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自衛隊専門情報紙「朝雲新聞」のコラムより
朝雲寸言2008/11/6付
前空幕長の論文が問題になった。
内容自体は日中戦争や第2次大戦の責任をめぐって当時の日本の立場を擁護する趣旨で、特段新しい見解ではない。ただ「戦争の原因が共産主義インターナショナルの陰謀」という部分が広く認められているとも言えない。
個人が仕事を離れて趣味を持つことは自由だし、それが歴史であっても一向にかまわない。また、近・現代の歴史には様々な解釈と立場があって、個人がどの立場をとるかも自由だ。
だが、軍事組織のトップとなるとそうも言えない。自衛隊は今、国際平和協力を新たな任務としており、他国の領域で活動する機会が増えている。幕僚長といえば、隊員が外国から信頼され少しでも安全に活動できるように環境を整えるべき立場にある。
その立場にあって、軍隊の外国での行動に関する「個人の意見」を述べた場合、仮に正論であってもすべての国で受け入れられるわけではない。時と場合によっては、外国に派遣される隊員がそれによって敵意を抱かれるおそれがないとは言い切れない。歴史の評価、とりわけ戦争の正当性をめぐる議論ほど国によって異なるものはないからだ。
ことの善し悪しは別として、組織のトップは組織の利益を考える。自衛隊の場合、それはできるだけ安全な隊員の任務環境を整えることでもある。「個人の意見」「思想・信条の自由」といっても、組織としては「そんなの関係ない」では済むまい。
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