「罰する法律がないから違法ではない」という論理を認めない

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(前半はかっこいいのに、後半はシティズのせいでドタバタ日記になってしまいました……。トホホ)

明日2月19日、最高裁が、アイフル子会社「シティズ」を断罪することがわかりました。
契約を悪用し、「支払いが1日遅れた」などという理由でペナルティ(*末尾注)を課して高利をとってきたことについて、脱法であり信義則に違反するという初めての判断をしめす予定です。

シティズは法律のスキマを突いた商売を得意としています。大阪府知事橋下徹はかつてこの会社の顧問弁護士をしていました。シティズが貸金業法43条を悪用して高収益をあげていたとき、橋下が法廷で一貫して言い続けたのは「法律は破っていない」という理屈でした。それでどんなに顧客が困ろうとも平然と家屋敷を競売に掛け、一家離散に至る家族の苦悩など歯牙にも掛けず、「私は負けたことがない」とうそぶいていました。けれども法律の素人を相手にして、契約をたてにむごいことをして大もうけするのがおかしいと感じるのは、人間として当然のことです。そう感じない橋下は人間としてどこか欠陥があると私は思います。

社会常識に欠けたシティズを相手にして、人間としての感性に基づいて、法律を駆使し、条理や情理を尽くして、良心的な弁護士たちがたたかいました。一歩一歩シティズの論理を食い破り、いまではシティズが違法金利を取ることはできなくなってしまいました。ペナルティで儲けるというのはシティズがしがみついている最後の砦でした。

裁判で負けてもシティズはしれっとした顔で前と同じ事をします。判決の効力はその事件にしか及ばないからです。別の顧客に対する悪事を懲らしめるには、別の裁判が必要なのです。全国の数十万人の顧客のうち、闘う弁護士がついて徹底的に争ってくるのは一握りしかいません。難しい法論理を駆使してたたかっても時間と手間ばかり掛かってあまり儲からないので、そこそこの所で手を打っておけば楽だと考える弁護士の方が多いのです。こういう現状をいいことに、文句を言わない奴には平気な顔で脱法行為を繰り返すのがシティズです。最高裁で勝ったから、下級審でもこれまでよりは楽に勝てるようになるでしょう。しかし法律が変わらない限り、シティズは何度負けても別の客からむしり取ることでしょう。それとのたたかいは今後も続きます。法律改正要求も続きます。そうしないと善良な市民が食い物にされるばかりだからです。

「罰する法律がないから違法ではない。」
「違法ではないのにそれを犯罪だというものは許せない。」
こういう人がいます。

イスラエルの蛮行を目の前にしても、平然とそう語る人がネットには多くいます。まるで法廷の橋下みたいな理屈です。形式論理としては一理あるように見えますが、私はそんな理屈を認めません。

いま起きている事態を、容認するのか容認しないのか、人間として自分はどう判断すべきなのか。物事はそこから始まります。禁じる法がなければ別の法を援用すればいい。それが無理なら新しい法を作ればいいのです。禁じる法がないとうそぶいて「壊れやすい卵」が踏みつぶされているのを容認する人間を、私は信頼しません。

*注:シティズは、客が1日でも支払いが遅れると高い「遅延損害金」をとってきました。しかも1回取るだけではなく、その時点からずっと高い金利を取り続けていたのです。「一度破られた約束はもとに戻らない。破られ続けている状態だからペナルティを取るのは当然」という理屈です。たった1回、1日支払いが間に合わなかっただけで、それ以後は毎月毎月、きっちりと期日に支払いを続けても、無茶な損害金を取り続けたのです。

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ただいま15時44分。
状況が変わりました。
勝利をシティズに踏みつぶされました~っ

くそ会社シティズは、負けがわかったので、最高裁の確定判決を回避するため、上告を取り下げたのです。なんちゅ~卑怯な奴でしょうかっ!

シティズは客から高利をむしりとったり財産を差し押さえたりするときは、「裁判所のお墨付きがあるんじゃ~っ!」てな態度でやってきました。このたびは、その言い分が通らなくなりそうでした。最高裁が判断すれば、全国の下級裁判所がそれを参考にします。えらいことです。

そこで、その結論が出るのを回避して裁判を取り下げました。取り下げると裁判はなかったことになります。最高裁の判断がなければ、これからも全国の下級審で屁理屈をこねることができます。そして大昔に勝った判決を盾に、シティズは言うのです。「裁判所のお墨付きがあるんじゃ~っ!」

ではこちらが訴えたらシティズはどうするのでしょう。手強い相手だと見れば、あっさりと全面降伏して和解を求めてきます。相手が負けを認めているのにあくまでも判決をくれとは言えません。こうしてシティズは「負けてない」ことにできるんです。く、悔しいなあ……。しかしこういうのを乗り越えて闘うしか、世の中を変える方法はありません。

代理人弁護士も頭に来てて、以下の抗議申し入れ文を出しました。

平成21年2月18日 最高裁判所第1小法廷 御中

上告人(注:シティズのこと)の平成21年2月18日付け上告取下書による上告の取り下げは、自ら判決を求めて上告受理申立をし、また同種の争点を有する他の多数の訴訟が係属し下級審における判断が統一されていないことを知りながら、更に同種の争点を有する事件についてなお上告を維持しておきながら判決言渡期日前日に専ら判決回避の目的で行われたものであり、民事訴訟法2条に違反し、あるいは権利の濫用であるから訴訟行為として無効であると思料いたします。予定どおり判決言い渡しをされたく異議申立をいたします。

以上