失業は権利だ

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来る3月29日、日本トムソン労働組合の決起集会です。

派遣労働については重層的な取り組みが必要だなあと痛感する毎日です。

  • 派遣先企業に派遣切り通告を撤回させる。
  • 正規雇用への転換を求める。

これが日本トムソン姫路工場の労働組合の方針です。
これらは前向きの取り組みです。

しかしどこでもこういう取り組みができるものではありません。孤立している派遣労働者のために後ろ向きの対策も必要です。派遣労働者が首を切られると直ちに路頭に迷ってしまう理由の一つに、失業手当がもらえない点があるそうです。

本来は雇用保険に加入しなければならないのに、加入させていない。実際の事例では派遣会社が、「雇用保険に加入するなら会社負担分も自分で払え」と求めたり、「加入すれば手取りが減る」などと説明していたといいます。雇用保険法は、悪質な加入逃れに対する罰則を規定していますが、厚労省が「指導してから加入すれば違反に問う必要はない」との見解を示しているため、罰則適用例がほとんどないのだそうです。泥棒しても、ばれたときだけ金を返せば罪に問わないというようなものですね。

聞くにつけ、派遣会社の態度はひどいものです。仕事が切れたら悪条件の派遣先を紹介します。社員がそれはちょっと勘弁して欲しいと断ると、気に入らない仕事の紹介を断ったということで「自己都合退職」の扱いにします。

あるいは派遣会社が仕事を探すふりをして離職票を出さない。現行法では社員は給料が入らないのに、黙って1ヶ月も待機しなくてはなりません。解雇予告手当がなく、失業保険は最大4ヶ月も先にならないと下りてきません。こういう実態なのに、多くが泣き寝入りになっているのだそうです。

現場でこんな脱法行為が行われているのに、肝心の労働行政が「行革」で大きく弱体化しています。昨年12月の地方分権改革推進委員会は、ハローワーク職員を11000人も減らすとしています。すでに765人もの職員が減員となり、安定所の廃止や縮小が行われました。労働局を廃止し、地方厚生局に統合する動きまであります。

しかも政府は「社会保障費の2200億円削減」というノルマを達成するために、雇用保険の国庫負担を全額撤廃する考えを表明しています(08.5.9財務大臣の記者会見)。

そもそも労働条件の悪い職場から抜け出し、自分に合う仕事を探し、職業訓練を受けるのは国民の権利でしょう。また過労やうつの治療のために少し休むためにも失業制度の充実が必要です。失業が怖くなくなれば、労働者として使用者に強く労働条件の改善を求めることができます。

底なしの不景気の中、現状はなかなか手強いものがありますが、「失業は権利だ」という考え方を定着しなきゃいけません。

  • 行政には運用の改善や拡充を求める。
  • 議会には法改正を求める。
  • 派遣会社や派遣先企業には雇用を守れ、働くものの権利を守れと要求していく。

役割分担しながら、「上る道は違っても目指す頂上は一つ」で同時並行的に迫っていかないとなりませんね。