最近の海賊報道について

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1508539141&owner_id=12631570

テロ計画男2人逮捕…ケネディ国際空港
読売新聞  2010/6/7 11:23
*http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1234149&media_id=20

【ニューヨーク=吉形祐司】米メディアは6日、連邦捜査局(FBI)とニューヨーク市警が、米国内外でテロを計画していた米国籍の男2人をニューヨークのケネディ国際空港で5日に逮捕したと報じた。2人はアフリカのソマリアに渡航し、国際テロ組織アル・カーイダと連携するイスラム過激組織アル・シャバブのテロ訓練を受ける予定だった。逮捕されたのは、パレスチナ系のムハンマド・アレサ(20)、ドミニカ共和国系のカルロス・アルモンテ(26)の2容疑者。直接の容疑は、米国外での殺人、誘拐謀議など。

写真:仏軍の海賊取り締まり

■アリの大群と戦っているアメリカ

アメリカはアル・シャバブがアルカイダとつながっているという理由で、これを側面攻撃しています。アル・シャバブは残忍なゲリラ組織のようです。住民虐殺を屁とも思わないこんな組織にシンパシーを抱くなんて私たちには信じられませんが、そういう若者がいるのが現実です。

彼らの目から見れば、どんなに残忍なゲリラでも、アメリカやイスラエルのしていることよりはマシに見えるのだと思います。そしてアメリカとイスラエルに対抗できるのは、いまやイスラム・ゲリラしかいない。そういう思考法ではないでしょうか。

こんな若者が世界中にいるのに、軍事力でアルカイダを打倒することなどできるのでしょうか。いまのアメリカは、蟻塚の上でピストルを振り回してアリの大群と戦おうとする西部のガンマンみたいに見えます。彼がそこにいるかぎり、蟻塚を壊されまいとするアリは必死に抵抗するでしょう。いくら撃ち殺しても切りがありません。

ソマリア問題は、弱い暫定政府と強いイスラム・ゲリラの内戦問題であり、隣国エチオピアとの微妙な国際問題でもあり、プントランド自治政府の承認問題でもあり、崩壊した経済問題でもあり、先進諸国との漁業権問題でもあり、そしてそこから派生しているのが海賊問題です。それらすべてが絡み合っているので、海賊問題は一朝一夕に片付くものではありません。まして武力で海賊をやっつければどうにかなるという単純な問題では、絶対にない。

■自衛隊でなければならないという理由が崩れつつある

日本で報道されていないソマリア海賊関連のニュースがあります。まず取り締まりの写真があるので見てください。
http://fredfryinternational.blogspot.com/2010/03/french-navy-catches-22-pirates.html

写真:海軍艦艇は小型艦です

写真:海賊逮捕はゴムボートで

海賊のボートに較べればわかりますが、フランス海軍の派遣している艦艇は小型の船で、海上保安庁の巡視艇みたいなものです。そして取り締まり部隊はゴムボートで乗り込んでいます。海賊取り締まりは海上保安庁が適任という意見に対して、対戦車ロケットを装備している海賊を相手にするには自衛隊の大型艦でなければならないという意見があって、ソマリアに海上自衛隊が派遣されました。しかしその意見が、もっともらしいたわごとでしかないのが一目瞭然です。

また、軍どうしでないと連絡がうまくいかないから海上保安庁ではだめという意見もありましたが、スウェーデンが3月から沿岸警備隊を派遣しているそうです。
*http://www.mschoa.org/Pages/default.aspx

無理矢理な法律を作って海上自衛隊を派遣したことについて、何の合理性もなかったことが、事実をもって明らかになりつつあります。

■アフリカ諸国も立ち上がりつつある

海上保安庁はインドネシア政府などと協力してマラッカ海峡の海賊をほぼ活動停止に追い込みました。しかしこの実績については、ソマリアで通用しないと言われていました。東南アジアと違ってアフリカの現地機関など信用ならないから参考にできないというのです。

しかし、現地政府に対する訓練援助の成果が早速上がっています。ケニアとセーシェルの治安当局が取り締まりに乗り出したのです。3月21日、ケニアの治安部隊はケニア領海内でソマリアの海賊容疑者11人を拘束しました。3月29日、セイシェル沿岸警備隊巡視船が海賊と交戦、囚われていた27人の人質を救出しました。このとき逃亡を図った小型ボート1隻を撃沈し、母船を攻撃して爆発、炎上させました。やり方がかなり乱暴なのは、訓練しているのがNATO海軍だからだと思います。3月はNATO軍部隊も海賊の母船を何隻も拘束するか破壊しています。

母船が捕捉できつつあるというのは、情報が整備されてきたことを意味しています。しかし破壊・沈没させるのはいかにも軍隊のやり口です。マラッカ海峡ではそういうやり方を改めてから取り締まり効果があがりました。いまこそ海上保安庁がそのノウハウを活かすときではないでしょうか。過ちは改めるにはばかる事なかれ。いまからでも海上自衛隊を撤収させ、海上保安庁に本来の警察任務を任せるべきだと思います。
*http://www.sof.or.jp/jp/monthly/monthly/pdf/201003.pdf#page=5