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Sさん
＞これまで朝鮮人女性の強制連行があったことを証明する確かな根拠は、一切、示されていません。
たしかにその通りです。ただし、それは首に縄をかけて引っ張って行くようなことですよね。いまどき、そんなことを言う人はどこにも（韓国にも）いないことをご存じですか？
強制連行説は、何も吉田清次氏の証言だけで成り立っているのではないのですよ。ただ一人の言い分で、こんなに巨大な歴史を、判断できるはずがないじゃないですか。当時から、国際条約や刑法にからめて、さまざまな論考がなされています。強制連行なかった派は、批判しやすい対象を仕立て上げてタコ殴りにしていますが、それは強制連行説の全体を批判したことには、ならないんです。
もう一度振り返っていただきたいのですが、私が述べている「強制連行＝拉致」の定義のひとつは、「政府による定義」です。
拉致とは威圧的・暴力的な方法で連れていくことだけを指すのなら、強制連行はなかったと言えます。しかし、だまして連れていくのも拉致だと「北朝鮮拉致事件」で政府が認定しました。私は、それをそのまま、慰安婦に当てはめただけです。
この定義が気に食うか食わないかは感情レベルの話であって、論理として間違っていませんよね。アルバイトの話につられて北朝鮮に入った有村さんたちは、そこで話が違うことに気づいたのでした。この点においては、慰安婦の少女たちとまったく同じじゃないですか。
もうひとつは当時の国内法にもとづく定義です。
当時から「身売り契約」が違法であり、売春目的で女性を海外に連れていくのを禁じる法律があったのは、誰にも否定できない事実です。げんに、女性を上海に連れて行こうとした売春宿経営者が、誘拐の罪で有罪にされているじゃないですか。こういう実例があるのだから、論理としてどこも間違っていないはずです。コミュでは、これらの論理を正面から突き崩すような反論は、ついに現れなかったですね。
つぎに、戦後の日韓国交ですが、仰せの通り、交渉過程で慰安婦問題は取り上げられていません。そのころ、国会の関心はもっぱら日本人慰安婦に向けられていました。そして政府はとても同情的な答弁をしていますね。おなじ態度をどうして韓国民に取れないんでしょうか。
日韓条約でいったんすべて片付いたと言われていますが、それをひっくり返したのも、政府でした。国同士で決着がついても、国と国民の話はまた別だと言ったのは日本政府です。そして裁判でその理屈が通りました。その論理を慰安婦に当てはめれば、日本国と韓国民のカタは、まだついていないことになります。
さて、あなたは、自ら落ち度を認めるのは国益を損ねる行為だとお考えです。あったことをなかったと言い張る行為が、そんなに立派なのかどうか、他人のふり見て我がふり直せというので、ちょっとよその国の行為と較べてみましょうよ。
あったことをなかったと言い張る代表格は、「北朝鮮」です。朝鮮戦争で中国にあんなに助けてもらったくせに、あの国の公式史料では朝鮮人民軍が戦って勝ったことになっていて、中国義勇軍の姿はほんのちょっぴりなんだそうです。へええ、すごい、自国優先の姿勢は偉いなあと思いますか？ ライタイハン問題に無視を決め込む韓国政府はどうでしょう。国益を守る立派な態度だと思いますか？ 大躍進期の大規模な餓死を認めない中国はどうでしょう。さすがにメンツ大国は大したものだと尊敬できますか？ 尊敬できないし、見下げた態度だと思うでしょう？ あなたたちの姿は、外からそのように見えているのですよ。
では自ら過ちを認める態度は、バカにされるのでしょうか。エチオピアを植民地にしたことを謝罪したイタリアは、アホですか？ ユダヤ人に謝罪を続けるドイツは、マヌケですか？ ハワイ先住民や日系人に謝罪し、原爆投下に道義的責任を認めたアメリカは、それで国益を損ないましたか？ いいえ、どれも国際社会から立派な態度だと称賛されています。
当たり前じゃないですか。どこの世界だろうと、嘘つきは軽蔑され、正直者は尊敬されるのです。日本の国益のためにという立派な看板があっても、ウソはダメです。韓国民被害者のためという立派な看板を掲げても、詐欺はダメというのと同じです。もちろんこれは「太平洋戦争犠牲者遺族会」の詐欺事件のことです。
よくよく、お考え下さい。