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「朝日がのぼるとき、目を伏せてはいけない」
趙博さんの歌「光のエチュード」の一節です。真実を照らす光がまぶしくても、目を伏せてはいけない。でも、慰安婦問題で色々な資料を用いて真実を提示すると、目を伏せて見ないように、たこつぼに潜り込んでしまう人がいます。
自民党の代議士、荒船清十郎氏の演説を上げておきます。
1965年11月20日。
旧軍関係者団体の「軍恩連盟」で行った演説で、日韓交渉のいきさつを述べています。
戦争中朝鮮の人達もお前達は日本人になったのだからといって貯金をさせて1100億になったがこれが終戦でフイになってしまった。それを返してくれと言って来ていた。
それから36年間統治している間に日本の役人が持って来た朝鮮の宝物を返してくれと言って来ている。
徴用工に戦争中連れて来て成績がよいので兵隊にして使ったが、この人の中で57万6000人死んでいる。それから朝鮮の慰安婦が14万2000人死んでいる。日本の軍人がやり殺してしまったのだ。合計90万人も犠牲者になっているが何とか恩給でも出してくれと言ってきた。
最初これらの賠償として50億ドルと言って来たが、だんだんまけさせて今では3億ドルにまけて手を打とうと言ってきた。
なんたる、傲慢無礼な物言いでしょうか。
しかも韓国人慰安婦が14万2000人とは架空の数字です。最大動員数600万人の日本軍に、韓国人慰安婦だけで14万4000人が過大なのは、すぐにわかります。兵40人に1人の慰安婦なんて、兵隊が食べるものにも困っていた日本軍に、そんな人員を抱える兵站能力はありませんでした。ましてそれが慰安婦総数ではなく、死者数だというのですから、ますますあり得ない。韓国政府もそんなことを言っていませんでした。
これは荒船が手柄話をするために、勝手な話をでっち上げているのです。こう言えば受けるだろうと考えて、悪びれもせずでたらめな演説をした荒船。またそれを、おそらくは笑いながら受け容れた、当時の感覚。(「日本の軍人がやり殺してしまったのだ」のところで笑い声が起きただろう、これはまず間違いないだろうと私は推測します。)
ここには、橋下徹の手口につながるものを感じ取れます。「よその国だってやっているのに、なんで日本ばかり責められなければならないんだ!」。表に出ないとしても、日本社会にこういった感じ方があるのは、否定できません。この感情は、事実をねじ曲げてつくられたものです。デマに乗せられているだけのことです。
しかし信じ込んでしまった感情を正常に戻すのは大変です。朝日が昇るまぶしさに耐えられなくて、真実から目をそらしてしまうのです。
橋下は今回失敗しましたが、俗情をあおって世を曲げようとする政治家はいくらでも出て来るでしょう。デマとのたたかいを続けなければならないと思います。