憲法9条の平和力(1)憲法9条とフィリピン内戦終結

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明日6月23日、たつの市で憲法の話をします。ここに載せるのはその内容ですけど、こういった話は、多分泥しかしません。[P]の表示は、ここには載せませんが講演会で使用するパワーポイントの画面です。

■自己紹介

私は陸上自衛隊少年工科学校(下士官養成機関)を卒業した元自衛官で、階級は三等陸曹でした。

退職して姫路に戻ってきてから、平和運動に長年たずさわっています。現在は憲法集会の事務局をしております。元自衛隊と憲法第9条を守る運動って、折り合いが悪いように思われるかも知れませんが、そんなことはありません。 パワーポイントの画面は、『我自衛隊を愛す、故に憲法9条を守る』(かもがわ出版)[P]という本です。

自衛隊の中枢にいた高級幹部たちが、憲法第9条への思いをつづっている本です。自衛隊の幹部が、なぜ憲法第9条を守れという本まで書いて護憲を訴えるのか。それくらい、いまの改憲論がひどいということです。どのようにひどいのか、私は現場人間で、理論は得意ではありませんので、具体的に現場の目から語りたいと考えます。

[P]橋下徹大阪市長のツイート
日本人が身勝手になったのは憲法第9条のせい。

[P]安倍晋三首相の発言
他人に平和のゲタを預ける、いじましい、みっともない憲法。

言いたい放題ですが、これは本当でしょうか。憲法第9条は日本の都合しか考えない「一国平和主義」で、世界の不幸を見て見ぬふりする、身勝手でいじましい憲法なのでしょうか。まあ安倍さんて、ちょっと前までこんなこと言ってた人ですから、憲法について語っていることも当てになりません。

[P]ポスター
「TPP絶対反対 ぶれない 嘘つかない 自民党」

■憲法第9条は世界の平和を守っている

[P]モロ民族解放戦線ゲリラの娘 その名は「HEISEI(平成)」

画面は新聞記事の切り抜きです。フィリピンで、長い間内戦が続いていました。独立を求めるモロ・イスラム解放戦線と政府軍の戦いです。何度も停戦協定がむすばれましたが、何度も破られました。

2011年8月、日本政府の仲介で秘密来日したアキノ大統領とゲリラのトップがはじめて直接対話して和平交渉を行い、和平が実現しました。

[P]和平協定調印式

この陰に、日本国際協力機構(JICA)の10年間にわたる平和作戦がありました。ゲリラたちはどうして戦うのか。それは貧しいからです。中央政府がモロ民族を差別して、ちっとも恩恵を与えないから、だったら自分たちで政府を作ると言って戦ってきたのです。そこでJICAは、彼らの地域を豊かにしようと考えました。ゲリラ地域に丸腰で入っていって、道路を建設しました。職業学校を建設してモロ族の人たちの手に技術を授けました。政府軍に焼かれた学校を再建しました。

こうして地元の民衆の信頼をつちかい、その信頼関係をつかってゲリラと政府に和平交渉を呼び掛けたのです。日本が仲介した協定は、いまも破られていません。フィリピン政府も譲歩して、2016年には、モロ族地域にバンサモロ自治政府ができる計画になっています。

バンサモロとはミンダナオ島のイスラム教徒を指す言葉で、モロ族の誇りある名称であり、フィリピン政府が最も嫌がっていた名称ですが、日本政府の説得で政府が折れたのです。この名称を認めさせたことで、日本に対するモロ族の信頼は不動のものとなったそうです。

レジュメにそえた資料は外務省のものです。

[外務省資料]
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/25/3/0311_04.html

いろんな国が和平工作をしたのに、どうして日本だけが成功できたのか、それは、丸腰の日本だからこそ成功したんです。丸腰の日本人が、モロ族の敵であるはずがない。モロ族の人々はそう思ったんですね。だからJICAがゲリラ地域の奥深くに入り込んで活動できたんです。

学校を建てたり、仕事を教えたりと、モロ族のために懸命に頑張っている日本人は、徐々にモロの人たちの信頼を得ていきました。いまや日本人を攻撃しようものなら、ゲリラは民衆の支持を失います。いつのまにか、ゲリラは日本の平和戦略に巻き込まれていたんです。

ゲリラ司令官が、どうして娘にヘイセイと名付けたのか、その言葉を読んでみましょう。「私は日本に来て、広島・長崎にも行った。そして日本の人々が心から平和を愛していることを知ったんだ。私の国もいつか日本のように、平和で豊かな国にしたい。そう思って、娘にヘイセイと名付けたんだよ。」

どうです、素晴らしいじゃないですか。いいことしてるじゃないですか、日本政府。「日本人が身勝手になったのは憲法第9条のせい」?「いじましい、みっともない憲法」?あんたがたは、こういう日本を見てもそう言えるのかと。でも、こんな話、知らなかったというひとが大半でしょう? そりゃそうです、政府がこれを誇りに思っていないんだから。でも、どんな政府でも、憲法がある限り、日本の外交は憲法にもとづくしかない。すると、こういうすごいこともできるんです。憲法の威力、すごいですね。こういう話はこれ一つじゃありません。

明日につづく