笑っても

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平均年収?総所得?首相「150万増」コロコロ
読売新聞 6月9日 13:19
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安倍首相は8日、東京都葛飾区内の街頭演説で、「10年間でみなさんの年収は150万円増えます」などと訴えた。

しかし、政府の成長戦略で「150万円以上」の増加を目指すのは1人当たりの国民総所得(GNI)。日本企業や国民が国内外で得た所得の総額を指し、「1人当たり」でも年収とは異なる。

首相はこの日6か所で演説を行い、2か所で「年収」と述べたほか、「平均年収」「1年間の収入」「国民の平均の所得」「皆さんの所得」と説明が変わった。

経営者だけがもうかってもあかんという、極端な実話をひとつ。

求人情報
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*http://www.untenshu.com/staff/index.php/view/10

私はいっとき、土方仕事をしていた。そのせいで、飯場を持っている手配屋が知人に1人いる。その親父の所は、人夫1人当たり1万円で工事を請けたら、労働者に7千円渡す。1万2千円で請けても、労働者に渡すのは7千円だ。本人が7千円で納得しているのだから、1人当たり幾らで請け負うか、それは経営者の才覚という理屈だ。

親父は、請け負った現場の規模よりも多い目に労働者を抱えている。ずる休みや逃亡に備える意味もあるが、大きな目的は、ローテーションで仕事にあぶれさせるためだ。仕事がなくても宿泊料と飯代、ツケで買わせるタバコや酒代が発生するから、3日に1回休ませたら、天引き後の給料はゼロかマイナスだという。

飯場の経済はどうなっているのだろう。1日7千円で20日働いたら、手取りは14万円。そこから天引きする金額を計算しよう。

宿代(朝夕食事、風呂付き)3千円。これが30日分で9万円。昼の弁当代として1日500円。30日で1万5千円。合計10万5千円。人夫の手取りは3万5千円だ。食べて寝るだけでこうなる。

親方は、人夫を10人抱えたら日当の搾取だけで60万円~100万円。その上、飯場の上がりが100万円以上になる。経費は3分の1以下らしい。客の途切れない民宿を経営しているようなものだ。

実際には、引かれるものは、まだある。石けんやタオル、ティッシュといった日用品や安全器具、軍手などのツケも引かれる。

土方仕事は仕事中の缶コーヒーやお茶が不可欠だが、その分を前借りしている。タバコを買い、缶ビール2本呑んだらツケが千円だ。30日だと3万円にもなるから、さすがにここまで無駄遣いする人夫はいないという。大の大人がタバコや缶ビールを無駄遣いと言われる世界、それが飯場だ。

酷い所だと、一日50円の「スリッパ代」を取るし、食堂に醤油が置いてなくて、小さなビニールパックの醤油を5円で買わせるという。風呂代まで取るところもあると聞いた。知人は「そこまでしたら鬼やで」と笑うが、いや、あんたも十分鬼だ。

こういう次第で、働けど働けど、一度飯場にはまると、まず脱出できない。文句を言って現場からはずされたら悲惨だ。だから逃亡も多い。知人は、時々飯場の庭で焼き肉パーティをしてやるのだという。それで「うちの親父は気前がええ」と人気で、逃亡が少ないのだそうだ。

「ホームレスにでもなる所を拾てもろてやな、仕事はある、腹一杯、飯が食えて風呂も入れる。電気のある所に住めて、休憩所にはクーラーがあってテレビ見放題や。極楽やがな。人助けしとんやで」
これが知人の口癖だ。

飯場には、必要以上の余剰人員を置かない。請負仕事が減れば、追い出せばいい。仕事が増えたらまた集めてくればいい。親方は絶対に損をしない。

違法な派遣業だが、元請けは見て見ぬふりしている。必要なときに必要なだけ人員を手配してくれるので、自分のところでよけいな人手を抱え込まなくてすむし、工事予定が変わって1ヶ月の期間が2週間に減っても文句を言わないから、便利なのだ。

そんな奴隷労働が、今も実在する。これが、日本の実情だ。こういった世界、安倍さんは知らないだろうな。