http://mixi.jp/view_diary.pl?id=570829237&owner_id=12631570
さて、「核」の話に移る。
核兵器は脅威だ。ノドンもテポドンも性能の悪いロケットだ。とはいうものの、日本に届かせようと考えて開発製造しているのは間違いない。これが脅威でないはずがない。
しかし、今はまだ心配しなくてよい。核弾頭を載せられる信頼性の高いロケットがないからだ。
1998年のテポドン1号による人工衛星打ち上げは失敗だった。北朝鮮は人工衛星「光明星1号」が地球を周回していると主張したが、全世界のどこのアンテナも(北朝鮮のアンテナを除いて)、その電波を捉えられなかった。
北朝鮮は人工衛星打ち上げの失敗だったことを認めず、世界中でただ一国、打ち上げは成功だったと強弁している。一方、日本政府は人工衛星打ち上げの失敗だったことを認めず、世界中でただ一国、「弾道ミサイルの発射実験」であったと断定している。素直でなく自分に都合のいいことしか言わない態度に関しては、どっちもどっちだ。
昨年のテポドン2号は名前こそ同じだが、1号とはまるで違うロケットだ。
テポドン1号はノドンにスカッドをつないだもの。
テポドン2号はソ連製の潜水艦発射弾道ミサイルSSN6にノドンをつないだものと考えれば近い。
テポドン2号も、あるいは人工衛星を狙ったのかも知れない。
米国の軍事シンクタンクが、「もしもテポドン2号が墜落せずに飛び続けていれば」との前提で、当初の発射方向からその後の弾道を推定している。
http://www.globalsecurity.org/wmd/world/dprk/images/td2_sat-launch_ground-track.jpg
この軌跡は日本のH2Aロケット初号機の飛行軌道とほとんど平行である。コースとしては合理的なのだ。
http://www.jaxa.jp/projects/rockets/h2a/f1/img/f1_sequence.gif
すると北朝鮮は8年の間隔を空けて、衛星打ち上げに2度失敗したことになる。普通は一度失敗したらその原因を解析して原因を改良し、もう一度挑戦するものだ。技術というのはそうやって向上していく。北朝鮮みたいに失敗しておきながら2度目のテストをすっ飛ばして、新型ミサイルを打ち上げる無謀な国は他にない。
なぜこんなことをするのかよく分からないが、こんなことをいくら繰り返しても技術的進化はのぞめない。ま、日本にとってはありがたいことだ。
テポドン2号の失敗の原因はよく分かっていないが、細長すぎたというのが米軍の分析である。日本のHA2型ロケットの直径が4mなのに対して、テポドン2号は2mしかない。これは何十年も前のソ連の製品をコピーしただけだからだ。ロケットの胴体を太くするには基礎設計からやり直さなければならない。北朝鮮の技術レベルとは、コピーはできても自力で基礎設計ができない水準であることがわかる。北朝鮮の核ミサイル開発にはまだ相当の時間と努力が必要だ。
どれほど無茶な指導者でも、打ち上げたとたんに分解してしまうようなロケットに核弾頭を載せて発射しようとは思わないだろう。日本を攻撃するどころか、自分の頭上から核弾頭が降ってくるかも知れないのだから。
しかし北朝鮮の技術をなめてはいけない。なにせ自力で核爆弾の開発に成功したのだ。今は無理でも、将来的には本当に日本を狙える核ミサイルを開発できるかも知れない。
今がチャンスなのだ。
今のうちに北朝鮮の非核化を成功させなければならない。
6カ国会議の中で、米、露、中、韓はそのことをよくわかっている。それなのに日本政府は核問題とは全然関係のない問題を持ち込んで協議を紛糾させている。北朝鮮も核問題とは全然関係のない問題を持ち込んで協議を長引かせている。長期的視野がなく自分に都合のいいことしか主張しない態度に関してはどっちもどっちだ。
(日本と北朝鮮、兄弟のようによく似ていると思うなあ。)
しかし、考えてみよう。非核化協議が失敗したら、一番困るのは日本なのだ。命を狙われているご当人が呑気に核とは無縁の論議にやっきになっている。諸外国はあきれているのではないか。そのあたり、日本政府はいったい何を考えているのだろう。