[選挙]松井・橋下の維新の会コンビが当選なら「大阪」は破産する

BLOGOSの記事を転載します。

松井大阪府知事と橋下大阪市長の維新の会コンビが当選なら「大阪」は破産する
宮武嶺
BLOGOS 2011/10/23 22:38
http://blogos.com/article/21333/?p=1

橋下大阪府知事は、10月23日に開かれた、自ずからが代表を務める大阪維新の会の会議で、「誰に言っても何を変えてくれるわけではないという諦めがあるが、すべては今の日本の行政の仕組みに原因がある。この大阪の地において、日本の統治機構を変える、新しい国づくりを行うきっかけを作っていきたい。大阪市長選挙に出ます」と述べ、「大阪都構想」の実現を目指して、来月の大阪市長選挙に立候補する意向を正式に表明しました。

そして、11月27日に同日選挙となる府知事選挙には、維新の会の幹事長で、府議会議員の松井一郎氏を擁立することを発表しました。松井氏は「非常に厳しい戦いだが、橋下知事の後を受けて、府知事選挙に立候補したい。政治生命のすべてをかけ、覚悟を持って戦いに挑みたい」と述べました。

■さらば橋下徹大阪府知事
知事辞職・大阪市長ダブル選挙出馬表明は政治生命終わりの始まり

では、橋下府知事と維新の会が、大阪の「何を変えてくれた」のか、見てみましょう。

橋下知事が2008年(平成20年)2月、知事選に立候補するときの最大の公約は大阪経済の活性化と財政赤字削減でした。

以来、3年8ヶ月、橋下・松井維新の会は、福祉、教育、文化施設の切捨てを実行しました。

■「『子どもが笑う』 とは皆さんが笑うことではない」
橋下大阪府知事が女子高生を泣かせたハシズム全開討論

たとえば、府立高校に勤務する非正規の事務補助員など約350人も全員解雇しました。 彼女らの年収は約110万円です。いくらも府政赤字削減の助けになりません。

「御堂筋のイルミネーションより、私たちのほうが下なんですか」と泣いて抗議する事務補助員の方々は記憶に新しいところです。

老人・乳幼児・障害者・一人親の家庭の医療費の1割負担を要求し、青少年期に学ぶ機会のなかった人々が学ぶ夜間中学校での就学援助制度も廃止を提案しました。私学助成の3割削減を主張し、これらの一部はすでに実現してしまいました。

多くの人の寄付で支えられてきた貴重な文献・資料の集まる国際児童文学館は解体され、多くの府民が利用しづらい東大阪市の中央図書館へ図書は移送されました。

これらの府民にとって真に必要な支出を削減しながら、財政赤字の削減どころか、この3年間に物凄い勢いで、大阪の公債(府債すなわち負債)が増えています。

【府債発行の推移】

平成19年度(2007年度)は新発債2942億円、借換債3750億円で合計6692億円だったのが、平成22年度(2010年度)は新発債4259億円、借換債3976億円で、合計8235億円になってしまっているのです。

ちなみに、橋下さんの知事選での公約の一つは、「新規に府債を発行しないこと」でした。発行しないどころか、新発府債を1300億円以上も増やしてしまっているのです。結果として、大阪の府債=負債の残高は……平成19年度(2007年度)末に5兆8288億円だったのが、平成22年度(2010年度)末には史上初めて6兆円!を突破し、6兆739億円になってしまいました。つまり、橋下府知事が誕生してわずか3年間で、大阪府は2151億円も借金が増えたということになります。

【府債残高の推移】

維新の会は、文字通り、弱者切り捨てを断行しまくって、なにをしているのだということです。

この財政赤字拡大の原因はなにかというと、弱者にしわ寄せをするだけで、肝心の大阪経済の活性化が全くできなかったことです。

橋下・維新の会の経済政策って、関西空港から梅田まで磁気浮上式リニアモーターカーで8分で結ぶとか(まだリニアがどこでも本格運転もしていないところにもってきて、今から新設するとなると物凄い時間と1兆円以上のお金がかかります)、大阪のカジノ特区を作るとか(これ以上、自己破産や生活保護者を作ってどうするのか)、まるで実現性がない上に、弊害のみ大きな話ばかりです。

大阪都構想もそうで、それがどういう経済的効果が上がるか不明な上に、府から都へ規模が大きくなれば地方自治で最も重要視される住民の意志が反映しにくくなります。区長を選挙で選べても、肝心の憲法学で基礎自治体とされる大阪「市」を「解体」するとなればなおさらです。

だいたい、大阪都なんていつできるんですか。それができないと大阪の活性化はあり得ないなんて言っていたらいつまでかかるのか。

そのあげくに、できてもいない大阪都の庁舎用の建物を買ったら大損してしまう始末です。

府庁移転断念問題で大阪府民に大損させた橋下徹府知事・松井維新の会幹事長は大阪ダブル選挙に出る資格なし

そもそも、橋下府知事は、なにかといえば「民間では、民間では」と言いますが、彼の知っている民間といえば弁護士として顧問をしていた商工ローンと島田紳助氏に誘われたテレビ界だけですからね。

民間も行政のことも何も知らないも同然ですから。

実現可能性のない政策しか出てきません。

こうして、橋下・維新の会は4年近くも、まるで有効な経済活性化策を打ち出さず、夢を語るというか、法螺を吹くというかばかりしていたので、大阪経済の沈下に拍車がかかり、なんと大阪府の税収入が激減してしまったのです。

【府税収入の推移】

平成22(2009)年度平成22(2010)年度増減律
府税収入9860億円1兆270億円▲4.0%
(法人二税)(2629億円)(2944億円)▲10.7%

大阪の企業は伸びるどころか、衰退の一途をたどり、法人の所得が減った結果、法人税歳入が1年で1割以上減少してしまいました。

こんな歳入の目減りの仕方はいくらデフレの国全体でもないわけで、「すべては今の日本の行政の仕組みに原因がある」のではなくて、すべては橋下・維新の会の無為無策、失政に原因があるのです。

そんな口先だけの橋下府政3年間で府税収入は4000億円も減り、去年は大阪府税全体の史上最低額を更新し、法人税収入も史上最低となりました。これでは少々歳出を削減しても、歳入穴埋めのために借金が増えるのは当たり前です。

【府税収入の推移】

以上 大阪府作成の大阪府の主な財政状況の推移

これが、橋下府知事と松井維新の会幹事長がやってきた大阪府政の現実です。

松井さんも三期も府議をやっているのに、こんな現実を見て見ぬふりどころか旗振りをしてきました。これほど無能な人が維新の会人気だけで大阪府知事になったらと思うとぞっとします。

この二人が、府知事と与党幹事長という立場から、さらに進んで大阪市長と大阪府知事になったら、これは大阪にとっては致命傷でしょう。

最も恐ろしいのは、橋下・維新の会が絶妙の誤魔化しによって、これまで通りに府民・市民に気づかれないまま、大阪を根腐れさせてしまうことです。

もう、いい加減、大阪府民も市民も、見かけや上手い言葉に騙されず、事実を客観的に見つめ、大阪維新の会にノーを言うべき時だと思います。

■追記

私は橋下氏との付き合いが長くて(向こうはこっちを知らないけど)、彼が商工ローン シティズの代理人弁護士だった頃からです。

多くの死者まで出した金貸しの言い分を法廷で代弁していました。その頃から相手を見下す攻撃的な答弁書を書いていたので、それが彼のスタイルなんでしょう。

あまたある弁護士の仕事のうち、すさまじい社会的問題を引き起こしていた金貸しの代理人なんかをわざわざ買って出る奴なんか、私は鼻から信用していないんです。

たいていの金貸しは、弁護士じゃなくて社員が支配人となって裁判に出ていた時期、珍しく代理人弁護士をした橋下氏はかなり儲けていたんじゃないかな。その報酬は、違法無効な契約で借金漬けにしたあげく、本人が潰れたら保証人の家や工場まで取り上げて、子どもたちを泣かせて作った金ですよ。で、その違法な利息を支払えなくなった客に対して彼が答弁書に書いていたクソ生意気な台詞を思い出すと、いまでも腹が立って、思わず長いコメントを書いてしまうという(笑)