マナス(キルギス)の出来事から見えてくる普天間に米軍が居座りたい理由

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1504353063&owner_id=12631570

キルギスにあるマナス基地の出来事は、普天間飛行場の存在意義を考えるうえで参考になりそうです。あまり聞いたことのない場所ですが、マナスには中央アジア唯一の米軍補給基地があります。トルコやイラクからアフガンに飛んでいく航空機に給油するため、マナスに空中給油機を置いているのです。ところが最近になって、米軍は空中給油にマナスを使わないと発表しました。

昨年に話は戻ります。
2月にキルギス政権が「マナス米軍基地の貸与協定を延長しない」と発表したとき、日本ではいろんな報道が流れました。アメリカのアフガン戦略が根底から崩れ去る、などというものです。

*http://www.news24.jp/articles/2009/02/04/10128445.html
2009年2月4日23:09

キルギス政府は3日、国内にあるアメリカ軍基地を閉鎖すると発表した。この決定は、オバマ大統領の新しいアフガニスタン戦略に大きな影響を与えるとみられる。背景には、旧ソ連圏からアメリカの影響力を排除しているロシアの圧力があるとみられる。

混迷深めるキルギス。米ロ間で続く駆け引き
All About 2010/4/12
http://allabout.co.jp/gm/gc/43870/

アフガニスタンに近いため、アフガニスタンに対して睨みをきかせ、実際の軍事行動において極めて重要な拠点となる基地でもあります。アメリカがここを失ってしまうと、中央アジアにおける米軍の存在がなくなり、2001年の同時テロ以来重要だったアフガニスタンに対する戦略が根底から崩れ去ってしまいます。また、中央アジア全体におけるアメリカの影響力も低下します。

このように、沖縄の海兵隊がいなくなったら抑止力が低下するというのと似た分析が、当時はたくさん流されていました。アフガニスタンに対する戦略が根底から崩れ去るというのだから大変です。結局、米側が家賃の大幅値上げを飲んで、基地は継続することになりました。

そのときも、こんな観測が流されました。

*http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009062301000661.html
キルギス、米が使用継続で合意 マナス基地、非軍事物資に限定マナス基地内に新たに「中継輸送センター」をつくるとしており、軍事物資の通過は容認していないとみられる。アフガン対策強化を優先課題に掲げ、基地の軍事使用の継続を求めてきたオバマ米政権との間で、一定の妥協が図られた形。

「みられる」という推測。
「アフガン対策強化を優先課題に掲げ、基地の軍事使用の継続を求めてきたオバマ米政権」という、まるで見てきたような断定。軍事基地なのに軍需物資を扱わないとか、無茶な分析を平気で語る不思議。

ところで、最初に述べたとおり、米軍はマナス空軍基地での空中給油機の活動を中止しました。
Military.com
*http://www.military.com/news/article/us-stops-refueling-tankers-at-manas.html

理由は、キルギス大統領の息子が経営している石油会社の石油販売価格が高すぎるというものです。「タンカーは、燃料を手に入れるのにほかの代わりの場所に行く」のだそうです。たしかにマナスは便利な位置にありますが、米軍にとっては、燃料代が安くつく以上の意味はなかったってことですね。

「マナスはアフガン対策強化を優先課題に掲げる米政府にとって不可欠」
「マナスが使えないとアフガニスタンに対する戦略が根底から崩れ去る」
こんな分析は大げさだったんです。

どうでしょうか、沖縄だって米軍にとっては同じようなもんだと思うんですが。なのにその問題で米国とちょっと意見が合わないと政権が吹っ飛んでしまう日本。米軍が何か要求すれば、もうそれは変更不可能と思いこみ、なんとか実現するために大仰な理由を考え出し、迎合的に振る舞うために大騒ぎする。どこまで米国に従属してるんだと腹立たしい限りです。