安保法制賛成派の勘違い その一覧

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facebookに落とした「安保法制「必要」57%?産経報道」のスレッドに安保法制支持者が現れて熱心にコメントをくださっています。
この方の主張に安保法制賛成派の典型的な思考が表れているので、ご紹介します。

話があっちに飛びこっちに飛びで分かりにくいのですが、ご了承を。
それから、適確な批判が私以外からも寄せられているのですが、私との対話形式にする目的で、一か所を除いて転載しませんのでご理解願います。

▼=安保法制賛成派(Wさん)
▽=安保法制反対派(私です。1つだけ私ではなくTさんのコメントがあります。Tさんと明記しています)



安保法制の何処が問題なのか不明ですね? 憲法違反? 集団的自衛権行使? その他?


あげられている理由全部ですよ


日米安保は、日本の施政権内限定での集団的自衛権なので条約廃棄。また自衛隊が憲法違反だから、即時解隊。では、誰が日本を守るんでしょうか?


日本が侵略されないように自衛隊があります。仮に一朝事あらば自衛隊が日本を防衛することに反対だという政党は一つもないことをご存知ですか?

日米安保は集団的自衛権を規定していないこともご存知ですか? 米国にとって日本を防衛するのは集団的自衛権の行使ですが、日本は自分の国を守るのだから、たとえ共同作戦であっても個別的自衛権行使でしかありません。これは自衛隊創立以来の方針なので60年も繰り返されてきた説明ですし、国民的常識だと思っていました。

そういうことですので、Wさんの杞憂は筋違いであることを指摘させていただきます。自衛隊は安保法制によって国防に加えて海外任務まで本格的に担う事態になりそうです。限られた能力で二正面作戦を担えば、国防に回すリソースが足りなくなって安全保障を危険にさらすとはお考えになれませんか? そういった議論なしに自衛隊を政治の道具扱いにするような法律は無責任だと思います。


日米安保条約の前文に集団的自衛権が明記され、それを前提に条約が結ばれていると私は考えていますが、その論議はまた機会があれば。

安保法制に関して安倍首相は、活動範囲は日本周辺で遠い地域への海外派遣はしない(南スーダン等はPKO活動で安保法制とは別物)、但し掃海活動の派遣はする(過去に自衛隊をペルシャ湾に派遣した)との答弁だったと思います。安保法制によって日本周辺以外の自衛隊の活動は、私は実際には有り得ないと考えています。

国民の安保法制賛成が増えているのは、日本周辺で自衛隊に活動してもらいたいとの期待が有る事が原因だと思います。


(1) 先のご設問に対する私の返信にお応えがありませんが、私の書いたことにご納得いただけたのでしょうか。Wさんのことではありませんが、設問を片付けないで次から次に新しい論点を繰り出して煙に巻くタイプの人がよくいるんですよ。

(2) 安保前文をちゃんとお読みなのですね。素晴らしい。それならばお気づきでしょうが、「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有している」のとおり、「または」で結んでありますね。普通は「及び」で結ぶ筈なのに「または」にしてあるのは、締結国の片側の日本が集団的自衛権を憲法で否定しているからです。つまり安保法制がなくても、日本防衛に限れば日米安保の運用になんら支障はありません。

(3) あとPKOも安保法制の中身の一つなのですがご存じありませんか? 安保法制の柱は2本です。「平和安全法制整備法」「国際平和支援法」(PKO)。ふたつはそれぞれリンクしていますが、いわゆる「駆けつけ警護」「住民保護」は、直接的にはPKO活動を対象にしています。

(4) 地理的制約についても、私はその安倍総理の答弁に詳しくないのですが、仮にそういった答弁があったとしてもそれは安倍総理のプランにすぎず、法律自体に地理的制約は記載されていませんね。そして必要なのは法律論であって、安倍総理の方針ではないと思うのですが、いかがでしょう。


自衛隊に関しては、合憲であると考える政党と違憲であるが現在あるので活用し将来的には解隊するとの政党と色々あり全ての政党が歓迎している訳では無いです。


自衛隊がもし外国の軍隊と国内・国外を問わず戦闘して自衛隊員が拘束された場合は、その自衛隊員は捕虜として扱われるかどうかは、戦闘相手しだいではないですか? 日本は憲法で軍隊は持たないと明記されており、軍隊で無いのならば国際条約で保護されない可能性があります。自衛隊員の事を大切に思うのならば、九条改正し自衛部隊の保持を明記すべきだと思います。

(どろ注:話を誤魔化したい相手は、それ以前の中身に深入りすることを避けて、このように次々と話題をすり替えます。流されないように注意しましょう)


その存在を歓迎しないまでも、自衛隊が侵略に対処することを妨げる政党は存在しませんよね?国民の生命のかかった緊急事態なんだからね。ですから渡邊さんの「では、誰が日本を守るんでしょうか?」という設問に対するお答えは一つです。国民と協力して自衛隊が守るんです。実力行使は自衛隊が引き受けます。安保法制に反対するのは日本の防衛をないがしろにすることと同義ではありません。ご納得いただけましたか?


日米安保条約が集団的自衛権を認めていないのなら、日米合同演習は違法でやるべきでは無く、イージス艦等をはじめとする日米の情報リンクも切断するべきです。集団的自衛権があるから、合同演習をし情報リンクをしていると私は考えます。

(どろ注:またも、はぐらかしですね)


あいにく、あなた個人のお考えで国防政策が成り立っているのではありませんね? わたしはあなたの個人的解釈などどうでもよいので、現実に成立している法解釈をもとにお話をしたいと思います。日本政府の法解釈は先に私が書いたとおりです。それに異論があるなら、安保法制反対派に対してではなく政府に対して抗議なりをなさるべきではありませんか?


PKOに関しては、現在のPKOに関しては反対です。南スーダンにに派遣して自衛隊員の生命を危険にさらしています。これこそ自衛隊を国内及び国外の政治の道具に使っています。安保法制の大枠では賛成ですが、PKOに関しては反対です。


そうですか。私もPKOには反対です。そして先に示した通り、安保法制の2本の大きな柱のひとつがPKOです。一部に反対と言っても、政府はそんな都合の良い言い分を聞いてくれませんよ。大枠で賛成したら全部に賛成したことになります。


>大枠で賛成したら全部に賛成したことになります。
その通りだと思いますが、しかし安保法制以前の状態で日本を守る方法は、専守防衛でしたね。専守防衛とは、泥さんは専門家ですのですので良くご存じだと思いますが、他国の侵略を領土内で撃退し領土外に追い出しその後は追撃しない戦略ですね。侵略する方にとっては、侵略しても自国領土には一切攻撃を受けない事になります。侵略国を領土外に追い出し、追撃する事が出来る道を付けた安保法制に対して反対したら、また専守防衛状態に戻る事を危惧しています。全てが満足できる法案を求める事は無理だと判っています、優先順位の高い国防を私は重視しています。


お言葉ですが、安保法制は領土防衛に関しては専守防衛のままですよ。法案のどこに敵軍を追撃できる文言があるでしょうか。Wさん、指摘できますか? 出来ないはずですよ。政府も専守防衛を堅持すると回答しています。Wさんたち多くの安保法制賛成派にいえることですが、あなたたちの賛成している「安保法制」は現実の安保法制とは縁もゆかりもない代物です。国防に寄与することのない軍事法制、それがありていな安保法制の姿です。願わくば、もう少しきちんと法律の実態を理解してから賛成するなり反対していただきたいと思います。失礼ながら、Wさんは勉強不足です。


確かに日本は、現在でも専守防衛ですね。先制的敵基地攻撃で、攻撃を受けていなくても相手基地攻撃しても専守防衛ですからね。先制攻撃も専守防衛になりますからね。私の考えていた専守防衛は、自国領土またはその周辺でのみ防衛するとの古い考えでした。


また勘違いなさっています。「先制的敵基地攻撃」はいまも許されていません。ただしミサイル攻撃については撃たれたら防御方法がないという制約があるので、相手国軍が日本を攻撃する意図が明白な場合、発射準備の段階で攻撃が発動されたとみなしてミサイルを破壊できるというのが昭和31年に確立された政府見解です(古い話です)。そしてこれは「先制攻撃ではない」というのが国際的なスタンダードです。そういうことで、先制的敵基地攻撃はいまも許されていませんから気を付けてください。

そうはいえども、相手国軍の意図など察知できるはずがないということと、間髪入れずに敵ミサイルを破壊する手段を世界のどの国も開発できていないという点で、自衛隊の敵基地攻撃は非現実的な想定です。

まあ「現実的なことはおいて、法的にはそう言える」というにとどまります。どうもWさんのご理解は古いという以前に不正確です。しかも安保法制とは無関係です。余談はこれくらいにして、他の点についてご返答をお願いしますね。


他国が核ミサイル等を発射準備している状態で(核保有国の核ミサイルはほとんどがその状態だと思いますが)、まだ自国は被害を受けていない状態で攻撃する事は、専守防衛で先制攻撃では無く許されているとの考えで問題無いですか?

米国の核ミサイルが北朝鮮を標的にしていた場合は、北朝鮮が核ミサイルを米国に打ち込んでも専守防衛になり問題は無い事になりますね。これは余談ですよ。

自衛隊に関しては、先ほども述べましたが合憲であると考える政党と違憲であるが現在あるので活用し将来的には解隊するとの政党と色々あり全ての政党が歓迎している訳では無いです。

>国防に加えて海外任務まで
その様な状態になったら、政府が当然人員や装備を増強すると思いますよ。国民皆兵制スイスを目指すべきだと主張した社民党元党首の福島氏にお願いすれば、人員不足は解決するかも(冗談ですが)。PKOは、反対です。
>(2) 安保前文をちゃんとお読みなのですね。
>(4) 地理的制約についても
集団的自衛権を行使しているから、合同演習をし情報リンクをしていると私は考えます。しかし、日米安保に関して集団的自衛権を否定しているなら政府答弁を信じます。地理的要件に関しても、安倍首相の活動範囲は日本周辺で遠い地域への海外派遣はしないとの政府答弁をしていますので信じます。日米安保は政府答弁を信じ、安保法制は政府答弁を信じないなら矛盾します。あと返答する事があれば教えてください。

▽(Tさんからのコメント)
結局妄想の域を出てませんね、あなたの都合のいい解釈だけ垂れ流しても説得力ゼロです。安倍首相が日本周辺と限るという答弁をした記録はないでしょう? むしろ地理的要件を外して日本の危機ならば、専守防衛の範囲だと強弁したではないですか。事実を確認しましょう。

そして安倍首相は未来永劫首相ではありません。いつかは他の誰かが首相になります。安倍首相がなんと言おうとその時に新しい首相が「法律にはないからアフリカにも南米にも派兵できるのだ」と言いうる余地があるのが問題なのですよ。


Tさん、貴方が仰っている地理的制約って自衛隊を他国の領土に派遣するって事ですか? 安倍首相は衆院本会議で答弁しています。(どろ注:以下要約)
・安倍首相は、武装した部隊を他国の領土に派遣する海外派兵はしない。
・ただし機雷掃海は他国の領域でも行う事もある。
私の過去レスの遠い地域ではなく、正確には他国の領土でした、この部分は訂正します。安倍首相は遠い地域どころか他国の領土(周辺国も含む)には、武装した部隊を派遣しないと明言しています。これでも私の妄想ですかね? 安倍首相以後の政権が、海外派兵をするかも知れないと貴方は考えているみたいですが、その様な政権を国民が選挙で選ばなければ良いだけです。もしその様な政権が誕生したらそれは、選んだ国民が悪いのです。

<平成27年5月26日 安倍首相の国会答弁>
海外派兵についてお尋ねがありました。政府としては、従来より、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解しています。ただし、機雷掃海については、その実態は、水中の危険物から民間船舶を防護し、その安全な航行を確保することを目的とするものです。その性質上も、あくまでも受動的かつ限定的な行為です。このため、外国の領域で行うものであっても、必要最小限度のものとして、新三要件を満たすことはあり得るものと考えています。


余談について 米国は北朝鮮にミサイルを向けていますが、攻撃の意図があるのですか? 威嚇または攻撃抑止の目的ではないのでしょうか。明白な攻撃の意図がない相手を先制攻撃するのは侵略です。

(1) 歓迎しようがしまいが侵略されたら自衛隊が戦うことに反対する政党はないと申し上げております。肝心なのは実際的政治姿勢であって内心は関係ないのですが、Wさんは何が仰りたいのでしょう。対米戦に昭和天皇は内心で批判的で、しぶしぶ賛成したそうですが、それが問題だとでも? 安保法制をなくしても侵略に自衛隊が立ち向かうことに変わりないので、防衛問題と安保法制が無関係なのはご理解頂けたのでしょうか?

(2) また勘違いなさっています。「妄想ですかね」とのお尋ねなのでありていに申し上げますが、そのとおりあなたの「妄想」です。ご自身が引用なさった安倍総理の答弁をよくお読みください。「他国領土に武力行使の目的をもって」という前提付きです。「武装部隊を送らない」ではありません。安保法制以前にも、PKOではない武装部隊派遣の実績があります。イラク派遣がそうでしたし、現在はソマリア対策のためにジブチに海上自衛隊が派遣されています。こういうことがこれから許されないなどという解釈は誰もしていません。あなただけです。

安倍総理が「武力行使の目的を持たせない」というのは戦わないということではありません。「任務の防衛のための武器使用は武力行使に当たらない」というのが政府見解です。私は実にお粗末な詭弁だと思います。武器使用と武力行使は国際的には同じ行為を指します。こんなものは言葉遊びにすぎません。はじめから防衛目的以外の武力行使を目的に武装部隊を送れば、それは普通に侵略と言います。安倍総理は侵略戦争はしないと言っているにすぎず、実際上は何の歯止めにもなっていません。

(3) たしかに戦争する内閣を選んだらそれは国民のせいでもあるでしょうが、Wさんの一例でわかるとおり、国民は必ずしも正確に理解して支持しているわけではありません。詭弁を用い、わざと分かりにくく目くらましして重大な憲法解釈変更を行うような政府は、民主主義的政府とはいえないと私は思います。だます側とだまされる側なら、だます方が悪いに決まっています。しかし残念なことに、こういった正確な情報をメディアが流さなくなっています。政権側の恫喝のせいです。こんなやり方は許されない。そう考えて私は大反対しているのです。ご理解くだされば有難いと思います。


Wさん、長い対話になりましたが、ご返答頂いていない点を列挙しますね。

(1) 安保法制をなくしても従来通り自衛隊が国防の任に当たることに変わりないことはご理解下さいますか?
(2) 有事に当たって自衛隊が戦うことに全政党が賛成しているので、安保法制の是非と国防は無関係である点は分かってくださいますね?
(3) 安保条約は日本の集団的自衛権を前提とせずにこれまで運営されてきたのだから、日本を守るだけならこれまでどおりで何の支障もないことをご理解願えますか?

以上の点に納得していただければ、安保法制など安全保障のためには不必要であることがお分かりいただけると存じます。
そして以下の点について危惧している私たちの意見も一理あるとご理解いただけるはずです。

(4) 安保法制が本格的に実施されれば、あなたが反対だと仰るPKOに自衛隊が積極的に参加して戦うことになります。つまりいま欧米が陥っている泥沼に足を踏み入れることになります。
(5) 武装部隊の海外派遣が本格化します。
(6) 武力行使と武器使用が異なるなどという詭弁で自衛官が生命をかけることになります。
(7)「武力行使を目的としない武装組織の派遣」というのは、「こちらから望んで戦うことを目的に自衛隊を出すことはしない」といっているにすぎず、端的にそれは「侵略戦争をしない」というだけであって、この程度の言い分なら大日本帝国が軍を派遣したときも同じことを語っていました。

安保法制とはこういうものだから、自衛隊内部の批判も強いのです。「お花畑サヨク」をからかって遊んでいる場合ではないのです。ご理解くだされば幸甚です。