日本財団発 海賊退治は海上保安庁で

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11月14日、「海洋政策研究所」が「ソマリア沖海賊対策緊急会議」を開きました。この団体は立派な活動をしているんですが、資金を出しているのは「日本財団」です。ですから緊急会議の結論は初めから分かっていました。
「海上自衛隊を出せ」
これしかありません。
*http://www.sof.or.jp/jp/topics/pdf/20081118_08_13.pdf

ところが上にURLを示した「提言」に、場違いとも思われる一文が入っているのに気付きました。

「本提言に基づいて決定される措置は、ソマリア沖の海賊行為に限定することなく、必要に応じて他の地域にも適用すべきである。
その場合、まずは海上保安庁の船舶等の派遣が考慮されるのは当然である。

お-海上保安庁!

日本財団が海上自衛隊を送れという「国民の声」をアピールしたくて緊急会議を開いたら、なんと、まず海上保安庁だという声が上がった。
その意見を無理矢理に押さえ込んで、予定通り海上自衛隊を出せという結論にこぎつけてはみたけど、やはり強力な正論を無視するわけにもいかず、提言の中に変な一文が紛れ込んじゃったんではないかな-なんて楽しい空想ができる提言でした。

「当然である」・・・って、それならソマリアも同じだろうが。

でね、これは初めて知ったんですけど、「日本とインドネシアの間の海洋安全保障協力に関する共同宣言」てのもあってね、これは10月31日に出ています。インドネシアと言えばそれこそマラッカ海峡の海賊の本場です。
当然その宣言にはこんな一文がありました。

海賊・武装強盗への対処、両国の海上部隊間の交流、海事産業分野における協力の可能性、海洋資源と環境の保護、などについて議論を重ねてきた。
両パートナーは、マラッカ・シンガポール海峡およびインドネシア群島水域における航行安全と治安の強化を目的とする国際協力と構想を支持する。

じゃあ、それはどんな国際協力なのか、そこにも海上自衛隊を送るのか。
いいえ。

海洋政策研究財団は、日本の関係各部に、インドネシアが将来的にはインドネシア沿岸警備隊大学校となるインドネシア沿岸警備隊訓練センターを運用することに対して援助することを働き掛ける。

これはつまりインドネシア側は海賊退治のためには海上警察の強化が一番だと言ったんですね。海軍じゃなくて。そりゃまあ、これまでの実績からして、そう言うだろう。

で、海賊退治のためにインドネシア沿岸警備隊訓練センターをつくって人材養成をしたいのだが、ついては日本政府に金を援助してほしい、と。
日本財団はわかりましたと。それが正論だってのは、海の専門家だからわかってはいるんだよね。でも笹川だし、曾野綾子だし、バカな提言と分かりながらも海上自衛隊を出せと言ってみせなきゃ資金が来ない……。

かわいそうになあ。

ま、海賊退治は軍隊ではなくて、まずは警察活動だよな~と、有り難や日本財団のおかげで再確認させていただきました。ありがとう。

<関連日記>
海賊退治に適任なのは海上保安庁

海賊対策 海自の護衛に前向き * それより実績のある海上保安庁にお願いしてはどうでしょう。海賊の名所だったマラッカ海峡では事件が減少しています。日本の取り組みが功を奏したのだと思います。海上保安庁が海賊船より足の速い中古の巡視船を提供したり、関...

<参考>

「ソマリア沖海賊対策緊急会議」開催のご案内
日本財団
海洋政策研究財団
(ソマリア沖海賊対策緊急会議事務局)

現在、アデン湾・ソマリア沖では航行船舶に対する海賊事案が多発しており、我が国船社が関係する船舶も被害を蒙っています。海賊は、無政府状態が続くソマリアの沿岸部を拠点として、航行船舶への襲撃を繰り返していますが、ソマリア暫定政府はこれを取り締まるための対処能力を欠いており、国際社会による取り組みの必要が叫ばれています。

本年6月に国連安全保障理事会は、加盟国にソマリア領海を含む海域における海賊取り締まりの実施を求める決議を6ヶ月の期限付きで採択し、アメリカやカナダなどの海軍部隊が対海賊パトロールに乗り出したものの、海賊行為は減少する気配を見せていません。10月に国連は海賊取り締まりの強化を加盟国に改めて要請する追加決議を採択しました。こうした状況下、EUやNATOも組織的な対応を決定し、既に海軍艦船をソマリア沖に派遣した他、ロシア、インド、マレーシアも海軍艦船を派遣しており、韓国も派遣を検討しています。

アデン湾・ソマリア沖は、年間20,000隻近い船舶が航行する世界の重要なシーレーンであり、日本関係船舶も多数航行しています。したがって、この海域における海賊行為による航行船舶への被害は日本の経済および国民生活に多大な影響を及ぼすものとなります。国際社会の一員として、我が国は、国際情勢を冷静に見極めながら、ソマリア沖の海賊行為に対して独自の対応を打ち出すべき時期を迎えたと言えるでしょう。

日本財団は、マラッカ・シンガポール海峡の航行安全のために長年支援活動を展開してきました。また、海洋政策研究財団も近年、シーレーンの安全確保等の問題につき民間ベースの二カ国間戦略対話を推進しています。

今般、両財団は、ソマリア沖で多発する海賊行為に関し、最新の情報を提供し、我が国として実施すべき施策について検討を行い、政策提言をまとめることを目的として、民間主導による緊急会議を開催するものです。

ご多用中とは存じますが、多くの関係者にご参加いただきたく、ご案内申し上げます。

日 時:2008年11月14日(金)午後1時~5時30分
場 所:ホテルオークラ東京 本館1階「曙の間」
〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-10-4
電話:03-3582-0111

<銀座線> 虎ノ門駅 出口3 より徒歩5 分
<日比谷線> 神谷町駅 出口4b より徒歩5 分
<南北線・銀座線> 溜池山王駅 出口13 より徒歩5 分
<南北線>六本木一丁目駅 出口3 より徒歩5 分

会議次第:下記参照
申し込み方法等
(1) 参加費:無料
(2) 申し込み方法
ファックスにて申込用紙[PDF] にご記入のうえ、03-3502-2033 にお送り下さい。
(3)その他:定員になり次第締め切らせていただきます。

本件に係る連絡先
ソマリア沖海賊対策緊急会議事務局(担当:政策研究グループ長 菅原善則)
海洋政策研究財団内
電話:03-3502-1895
FAX:03-3502-2033
e-mail:info@sof.or.jp
ソマリア沖海賊対策緊急会議プログラム

開会挨拶・緊急会議の趣旨
長光正純 日本財団常務理事
13:05-13:40 講演「ソマリア沖海賊対策について-求められる我が国の対応-」
長島 昭久 衆議院議員・民主党副幹事長
中谷 元 衆議院議員・自由民主党安全保障調査会長

13:40-14:20 発表「ソマリア沖海賊の被害と各国の対応状況」
若林 邦芳 日本海難防止協会ロンドン事務所長

14:20-15:00 発表「船長からの報告」
森本 靖之 日本船長協会会長
発表「船主協会の要望」
半田 收 日本船主協会常務理事

15:00-15:20 発表「インド洋給油活動について」
南孝宣 統合幕僚監部運用調整官

15:30-15:45 緊急提言案紹介
秋元一峰 海洋政策研究財団主任研究員

15:45-17:00 パネルディスカション「今、日本は何をなすべきか」
古庄幸一 元海上幕僚長・海洋基本法フォローアップ研究会メンバー
石川裕己 前海上保安庁長官・海洋基本法フォローアップ研究会メンバー
高井晉 尚美学園大学大学院客員教授
山田吉彦 東海大学海洋学部准教授

17:00-17:20 質疑応答

17:20-17:30 議長総括・閉会挨拶
秋山昌廣 海洋政策研究財団会長