[選挙]大阪知事選 大袈裟な感想

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正直な感想を書いてしまうと、大阪知事選挙の結果にはヘタりそうだす。石原、東国原に続いてまたも右翼ポピュリニスト知事の誕生だもん、いい加減うんざりする。

今回、自分は選挙に関わっていない。だけど、心ある大阪府民の悔しさがわかる気がする。

なぜ橋下なのか、ちゃんと説明できる有権者はあまりいないんじゃないんだろうか。一人一人の有権者が、自分が政治に望むことを書き出せば、それが橋下の言動や公約とマッチしないことにきっと気付くだろう。なのに、なぜ橋下?

まるで暴走を始めたレミングの集団みたいに危ない方向にみんなが向かっているんだけど、なぜそっちへ行くのか、だれもその理由がわからない。危ないぞと警告しても誰も聞いちゃいない。言葉がスカスカやりすごされていく。こういうのって、無力感を感じるよね。やるせないし、つらいね。

コロリと時代が変わるけど、戦前に戦争反対を貫いた人たちは、本当には偉かったと思う。現在どころではない孤立感に、常にさいなまれながら、節を曲げずに活動していたんだもん。よく心が折れなかったものだ。

有名な評論家が言ったそうだけど、非転向を貫いた共産党員は偉くないという見方があるそうだね。彼らは転向しなかったんじゃない、と。

なぜなら。転向した人たちは現実世界と格闘して負けたんだ。だけど、非転向の人たちは、はじめから現実ばなれした空理空論の世界にいて、現実と向き合っていない。だから、転向しなかったんじゃなくて、転向する必要がなかったんだ、と。

林房雄だっけ? 若いころ、これを立花隆の『日本共産党の研究』で読んだときは、なるほどなと思った。

林房雄はこんなふうに思ったんだろう。国民なんて、ファシズムの危険性に気付かないバカな連中ばかりだ。それが現実じゃないか。そんなバカのために、なんで自分がこんな苦労しなくちゃいけないのか。やーめた。こんな国、勝手に滅びればいいんだ。俺は知らん。この期におよんで、まだ大衆を信じるとか、歴史の法則を信じるなんて言えるやつは、バカに違いない。まともに考えれば、そんなのがおとぎ話であることに気付くはずじゃないか。

うん。かしこい人がそう考えるのは、無理もない。あまりにも現実ってやつがデタラメなんだから。何を言っても伝わらないもどかしさに、林房雄たち多くの人はあきらめてしまったんだ。だけど、非転向の人たちは、あきらめなかった。苦しかっただろうけどね。彼らは何を思って、重苦しい現実のなかで生きてたんだろう。

わかってもらえないのはつらいけど、正しいものは百ぺん負けても正しいんだ。やーめたって言ってしまったら、そこでおしまいじゃないか。抵抗をやめたら、そのときこそ本当の敗北なんだ。

信じるって、なんだろう。信じるというのは、何かによりすがって自分の主体性をなくすことではないよね。非転向のひとたちは、自分の存在をかけて信じたんだろう。

何を。
人間を。
人間の理性を。
理性の復権する未来を。
熱にうかされたような狂気の時代に、人間の理性を信じる。
ものすごい気迫だ。

「地獄におちようとも後悔しない」と命がけで師の法然上人を信じた、親鸞の気迫につうじるものがあると思う。

林房雄は親鸞の研究をしたくせに、そこは見えなかったのかな。評論家からみればバカにしか見えないのかも知れないけど、信じぬくってことがないと、何事もなしえないんじゃないだろうか。

親鸞さんや戦前期共産党員の足元にも及ばないけど、そういう一種の覚悟みたいなもの、自分も持たないとなあ。

でも。信念を持たないと身がもたない……なんてつまんないダジャレをすぐに思い付くようでは、あきまへんなあ、自分は……。