[政治手法]二人の維新政治家の話 橋下徹と松岡洋右

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維新とは「維(こ)れ新たなり」という意味。橋下の維新なんて、新たどころか、擦り切れたレコードにすぎないことは、いずれ明らかになるだろう。

ぼちぼち、彼の全体主義みたいなやり口がだんだん知られてきたようだ。警戒感も少しずつだが、高まっていると思う。しかし、いまだに橋下の歯切れのよい空文句に「よく言ってくれた」「スッとした」と感じる人も多いようだ。

時代はずいぶんさかのぼるが、かつて「よく言ってくれた」「スッとした」と英雄視された、一人の政治家がいた。名を松岡洋右という。

彼も「昭和維新」を唱え、日本人の精神を復興するのだと威勢がよく、国民にうけて国政選挙で当選した。彼を有名にしたのは、その歯切れの良さ。満州事変が国際社会から侵略認定されたとき、日本は開き直って国連を脱退した。その脱退演説をぶちかましたのが、松岡だ。そのプッツンぶりが、うけたのだった。彼は「よく言ってくれた」「スッとした」の声に包まれた。

で、本日の本論は、つぎの演説。

1940年7月21日、太平洋戦争開始の1年前に、松岡が外務大臣として訪米したときの、記者会見の内容だ。『ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン紙』に掲載されている。彼はこんなことを語ったという。

民主主義と全体主義との間の戦いでは全体主義が間違いなく勝利を得て、世界を支配するだろう。民主主義の時代はすでに終わり、民主制度は破綻した。この世界に、二つの異なった制度、または二つの経済が並存する余地はない。一方が一方に屈服しなければならず、全体主義が世界支配を成し遂げることになるだろう。」

ヒトラーはきっと「よく言ってくれた」「スッとした」と手を叩いただろうが、この自信満々さも、いまでは滑稽でしかない。

日本は狭いから、うっかりしていると、つい偏狭な空気に染まってしまう。「表向き堂々と言えないけど、本当は朝鮮人てどうなのって思うよね」……こんな偏狭な空気を読んで、政治家がそれを堂々と公言すると、一部の民衆は「よく言ってくれた」「スッとした」と英雄視して支持する。

政治家は世論の風が吹いていると思って、ますます偏狭な考えをブチ上げる。メディアはウケねらいでそれを大々的に報道する。お調子者は、それが時代の空気だと勘違いして、付和雷同してついていく。

こんな繰り返しが続くと、明らかにおかしなことが、日本国内ではなんとなく通ってしまう。朝鮮学校生徒にだけ補助金を出さないなどという無茶が、簡単にまかり通る。これは憲法に保障された「教育権の平等」を踏みにじる暴挙だ。憲法秩序を脅かす、とんでもない決定だ。が、そうとも気付かない、馬鹿なちんぴら議員の手で議会を通ってしまう。おそろしいことである。

昔の松岡は、そういった悲喜劇の典型かも知れない。狭い日本で生きて、日本でしか通じない常識にどっぷりひたってしまい、道理も正義も失ってしまう見本のような。彼のような政治家や軍人が、嬉々として日本を絶望的な戦争に駆り立てた。橋下はこの国をどっちに引っ張っていくつもりだろう。くわばら、くわばら。

■追記

松岡がヒューマニストの面をもつのは事実ですね。橋下にも感動的なエピソードがあります。
*http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/jikenbo_detail/?id=20120208-00022746-r25

金日成はあんな人だけど、一面では人民の生活向上を心から望んでいて、貧しい暮らしの農民を現地指導で見て涙を流したそうです。そんな状態に追い込んでいるのは現地の幹部がなまけているからだと、その場で幹部をクビにしたとか(笑)

個々人としては常識人で、血も涙もあるんでしょう。しかし彼らは自分でつくった政治的役割に自分自身を追い込み、政治家として考え、行動しました。彼らの果たした政治的役割は、とても肯定できるものではないですよね。

松岡は国連脱退に消極的でしたが、そういう動きになる前にも、彼は国連で演説しています。

「満州は日露戦争での10万の英霊の犠牲と、満州事変で確保したものである」

「人類はかつて二千年前、ナザレのイエスを十字架にかけた。しかも、今日、どうであるか。諸君は、いわゆる世界の世論なるものが誤っていない、と保証できようか。われわれ日本人は、現に試練に遭遇しつつあるのを覚悟している。ヨーロッパやアメリカのある人びとは、いま二十世紀における日本を十字架にかけんと欲しているのではないか。諸君! 日本はまさに十字架にかけられんとしているのだ。しかし、われわれは信ずる。固く固く信ずる。わずか数年ならずして、世界の世論は変わるであろう。しかして、ナザレのイエスがついに世界に理解されたごとくに、われわれもまた世界によって理解されるであろう、と」

ぶっ飛んじゃってますよね~(苦笑)