DV被害者の実態 貧困と暴力とのたたかい

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DV防止法があっても、被害者の実態はあまりにも知られていない。

たとえば典型的な「夫の暴力」から逃げてきた場合を想定してみる。婦人保護施設や母子寮、民間シェルターなどに一時保護をさせた後、「アパートなどに住んで、当面まずは生活保護を受けてもらえばいいのでは」と簡単に連想してしまうが、実際の行政対応は複雑きわまりないのだ。

着の身着のまま逃げ出してきても、夫がいる家に自分の名義の預金通帳や生命保険証券などが置いてあると、それを「資産」とみなされる可能性もある。また、福祉事務所が現場の裁量で、資産はDV被害者が現時点での持っている所有物だけだと、生活保護受給を認めても、安定した居住に至るまでのハードルは非常に高い。

まず生活保護受給には基本的に2親等以内の親族の扶養照会が必要だが、扶養照会を通して夫に居場所を特定されてしまうリスクがある。福祉事務所の個々の判断で扶養照会をパスしてもらうことができても、アパートを捜し、契約するために保証人を見つけることも、DV被害者にとっては大きな困難をともなう。親族に保証人を頼めなかったり、保証会社や保証協会などに依頼をしても審査に落ちることもあるからだ。

さらには、やっと居住地を確保しても、ふたたび追跡や居所特定のリスクが高まると、移動を繰り返さなければならない。

DV被害者は、こうして逃げまわっているうちに、どんどん困窮化してゆく。加害の夫の側は、もともと住んでいる家から逃げる必要もなく、仕事や生活、収入等はほぼ変化しない場合も多い。これは子どもの親権を争う際、DV被害者にとって不利な要因にもなる。DV被害者の側のほうが、社会経済的な状態が不安定で、養育能力が低いと判断されてしまうのである。

<参考情報>
「存在しない」サバイバーたちーーセックス・労働・暴力のボーダーで
大野更紗/作家
SYNODOS JOURNAL
https://synodos.jp/welfare/1625(1/3)
https://synodos.jp/welfare/2584/3(2/3)
https://synodos.jp/welfare/2592(3/3)