社員を大切にする会社は伸びる 坂本光司

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大切にしたい会社を探して『日本でいちばん大切にしたい会社』著者の坂本光司さん

業績ではなく社員の幸せを軸に考えるべき
朝日新聞BEより

「正しさ」の基準はシンプル。会社にかかわる「5人」を重視する経営です。社員とその家族、外注先・下請け企業、顧客、地域社会、最後に株主。この優先順位にこそ意味がある。

賛美されがちな顧客第一主義ですが、肯定しません。顧客に商品やサービスを提供するのは社員。顧客のことを考えるより、社員の幸せを真っ先に考えるのが経営者の仕事。

業績や利益を軸に経営を考えるから、おかしくなるんです。コスト削減のために正社員を非正規社員に置き換える。社内でやるべき仕事をきついとか汚いといって外注する。3人でやるべき仕事を2人でやらせる……。そんなことをしていたら、それは、社員がケガしたり、うつになったりします。業績ではなく、社員の幸せを軸に考えるべきなんです。

——でも、それでやっていけるんでしょうか?

社員を大切にしている会はどこも好業績です。私がいっていることは、理想でも理論でもない。この目で見てきた現実なのです。

だから経営者には言います。あなたが高めるのは、社員のモチベーションであって、業績ではない。勘違いしないでくださいと。業績を高めるのは、社員の仕事なんです。

社員が自分の所属する組織に愛情を持てば持つほど、業績が上がるのは当然の話なんです。自分の所属する組織に不満や不信感を持っている人間が、お客さんにニコニコ顔で対応できるでしょうか?

——海外との競争も激化し、中小企業の経営環境はますます厳しくなっています。

新興国に価格競争で勝てるはずはない。だから、信頼性、メンテナンス、独自の技術など価格以外で勝負するしかありません。これは、大企業と中小企業が一体となって取り組めばいいことです。

国内の雇用を拡大して、それでも供給が追いつかないというなら海外に出てもいい。でも、円高のために国内の工場を閉鎖して、人件費の安い海外で生き延びようとしている会社も多い。あなたは、いったい何のために経営しているのですか、と言いたくなる。

働く場である会社こそ、人に幸せを提供できるのです。会社には雇用責任だけでなく、幸せの創造責任がある。会社が変われば、社会が変わる。傍観者ではいけない。私は行政マンでも銀行員でもありません。学者という立場で、この口とペンを通じて、できることをし続けたいと思っています。